三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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財務金融委員会

第169回国会 衆議院 財務金融委員会 第19号 2008年05月13日

平成20年5月13日(火)

○原田委員長 次に、中川正春君。

○中川(正)委員 中川正春です。引き続き、質疑を進めていきたいというふうに思います。

 渡辺大臣、きょう、この委員会が開かれる前に理事会がありまして、大臣の話が出ておりました。何で冒頭顔を出さないんだ、いわゆる欠席をするんだという話が問題になりました。法案を審議するその当事者が欠席というのは前代未聞だ、この委員会でかつてあったことがなかった、そういう指摘もありまして、ちょっと紛糾をしたんです。以後そうしたことがないように、そして前例としないようにということを確認しながら、一言申し上げたいというふうに思います。

 それで、その話をしていましたら、後から報告を受けたんですが、閣議に出ておられたということですね。道路特定財源に関する基本方針を先ほどその閣議で決めたということだと思うんですが、その閣議の決定した内容というのが今手元に届いているんですけれども、これはどう見ても、きょう、もう一回政府の方が衆議院の方に出してこようとしている法案とは矛盾をしますし、素直に考えて、地方に対しての配慮ということがあるのであるとすれば、それだけを法案にして出してきたらいいじゃないか、一般財源化というのはもう決まったことでしょうということが、一般的に考えたら、当然そのように解釈されることなんですね。

 それを、かたくなにこれにこだわって、あえてもう一回同じ法案を衆議院に出してくるということに対して、閣議でそれぞれどのように主張されたのか。何も言わなかったのか、それとも、それぞれ見識のあるお二人ですから、おかしいでしょうと話があったんだろうとやはり私は期待したいんですけれども、どのような主張をされましたか。

○渡辺国務大臣 けさの閣議で、総理大臣から御発言がございました。二十一年度から一般財源化することは、与党とも合意の上、国民にお約束したことであり、いかなる状況になろうともこれを実現する所存であるということ、そして、道路特会の無駄を徹底的に排除するのみならず、政府全体で、行政と密接な関係ある公益法人について集中点検を実施し、支出の無駄を徹底的に是正するということを、改めて総理から指示をいただいたところでございます。

 行革推進法には、税率を維持する前提として、一般財源化をする、環境に配慮する、そういう趣旨のことが書かれておりまして、私は行革大臣も兼ねておりますので、その点から、今回の決定は非常によかったものと考えます。

○中川(正)委員 それは、法案についての矛盾というのは当然閣議の中で議論があっていいんだろう、しなきゃいけないというふうに思うんだけれども、さっきの話を聞いていますと、何も議論はなかったということなんですね。

○渡辺国務大臣 事前にいろいろな議論はあったものと思いますが、閣議の席上、そういった討論会みたいなことにはなっておりません。

○中川(正)委員 いかに形骸化しているかとよく指摘をされるところですが、渡辺さんならやるんだろうと期待をしていたんですけれども、そういうことで終わったということで非常に残念でありますし、今回の法案については、世論の背景から見ても、なぜかたくなに道路族にあれだけの配慮をしなきゃいけないんだということだと思います。そのことを指摘しておきたいと思いますし、そういう意味では、これから政府の中でももっと尋常なというか、活発な議論、これを求めるところであります。

 さっき、話の中で、行革大臣も兼ねていられるということが出ましたけれども、そこのことについて、この法案の審議に入る前に、足元の問題でもう一つ取り上げておきたいと思うんです。

 天下りなんですけれども、金融庁、あるいは財務省もそうかもしれないけれども、関連のところへ向いてどういう浸透度をもって天下りが今現実としてあるか。公益法人も含めて、大臣はどれぐらい認識をはっきり持っておられますか。数字をつかんでおられますか。今、役所の人間がそれぞれの関連機関で何割ぐらい天下っているのか、トータルで、ストックで。認識を持っておられますか。

○渡辺国務大臣 手元に数字はございませんので正確にはお答えできませんが、万単位の数で、今までこうした天下りと言われる人事が行われてきておるものと思います、ストックベースにおきまして。

