三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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内閣府特命担当大臣

参議院 予算委員会(赤石委員、山本委員、吉田委員)

平成24年4月3日(火)

○委員長(石井一君) 平成二十四年度一般会計予算、平成二十四年度特別会計予算、平成二十四年度政府関係機関予算、以上三案を一括して議題とし、質疑を行います。赤石清美君。

○赤石清美君 皆さん、おはようございます。自由民主党の参議院比例区の赤石清美と申します。
 私は、一九七〇年に臨床検査技師になって以来四十年間、検査の現場と会社の経営者として働いてまいりました。私のそういう経験から、本日は様々な社会問題、特に命にかかわる問題について議論をさせていただきたいというふうに思っております。
 まず最初に、厚労大臣にお伺いいたします。
 いわゆる医師、歯科医師、薬剤師、看護師以外にも多くの医療技術者がいるわけですけれども、この四つの師以外で医療関係に携わっている方々の国家資格がどのぐらい種類があるのか、またそこにどのぐらいの人数の人が働いているのか、お教えください。

○国務大臣(小宮山洋子君) 御指摘の職種のほかに、医療機関で主に医療提供に携わる職種としましては、今御指摘の臨床検査技師、診療放射線技師といった検査関係の職種、また理学療法士、作業療法士などのリハビリ関係職種など、十種類以上の職種がありまして、三十三万人以上の人たちが医療機関で働いています。

○赤石清美君 今厚生労働大臣から報告がありましたように、数多くの職種があって、また数多くの人たちが医療を支えているわけであります。その医療を支えている人たちの卒業教育あるいは技術研修、こういったものについて厚労省として何かサポートしていただいているでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) こうした医療スタッフの皆さんがそれぞれの高い専門性を生かして互いに連携、補完をしながら患者の状況に的確に対応した医療を提供するチーム医療、これを推進することが重要だと考えています。
 このため、有識者によりますチーム医療推進会議で、日本の実情に即したチーム医療の在り方について検討を進めるとともに、平成二十三年にはチーム医療の安全性、効果などを実証する事業を実施いたしました。また、平成二十四年度予算では、医療機関がワークショップを開催をして、質の高いチーム医療の実践を地域の医療現場に普及、定着させる事業を計上しています。さらに、平成二十四年度の診療報酬改定で、医療スタッフによる連携に関する評価として、理学療法士、作業療法士等の配置の体制をより充実させた病棟でリハビリテーションを提供した場合の評価の新設ですとか、医師、看護師、薬剤師、臨床検査技師が連携して院内感染の防止対策を行った場合の評価の充実などを行っています。
 今後は、こうした取組などを踏まえまして、関係団体の御意見も伺いながら、医療関係職種の質の確保を含めて、質の高いチーム医療が行えるように推進をしていきたいと考えています。

○赤石清美君 是非、この医療技術者の卒業教育、研修につきましては幅広いサポートをお願いしたいと思っておりますので、よろしくどうぞお願いいたします。
 ここで、厚労大臣は次の厚労委員会があるそうでございますので退席してくださって結構でございます。

○委員長(石井一君) 小宮山厚生労働大臣はどうぞ御退席いただいて結構です。(発言する者あり)

○赤石清美君 済みません、名前が女性なものですから。
 次に、次は笑っている場合の話じゃないんですけれども、昨日の経産大臣の不穏当発言について経産大臣にお伺いしたいと思います。
 私も、会社の経営者として、取締議長として、株主総会等に出て、厳しい罵声、そして不適切発言の中で粛々と答えて株主総会の合意を取って、言わば国会でいうと法案を通す、会社でいうと事業計画書を通して、役員の選任もいただく。非常に耐えて耐えて耐え忍んでそれをやるんです。そこに座っているのがこの閣僚の席だと思うんですよ。
 私、昨日の不穏当な発言を聞いたのと同時に、そのとき顔を見ました。非常に興奮した状態の顔でした。危機管理には全く合っていません。そして、終わってから我々は一回引き揚げました。そして、帰るときの顔を見たら、全くそれと違ってにやけた顔をしていました。私はその態度を見て、この人は大臣の資格はない、本当に私は怒り心頭になりました。
 実は、今日はもっと医療のことをしようと思ったんですが、どうしてもそのことが頭に抜けなくて、今日、来ていただきました。
 枝野大臣、もう一度謝罪する気持ちはありますか。