○中川(正)委員 役所の方にも、その現実はどうなっているのかということで資料を出してもらったんですけれども、実は、役所の担当者も知らないと言うんですよ。つかんでいない。では何をつかんでいるんだと言ったら、平成十五年八月十六日から十六年八月十五日まで、この一年間にだれがどこへ天下ったか、これはわかっている、しかし全体は知らないんだと言うんですよ。それでいいんですか。

○渡辺国務大臣 私が先ほど申し上げたストックベースの数というのは、全体の数でございまして、金融庁だけの数ではもとよりございません。

 その担当者がどういうお答えをしたのか存じませんけれども、全体像は金融庁としては把握をしていないということを申し上げたのではないでしょうか。

○中川(正)委員 そうじゃないんですよ。知ろうとしていない。そこで責任を逃れているわけです。

 もう一つは、こうして一年単位の天下りというのは一覧表でここへ出ているんです。これだと数字はわずかに見えるけれども、全体で、ストックで見てみたときの影響力、それが、天下りと言われるものの無駄とそれから偏在性、そして、特に民間の方は、公益法人なんかをモニターしますと、本当はあそこの組織は要らないんだけれども、これは要らないとは言えないそういう民間の弱みの中で、役所がつけ込んでどんどん負担金も出させてつくっているという現状、これは確かにありますね。これは、例の道路財源の議論のときに一つ一つ公にしてきたことですよ。同じような構造というのが、実はこの金融庁の中にもあるということを指摘しておきたいと思うんです。

 それに対して、大臣が今指揮をとっているのであれば、この足元の自分ができるところをまずやったらどうですか。全体の組織づくりに先駆けて、そこのところを全廃していくということをまず始めたらどうですか。まず、そのことについての心構えといいますか、腹の決め方を確認しておきたいと思います。

○渡辺国務大臣 きょう、増田総務大臣から、早期退職慣行の是正についての発言がございました。

 国家公務員のいわゆる肩たたきの是正については、平成十四年十二月の閣僚懇談会申し合わせに基づいて、各府省の幹部職員の平均勧奨退職年齢を、平成二十年度に、当時と比べて原則三歳以上高くすることを目指して取り組んできたわけでございます。それぞれの各府省において人事の実情等を踏まえて取り組んできたわけでございますが、幹部職員の勧奨退職年齢は引き上がってきてはおります。しかし、申し合わせ以降、天下り是正の観点などから、六十歳定年までの勤務や定年後の継続雇用の促進が求められるなど、国民の関心は一層高まってきております。

 私も閣僚の一人として、今後、夏の人事異動、私の場合には人事権はございませんけれども、人事異動の検討を本格化させる際に、この申し合わせに基づく取り組みの最終年度であることを踏まえて、ウオッチをしてまいりたいと考えております。

○中川(正)委員 大臣、ちゃんと答えてください。そんな話じゃないんですよ。自分のこの範疇の中で、大臣みずからがまず率先してできることがあるでしょうということを言っているんです。さっきの答えだと、やらないということですよ。評論家みたいに周りに目くばせをしているというだけの話ですよ。

○渡辺国務大臣 天下りというのは、私の理解では、人事の一環として各府省が、年功序列人事の最終出口として特に非営利法人に送り出す、そういうことを言っているわけであります。

 したがって、金融大臣というのは、御案内のように人事権がないのであります。つまりこれは、総理大臣の権限を私ではなくて金融庁長官のところで所掌しておるわけでございまして、こういう大臣は、恐らく私ともう一方ぐらいいらっしゃるかもしれませんが、あ、内閣府の担当大臣はみんなそうですね。ですから、そういう意味のことを私は先ほど申し上げたわけでございまして、ただ、行革大臣のミッションがございますので、この問題については真剣に取り組んできております。

 当然、金融大臣としてもそういう観点からウオッチをしてまいるということを申し上げたつもりでございます。

○中川(正)委員 言いわけしているような形になりましたけれども、最初の大臣の意気込み、あれを忘れないでもらいたい。やはり、議論を起こして、波風を起こして、それで初めて事は成っていくんですよ。何かすべてがおとなしくなっちゃって、これでは、法律自体も成立をしないという形になってしまう。それが見えてきているような気がいたします。

 もう一つ、もっと深刻な話がありまして、若い人たちがどんどんやめていくんですよ。それで、どこへ行くのかというところをずっとこれもまた表に出してもらったんですけれども、日興コーディアルとかゴールドマン・サックス、それからドイツ証券等々、こういうリストがいっぱい並んでくるんです。いわゆる外資へ向いて恐らく引き抜かれていったり、あるいは、新しい世界を求めてそこへ行くんでしょう。こういう状況が加速をしてきているということで現場は非常に危機感も持っているし、これからの役所の組み立てをするのに一番ここは大事なところだろうというふうに思うんです。それについての対策もこれは同時に考える必要があるというふうに思います。

 これについてはどのように対応をしておられますか。

○渡辺国務大臣 金融庁は、御案内のように、民間から中途採用で入ってくる人たちがかなりの数に上ります。正確ではございませんが、恐らく二割ぐらいは、そういう民間からの職員になっているかと思います。証券監視委員会においては、恐らくそれを上回る割合になっているのではないでしょうか。三割ぐらいだと思います。つまり、金融庁の金融行政を行うに当たって、民間の人材を採用しないとやっていけないという状況にございます。

 こういう職員は任期つき採用が多うございますので、彼らは、任期が終わった後、再び民間に戻るわけであります。民間の中には、内外無差別でございますから、当然外資も入っているかと思います。委員が御指摘の、若い職員がやめて外資に行くというのは、恐らくそういう事例も含まれているのではないでしょうか。

○中川(正)委員 そういう事例は含まれていないんです。それこそ、役所を目指してその準備をして、難関を突破して入ってきたという人たちだけが対象なんです。

 そこで、職場の恐らく士気といいますか、企画部門のやりがいということも含めてどこかで狂いが来ているというふうにこれは理解をして、一度、しっかりとしたチェックを入れる必要があるんだろうというふうに思います。そのことをきょうは指摘をしておくだけにとどめておきたいと思います。

 さて、この法案の関連に入っていきたいと思いますが、まず入り口で、先ほどからサブプライムの問題が何回も指摘をされました。出てきました。

 思い出すのですけれども、ちょうど日銀の総裁人事の議論をこの国会でしておったときに、G8の会合があるので、それに日本としてもやはり国家的に考えれば間に合わす必要があるだろうということを、何回も与党の方から提案がありまして、そんな申し入れがありまして、我々もそんなことを考えていきながら、コンセンサスをつくっていったということがあったんですが、あの会合というのは、サブプライムをどう受け取って、どのように対応するかという、世界の一つのポイントになっていった会合なんだというふうに思うんです。

 大臣、あなた、このG8の蔵相会議の席でどんな発言をされましたかと意地の悪い質問をしようとちょっと思ったんですけれども、出ていないということですよね。金融担当大臣がそうした席に出ないということについて、日本政府として、あるいは世界のそうした会議の枠組みの中で、当然、出たい、出るという意思表示はしておられるんだろうと私は思うんですが、そこはなぜ出られなかったのか。どのように認識されていますか。

○渡辺国務大臣 G7、G8の会合には、各国とも金融担当のトップは出ていないんだろうと思います。例えば、イギリスのFSA長官もG7、G8には出ておりませんし、アメリカでいきましたら、SECの委員長は出ておりません。

 しかし、そういった金融監督当局のトップは、金融安定化フォーラムには集っているわけでございます。日本からも、金融庁の幹部がこのフォーラムに出ています。同時に、財務省、日銀も参加をしています。今回のG8の中で、金融安定化フォーラムの提案が相当大きなポジションを占めていたかと思います。

 昨年十一月でございますが、私が金融市場戦略チームとして報告を受けておりますが、このチームの報告書なども、相当、金融安定化フォーラムの報告書の中に反映をされているわけであります。