○国務大臣(枝野幸男君) 昨日の予算委員会集中審議において、自民党の岩城議員の質問の最中に、私が大臣席から不規則発言をいたしまして退席を命じられたことについては、予算委員会の審議の品位を傷つけるものであり、深く反省し、今後こうしたことがないようにするとともに、おわびを申し上げます。

○赤石清美君 私は、昨日の大臣の姿を見ていまして、昨年の三月十一日、この大震災が発災して以来、大臣は官房長官でした、そのときの危機管理は、まさに昨日のような状態でやっていたとしたら大変な大きな問題になったと思います。
 私は、やはりこれも含めて深く経産大臣に反省をしてもらわないとと思いますし、その任にやっぱりあってはいけないと思うんです。辞任する考えはありますか。

○国務大臣(枝野幸男君) ございません。

○赤石清美君 まあ今の答弁を聞いて分かりますように、これではとても国民が原発政策、経産大臣は原発政策を担当しているわけです、とても信用できません。
 私は、昨年の発災以降の枝野官房長官の行動、そして現在の経産大臣の行動について、非常に疑問を感じます。私はこの点に関して予算委員会での集中審議を求めたいと思います。委員長、よろしくお願いします。

○委員長(石井一君) 委員の御提案でありますから、協議させていただきたいと存じます。

○赤石清美君 それでは、本題に入りまして、後期高齢者医療制度、そして団塊の世代について質問したいというふうに思います。
 まず、後期高齢者医療制度に関しましては、民主党マニフェストに「後期高齢者医療制度は廃止し、二〇一三年度から新しい高齢者医療制度をスタートさせます。」とありますけれども、その後、一向に法案が出てきませんけど、現在どのようになっているでしょうか。

○副大臣(辻泰弘君) 御指摘をいただきました高齢者医療制度の見直しにつきましては、厚生労働大臣主宰の高齢者医療制度改革会議におきまして検討が進められ、一昨年、平成二十二年十二月に最終的な取りまとめが行われたところでございます。
 この取りまとめに対しましては関係団体から様々な意見が出されているところでありますけれども、社会保障・税一体改革におきましては、「高齢者医療制度改革会議のとりまとめ等を踏まえ、高齢者医療制度の見直しを行う。」、「具体的内容について、関係者の理解を得た上で、平成二十四年通常国会に後期高齢者医療制度廃止に向けた見直しのための法案を提出する。」とされているところでございます。
 これまでのところ、地方自治体を始めとする関係者の合意を得る段階には至っておりませんけれども、厚生労働省といたしましては、先ほどの改革会議における指摘、また民主党マニフェストにおける公約などを踏まえまして、関係者の理解を得た上で今国会に法案が提出できるよう更に検討、調整を行っていきたいと考えております。

○委員長(石井一君) 辻副大臣、どうぞそこへお座りください、閣僚席のそこへ。
 どうぞ、赤石清美君、続けてください。

○赤石清美君 私は、今の後期高齢者医療制度というのは、それなりに研さんを積んできてできた制度でありまして、それなりの実践している効果もあって、現在、自治体も結構もうなじんできていると思うんですね。今これを変えようとすると多額のシステム変更費用、そして労力が掛かるわけでありまして、むしろ今の制度を、名称も含めてある種の変更をして継続する方がいいと思います。
 民主党政権は、ただ単にマニフェストにこだわって何としても変えなきゃいけないということでやっているような気がして仕方ないんですけれども、その点については、大臣、いかがですか。あっ、副大臣です。

○副大臣(辻泰弘君) この後期高齢者医療制度は、高齢化の進展に伴い医療費が増大する中で、公費、現役世代、高齢者の負担割合を明確化し、都道府県単位の財政運営によって原則同じ都道府県で同じ所得であれば同じ保険料としたという点で旧老人保健制度の問題点を改善したものというふうに考えております。一方、後期高齢者医療制度は、七十五歳に到達した時点で、それまで加入していた保険制度から分離、区分した保険制度に加入するといった点が年齢による差別と受け止められたことが問題と認識しているところでございます。
 先ほど申し上げました高齢者医療制度改革会議で取りまとめられました案は、年齢による差別を解消するためのプロセスとして位置付けられるものであると考えておりまして、現行制度の利点は維持しつつ、より良い制度を目指すものだと考えております。この取りまとめに対しましてはいろいろな御意見をいただいているところでございますけれども、関係者の理解が得られるよう対処していきたいと、このように考えております。