 例えば、証券化の一連のプロセスにおける各当事者の情報伝達の確保、トレーサビリティーの確保、あるいはリスク管理の問題、バーゼル2の実施の重要性等々、戦略チームで指摘をした話が国際的な舞台で結果として採用されたと同じことになっているということからも、決して金融担当大臣が何もしていないで指をくわえて眺めているということでは全くございませんで、それなりに私も活躍をさせてもらっていると思います。

 また、この前、東京のG7会合においては、私自身、ストロスカーンIMF専務理事とのバイの会談も行っておりますし、イギリスの大蔵大臣とも会談を行い、日本の歴史の教訓等々について意見を交換しております。

○中川(正)委員 私が申し上げたのは、私も出ていくと言ったらどうですかと言ったんですよ、G7、G8。

 ほかの国の金融担当者も、いわゆる企画立案部分については財務大臣が兼ねているところが多いわけでありますが、しかし、監督部分についても、これは、仕組みをつくっていくというのは、そこのところからやはり出てくるわけだから、それを見て、私たちも出ていこうよというネットワークを張ったらどうですかということを申し上げた。

 そこのところを一つ指摘をしておきたいのと、額賀大臣が、帰られてから、公的資金をそこで日本の経験からいくと入れるべきだというふうなことを主張したというふうに言われていましたが、それ以外に何を主張されたか、ここを確認しておきたいと思います。

○額賀国務大臣 これはもう中川委員も御承知のとおりでございまして、私もG7に行かせていただくときは、渡辺金融大臣からいろいろと情報を聞いたり、日本の金融界の状況を教えていただいたり、そういうことをしながら、お互いに連携をとりながらワシントンに行ってくるわけでございます。もちろん、日銀の総裁とも意見交換をしたりするわけでございます。

 今話がありましたように、この前のG7においては、これは、アメリカのサブプライム問題から実体経済にどういう影響が起こっているのか、減速懸念が起こっているわけでございまして、その問題意識を共有し、そして、お互いにそれぞれの国が金融の安定化のためにベストな政策を展開していって、より健全な市場それから経済の順調な回復のために努力しようではないか、やるべきことをやっていこうではないかということをお互いに確認し合ったわけでございます。

 それは、世界の経済の安定と金融市場の安定に結びつくように最善の努力をしようということでございます。

 一方で、金融安定化フォーラムで、今渡辺大臣がおっしゃったように、きちっとした情報開示をする、リスクの再評価をする、それからまた、今おっしゃったように、バーゼル2を、日本はもう実施をしておりますけれども、ほかのG7諸国で実施していない国々は早急に行うべきであるとか、そういうことをきちっと申し合わせて、この六月にG8の財務大臣会議がありますけれども、そのときにきちっとフォローしましょうという話をしたりしてきたわけでございます。

○中川(正)委員 もともとサブプライムという住宅ローンの組み立て方というのが、本来、バブルを前提にして、土地の値段が上がっていかなければこの仕組みは成り立たない。三年据え置いた後、変動金利で持っていくわけで、その三年後の変動金利というのは、土地が上がっていくという前提でないとこれは成り立たない仕組み、あるいはまた、それの枠以外に、担保力以上に消費を喚起するような形のいわゆるオーバーローンを認めていくような形。これは、アメリカの監督当局が確実にサボタージュしていた、こういう形のものを認めてきたということにも責任があるということ、こんなことをやはり国際社会の中ではっきりさせていく、その議論の中で基本的にははっきりさせていく、そういう主張もできる日本の金融当局でなければならないと私は思うんですよ。そんな主張が、なかなか皆さんの帰ってきてからの話では出てこなかったんです。

 ただ、あの問題はもう起こったんだから仕方ない、それに対しては日本もそういう経験があるから、公的資金をまず入れるべきだ、これが聞こえてきただけで、そうした根本的な原因に対してだれが責任を持っていくんだ、そこを具体的にどう改善したんだということ、この議論が出てこないんです。今の安定化フォーラムの中でも、やはりそれは基本的に押さえていくべきだというふうに思うんです。

 その上で、今回の金商法、日本の法律の中で具体的にそれがどこで反映されているのか。二つあると思います。

 さっきの問題と、それからもう一つは、ちょっと話が出ました、証券化をしていく過程の中で、もとの商品へのトレーサビリティーとか格付とか、それから商品の説明、いわゆる透明性とか、さまざまにあると思うんです。それがどこまで私たちの国内の法律の中で改善され担保されているかというのは、私は余り見えてこないんですよ。それはどのように今位置づけて意識されているんですか。

○額賀国務大臣 今、中川委員が御指摘なさった、それぞれの国の金融監督それから中央銀行、これがそれぞれお互いに連携をとって、そして今後監督をきちっとしていこうではないかということは申し合わせをさせていただきました。

 また、先週、アジア開発銀行の総会があった際も、日本と韓国と中国では、やはり財務当局、金融当局が、このサブプライム問題を教訓にして、お互いに連携をとって、監視、あるいはまた、こういうことが再び起こることがないようにお互いに情報交換をしようということを申し合わせをして、ことしじゅうに一回会合を開こうということをいたした経緯があります。

○渡辺国務大臣 サブプライムローン問題が惹起したことは、我々に非常に多くの教訓をもたらしてくれたと思います。

 委員が御指摘のような、証券化を前提とした融資のモデル、まさに、ローンを組んで、それを即証券化してリスクを分散してしまう、こういったモデルに内在した危うさというものも考えさせられたわけでございます。

 先ほども申し上げました私のもとでの金融市場戦略チームは、こうした問題点を指摘し、そして報告をいたしました。証券化商品の取引に関して、原債権に関する情報のトレーサビリティーを改善すること、これはもうまさに監督指針の改正につながっております。市場動向を的確に把握するための当局における体制の充実強化の推進、そして、金融安定化フォーラム等のさまざまな国際的な枠組みへの積極的な参画、こうした取り組みを通じてサブプライムローン問題の対応を行ってきておるところでございます。

 今般の法案においても、例えば、金融の複雑化、多様化に対応し、金融グループとしての統合的なリスク管理を可能とするため、ファイアウオール規制を緩和するとともに、利益相反管理体制の整備を求めているところでございます。

 金融庁としては、これら一連の取り組み等を通じて、市場の透明性、金融機関の経営の健全性を確保することにより、金融システム全体の信頼性をより高めていくことが重要であると考えております。サブプライムローン問題については、さらに警戒水準を高めて対応してまいりたいと考えます。

○中川(正)委員 ぜひ、この法案の採決の前にそこのところをしっかり整理していただいて、これから改正をしていかなければならない、あるいは仕組みとしてやっていかなければならない問題点と、それから、この法律の中で、原因のしっかりとした究明、そうしたもののベースに立って、ここはこんな形で運用をしていきます、あるいはまた法律の中でこのように書きました、そこまでいっていないんだと思うんです、法律はまだこれからなんだろうと思うんだが、それを出していただきたいというふうに思います。

 そのことをまず要求をしておきます。いいでしょうか。

○渡辺国務大臣 承知いたしました。

○中川(正)委員 次に、ちょっと時間が迫ってきたのではしょりながらいきますが、いわゆる貯蓄から投資へということで、マーケットの競争力を増していくような戦略をとっていくということ、これはもう何年も前から指摘をされ、千五百兆円の個人資産の運用というのがターゲットですねというような話もここ数年何回も何回も聞かされてきたんですが、実際のところは、さっきお話の出たマザーズだとかジャスダックだとか新しいこの市場も、結局は独立できずに、それぞれに大証だとか東証に吸収をされながら、また、東証自体が国際競争に出おくれているというような指摘を受けながら、現実はどうも思惑とは違ったところへ向いて押し流されているというのが正直な見方といいますか、一般の専門家の見方で、そこに危機感が今あるんだろうというふうに思うんです。

 そこのところの原因というのは、さっきは、日本人がリスクに適応できるのかできないのかという話がありましたけれども、その前に、構造的な部分というのをちょっと指摘しておきたいというふうに思うんです。