○赤石清美君 いや、私は、いつまでも考えているんではなくて、これは早く議論を始めないと。私は団塊の世代です。一九四八年生まれです。みんな私の同僚たちが不安に思っているんですよ、年金も社会保障も一体どうなるんだと。先の見えないことをいつまでも不毛の議論にするんじゃなくて、早く法案を出して議論するなら議論することでしっかりやっていかないと、この税と社会保障の一体改革にならないと思うんですね。その点、是非前向きに、いずれにしても検討を進めていただきたいというふうに思います。
 そこで、団塊の世代の今話をしましたけれども、皆さんに資料をお配りしてあります。私は今、一九四八年と言いましたけれども、団塊の世代は一九四七年から四九年、昭和でいいますと昭和二十二年、二十三年、二十四年生まれです。私は、まさにその真ん中におります。この当時、この三年で六百六十九万人いるんです。実に今の倍の人たちが生まれたということなんです。今は年間百十万人前後の出生ですから、倍以上の人たちが生まれて、そこがこれからいわゆる前期高齢者になろうとしているわけです。まさに、今年から年金をみんなもらうスタート、お金を払ってる方からもらう方の側に変わるわけで、大きなダイナミズムが発生するわけです。そういう意味で、税と社会保障の一体改革というのは非常に重要なことなんです。ですから、ここに対してちゃんとした方向付けを示さないと、みんな不安に思っているんです。
 この点について政府としてどういう認識をして取り組んでいるのか、財源の関係で財務大臣、総合調整の立場で中川国務大臣、それから社会保障・税一体改革の岡田大臣に、それぞれの認識をお伺いしたいと思います。

○国務大臣(安住淳君) おはようございます。
 私は昭和三十七年ですから先生と一回り違いますが、先生の世代は本当に学生時代から大変お元気で、大学に私が入ったころはもうなくなっていましたけれども、大変、ヘルメット等をかぶって元気にやって、日本の高度成長期を支えてこられた先輩方でございますが、本当に長寿でもあられて、今先生がお示しになった資料ですが、我が方の資料ですとやっぱり六百六十万人でございます。ですから、一気に年金受給、それからいわゆる高額医療の分野でも多分医療費の増大は避けて通れないであろうという認識でございます。
 ですから、そういうことからいえば、先生今御指摘ありました後期高齢者の医療制度の問題も、当時の自公政権下ではそれをターゲットにして制度設計したと思うんです。私どもも、そういう点でいえば、これから医療、介護、それから年金の分野でこの方々の長寿を支えていく仕組みづくりをしなければならないということで、今私の分野でいえば、やはり消費税のお願いをさせていただいているというところでございますので、是非、制度設計に合った財源の確保をしていきたいと思っておりますので、御指導よろしくお願いします。

○国務大臣(中川正春君) 御指摘のように、この団塊の世代が一つの社会全体の構造をダイナミックに変えていくということ、それからもう一つは、それぞれがそのライフスタイルということを考えていくと、新しい観点でそれを再構築していくというか、そういうことをしていかなければならないということだと思います。
 その上で、私の担当しておりますのが高齢社会対策大綱なんですけれども、これは基本的にそういう観点から見直していくという作業に入っておりまして、先般も、高齢社会対策の基本的在り方等に関する検討会、ここにおいて指摘をされておることが二つございます。一つは、団塊の世代によって多様な高齢者像というのが形成をされてくるということ、そのことを前提に大綱を見直していく。それからもう一つは、平均寿命が延びた我が国において、これまでの人生六十五年時代を前提とした社会の在り方から人生九十年時代に対応した社会へと構造転換をしていく必要があるということ、このことを前提に見直していくということだと思っております。
 更に議論を進めて新しいダイナミズムというのをつくっていくということ、頑張っていきたいと思います。