 これは、日銀の部門別の金融資産・負債残高で、それぞれ資金の循環統計の中からそれを図表化したものを手元にちょっと配付をさせていただいたんです。

 右の方で、資産で、これが資金運用されるわけですが、ここに載っている家計の千五百四十五兆円、それから非金融法人で千八兆円、一般政府で五百七兆円、これが元手になるわけですが、これが真ん中の方の金融仲介機関へ向いてさまざまな形で渡っていく。よく言われているように、預金が多いでしょう、九百七十六兆円ですね、こういうことなんですが、実は、この預金も、あるいは保険や年金も、あるいは財政融資資金預託金も、これはこの金融機関の仲立ちによって運用されるのです。それで、運用される先というのが、貸し出しで四百八十四兆円あったり、融資で三十兆円、それから、証券で四百八十五兆円というのは、貸し出しと同じぐらい証券も四百八十五兆円ありますよということで、この面積の比率はおかしいんですが、そういうようなことからいくと、証券化をされているのが、ここに証券、証券、証券と三つあるんですが、金融機関の方で四百八十五兆円の証券化、それから、保険・年金基金で三百二十七兆円証券を買っている、それから、その他の金融仲介機関で百三十六兆円証券を買って運用しているわけです。

 実は、その中をちょっと調べてもらったんです。その内訳がどうなっているかということなんですが、ここで、括弧の中に書いてあるのがそうなんですけれども、例えば、預金の取扱機関で証券で運用しておるのが四百八十五兆円あるんですけれども、その中の三百十兆円というのは、国債とFBと地方債なんですね。率にして六四%。それから保険・年金基金でも、三百二十七兆円のうち百七十六兆円というのは、これは全体の五四%ですが、これがやはり国債とFBと地方債。また、その他の金融機関の中でも、百三十六兆円のうちの四五%、六十一・四兆円が国債、FB、地方債、こういうことです。

 この構造を見ていると、いかに国債あるいは地方債がこの運用の中で大きなウエートを占めているかということなんです。これは、今、金融市場を活発化するというのは一体どういう意味を持っているのかというのを、もう少し日本の場合ははっきりさせなきゃいけないんだろうと思うんですよ。三通りあると思うんです。

 こうした日本の資産の運用を、もっと効率的にいわゆるもうかる部分へ向いて、貯金から、預金から直接投資へ向いて持っていくという、それを皆さん何年も前から目標にということで言っているわけですが、それも一つあるだろう。しかし、投資資金を世界から集めてくるということ、これもあるだろう。あるいはまた、世界の資金を運用して、その運用するということの中で手数料ということをその金融業の糧として、そこでもうけていくということもあるだろう。こういう性格が一つの市場の中にあるんだと思うんですね。

 そんな中で、千五百五十五兆円あるから、この日本の金融資産をしっかり運用しなければいけないということで、それへ目標をつくっていって今まで一生懸命説明をしてきた皆さん方がふと振り返ってみると、いや、国債が実はこれはどうしようかという話なんです。この運用を一般の株式だとか民間の債券にかえていくということになると、この国債で固定化している部分をどうするのかという戦略をしっかり立てていかないと、そのような構造には日本はならないんだということ、ここが一つ構造的な大きなネックなんだろうというふうに思うんです。

 そこのところの戦略が見えてこないままに、なし崩し的に、ここが弱いから、あそこが弱いからといってマーケットを広げていくということが、将来の日本の財政運営にとってどういう影響が出てくるのかということ、ここの説明をしっかりしてもらった上で方向性を議論していかなければならないんだろうというふうに思うんです。

 それについての整理した話はありますか。

○渡辺国務大臣 貯蓄から投資へという考え方は、間接金融に偏重をしておりますマネーフローを、直接金融や市場型間接金融を活用することによって、より効率的に運用していくということでございます。預金取扱金融機関に過度に資金が集中することを回避することによって、経済システム全体の適切なリスク分散を図ることでもあります。必ずしも、国債を他の有価証券によって代替しようということでもないわけであります。

 また、貯蓄から投資への流れがさらに加速して、金融資本市場において我が国の金融資産がより多く運用される状況になった場合も、国債は安全資産として引き続きポートフォリオの重要な一角を占めるということを考えれば、国債の消化と貯蓄から投資への流れは整合的な側面もあるものと考えております。

 金融庁としては、国債市場を初め、さまざまな金融商品マーケットの動向を引き続き注視しながら、資金の運用者及び調達者の双方にとって、より効率的でかつ利便性の高いマーケットを構築していくことが重要であると考えております。

○中川(正)委員 見方に異論があるんですけれども、逆に、国債が資金を固定化しているために日本の市場が魅力的なものにならないんだということを意識して戦略を立てないといけないと思うんです。さっきのような説明では、本当の意味で戦略につながっていかないんだろうというふうに思います。

 もうかるところにしか金は集まってこないんですから、それが、こんな形で国債で固定化されてしまって、金利も低く抑え込まれてしまっていて、その中で一部がマーケットへ回ってきて回転している。だから、海外から入ってきたときに、フローの中の六〇%のプレーヤーが外国人だというふうな異常な市場、あるいは、浮いている分で三〇%も外国人が持っている。これは市場が小さいんだと思うんですよ、固定化されているために。だから、この小さな市場ということを意識しながら次の戦略を立てないと、とんでもない方向に行ってしまうんじゃないかなということを指摘しておきたいというふうに思います。

 それから次に、食料、資源、エネルギーの投機資金ということと、いわゆる実体経済との関係、これも一つ意識をしておく必要があるんだろうというふうに思います。これも時間の関係で、本当はそっちで答えてもらおうかなと思ったんですが、指摘をしておきたいと思うんです。

 実は、経産省と農水省にそれぞれ、実体的にプレーヤーとして投機資金がどれだけ先物のマーケットにあって、よく言われる当業者、実質的にその品物を使って製品として生産している人たち、その人たちがどれぐらいの割合になっているのかというのを出してもらいました。

 農業関係の、いわゆる穀物、トウモロコシだとか大豆だとか、アラビカコーヒーとかロブスターコーヒーとかこういうたぐいのものは、当業者割合、投機じゃない、自分たちが商品の値段のリスクヘッジをするために買っているという人たちは、何と一けた台、九%から、せいぜい行って二〇%、二五%台でしかないんです。ほかはすべて投機資金なんですね、これを見ていると。

 それから、金や銀や白金、バナジウム、ガソリン、灯油、原油、アルミニウム、こちらの方の市場でいっても、こっちは穀物ほど極端なことはないんですが、当業者がリスクヘッジをしているものが三〇%から四〇%ですというデータを出してくれました。

 これからいって、今の実体経済に対していかに投機資金というのが影響を及ぼしているか。恐らく、こういう波を増幅させているという役割を今とっているんだろうというふうに思うんです。そこのところを、所与のものとしてやる、与えられたものとしてそれにどう対応していくかということだけではおさまるということではないと思うんです。いわゆるグローバルな形で資金がこうやって動いてくるとすれば、これに対して新たな秩序というのはやはり必要なんだろうというふうに思うんです。

 そこのところの戦略を日本としてどう考えていくのか、今そういう体制をしっかり考えていこうということになっているのかどうかということを、最後に確認をしておきたいと思います。

○渡辺国務大臣 この問題は、私も深い関心を持って研究をしてまいりました。先ほども申し上げました金融市場戦略チームの議論の中で、金融資産が九〇年代から世界的におよそ四倍近い膨らみ方になっております。日本の場合には、それが二倍弱の水準でございます。こうした膨れ上がった金融資産を背景に、食料、資源のマーケットにお金が流れ込んでいるという実態がございます。

 では、いきなりマーケットを規制するということが正しいやり方であるのかどうか。マーケットというのは、御案内のように、いろいろなプレーヤーの厚みのある市場というのは非常に大事なことでございます。

 一方において、一方向にお金が投機され、大変な資源、食料の高騰を生んでいる。この現実に対して、サミットでも、既に食料の高騰問題について話し合っていこうという企画が福田総理からなされているわけでございまして、まさに、国際的な枠組みが必要なものと考えます。

○中川(正)委員 もっと突っ込んでいきたいんですが、時間が来たので、これで終わります。

 ありがとうございました。
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