○国務大臣(岡田克也君) 委員御指摘の点は非常に重要なことで、急速に団塊世代の皆さんが六十五歳、そしてやがて七十五歳と、今そういう中で我が国の社会保障制度を持続可能なものにするためにどうすればいいかということは我が国にとって極めて重要な政策課題である、そういう中で社会保障・税一体改革ということも出てきているということでございます。
 例えば医療につきましては、高度急性期への医療資源の集中投入と、他方で地域包括ケアシステムの構築、つまり在宅医療の充実、そして医療とそして介護が一体となったそういうシステムをつくっていくという方向性でございます。
 年金については、いろいろ議論あります。今の制度の手直しで果たして可能かどうか、抜本改革まで進まざるを得ないのか、しかし抜本改革ももちろんバラ色ではありませんから、じゃ、どういう具体的制度設計が必要か。これは私は本当に、スウェーデンでも行われたように、党派を超えてしっかりとした議論が必要ではないかというふうに思っているところでございます。
 取りあえずは、まずはこの国会で、過去に物価スライドを、まだデフレで物価が下がった分年金を引き下げてまいりませんでしたので、そこの是正をお願いしたいというふうに考えているところでございます。
 それから、財源としては、やはり今の国の財政、予算委員会ですから予算の御審議もいただいているわけですが、半分借金、それで社会保障その他の経費を賄っているという状況を何とか改善していくために、プライマリー赤字を半減するということを第一の目標に据えて、今回、社会保障制度の持続可能性のためにも消費税の五%引上げということをお願いしているところでございます。

○赤石清美君 今それぞれ対策を取られているということでありますけれども、いずれにしても増税の問題とこの社会保障というのを、社会保障の部分はよく見えないというのが国民の意見でありまして、しっかりとそこの対応をお願いしたいと思っております。
 それでは、続きましてイノベーションについてお伺いしたいと思いますけれども、民主党政権のイノベーション戦略というのがマニフェストに載っておりまして、特にグリーンイノベーションとライフイノベーションでありますけれども、これはどういう意味でしょうか。

○国務大臣(古川元久君) お答えいたします。
 二年前にまとめました新成長戦略におきまして、エネルギー・環境分野におけますグリーンイノベーションと、あと医療・介護分野におけるライフイノベーション、こうした分野を日本の強みを生かす成長分野として位置付けて、この分野を中心にイノベーションを起こして内需を創造するとともに、アジアを中心とする世界の活力の取り込み等によって外需をつくり出して、そして新たな成長を目指していくということを考えております、意味しております。

○赤石清美君 まず、じゃ、そのイノベーションという言葉と、今、大阪維新の会って、維新ってありますけれども、どういう違いがありますか、大臣。

○国務大臣(古川元久君) 維新というのは、大辞林によりますと、全てが改まって新しくなること、特に政治や社会の革新と。よく維新は革命とどう違うんだということを言われます。革命は、国体を変える場合は革命であって、国体はそのままで改めることを維新というというふうに言われています。
 ですから、維新とイノベーションとをちょっと比べるというのは、少し、分野がそこでいくと違うのかなというふうに思いますが、イノベーションというのはかつてはよく技術革新というふうに訳されていたんですが、技術革新というと、非常にちょっとイノベーションのごく一面だけ取り上げている部分になると。
 イノベーションというのはもう少し相当幅広い意味があって、従来の延長線上や枠にとらわれないで、そこからはみ出たような新しい発想をするとか組合せをする、そういうことによって今までとは非連続なそういう発展を実現をしていく、それがイノベーションと言われていて、なかなか日本語で訳せないものですから、私も本当は日本語を使いたいんですけれども、日本語でぱっとうまく言える言葉がないものですからイノベーションと使わせていただいているんですが、そういう意味でかなり概念が広い意味でございまして、ちょっと維新と比較してどうだということは、なかなか比べるのは難しい言葉ではないかというふうに考えております。

○赤石清美君 そういう言葉を使うとやっぱり混乱が起こるので、日本語でしっかりと言わないと国民はよく分からないんですよ。私は、会社にいるときはイノベーションって変革と言いました。それが会社で使っている言葉です。それぞれが意味を違えて理解するんですよ。ですから、余りこういう言葉を使わないで、やっぱり過去と不連続なことをやろうとする、変革を求めるなら変革というふうに使った方がよろしいと思います。
 そこで、医療イノベーション推進室なるものをつくりました。これについて説明をお願いいたします。

○国務大臣(古川元久君) 医療イノベーション推進室につきましては、ライフイノベーションの中の一つの大きな分野が医療の分野であると、そういうこともありまして、内閣官房の下に医療イノベーション推進室を設置して、その下で医療イノベーションの具体的な中身について今まで検討して、実行できるものから実行に移しているというところでございます。

○赤石清美君 医療のイノベーションといえば、今、京都大学の山中教授のiPS細胞、そして東大の中村祐輔先生率いるゲノム解析、これが日本の医療のイノベーションに匹敵する技術だと思いますけれども、認識はいかがですか、大臣。

○国務大臣(古川元久君) 今委員から御指摘がありましたゲノム解析であるとかあるいはiPS細胞、もちろんそれもイノベーションだと思います、の一つだと思いますが、あと、ほかにも再生医療の分野であるとかあるいは医療機器の分野であるとか、様々な分野で日本がこれは医療イノベーションを起こしていける、そういう分野はあるというふうに考えております。

○赤石清美君 そこで、私も考えは別に反対するわけじゃなくて、非常に大事なことで、日本は少資源国家でありますので、だけれども基礎的な技術をいっぱい持っているわけで、それを付加価値を付けて海外に売り出していくということは非常に大事なことだと思うんですね。
 そこで聞きますけれども、この推進室長に中村祐輔教授を室長として迎えた理由についてお伺いしたい。

○国務大臣(古川元久君) 中村先生は余り日本の中でも枠にとらわれない、多分、委員も医療関係者でいらっしゃいますから医療関係者の皆さん方のいろんなお話も伺うと思うんですが、ある意味で、非常に、従来の日本の医療界の枠にとらわれない、そういった意味で、イノベーティブな発想のできる方だということで、医療イノベーションを推進するにはふさわしい方ではないかということでお願いしたということでございます。

○赤石清美君 実は私もそう思って、私も何度か共同研究もしたこともある非常にすばらしい先生であります。その人がここに就いたというので、私もある意味この同じ業界にいる人間として非常に期待をしたんです。
 実は、ところが、一年ほどしたら昨年の十二月に辞職なされました。その辞職した理由を産経新聞でこう述べております。中村教授は、推進室の設置はこの危機を打開し国家レベルの戦略を練る好機だと思って入った、だが民主党の議員らに提言を持ち込んだが耳を傾けてくれなかった、省庁も動いてくれない、予算も付かない、結局は霞が関や永田町は大きな視野で戦略を立てることはできない、推進室では自分は必要ないと思ったと。その後、彼はシカゴ大に移籍して、がんワクチンの療法をそれこそイノベーションするということになっています。
 この点について、大臣、どういう意見でございますか。

○国務大臣(古川元久君) 耳を傾けてくれないというふうにお話をされたというふうに報道されているんですが、私も何度も耳を傾けました。できるだけのことは私どもとしてもやっていきたいということで、いろいろ働きかけもしました。
 ただ、率直に申し上げて、中村先生がおっしゃるようなスピード感で一つ一つ全てが決まったかというと、そういうわけではありません。そこは多分委員もお分かりになると思いますけれども、やっぱり中村先生の思いというのは非常にスピード感というのがあって、すぐ決めろというそういうお話があったんですけれども、一方で、やはり行政の中身になっていきますと、そこにはある程度の時間も掛かる部分もあったりして、私どもとしては、これは中村先生にもお話伺いながら少しでもそういう方向に進めるということで、例えば、東北のバイオバンク構想なんというのはこれは中村先生から御提案をいただいて、そして実際に着手をしたものであります。
 ですから、中村先生がおっしゃったことを全て実現したとはとても言えませんし、まだまだ緒に就いていないものもありますけれども、実行に移したものもあるんです。ですから、そういった意味で、中村先生と私、もう何度もお話をさせていただきました。
 私としては、当時は、中村先生がやっていたときは、官房長官の下で医療イノベーション推進室が独立してやっていたんですけれども、やはりお話を伺っていくと、なかなか他省庁との関係とか何かで調整が非常に難しいという話もありましたんで、私が官房長官とお話をして、この医療イノベーション推進室を国家戦略担当大臣の下に置いて、国家戦略室と一体となってこの医療イノベーションを推進していこうと、そういう体制を昨年の十一月ぐらいから取って、そうして新しい体制の下で中村先生にも是非やっていただきたいということで私もお話を申し上げたんですが、既にもうそのときには中村先生がアメリカの方とお話をされておられて、もう決めたというふうにおっしゃられたものですから、私としては大変残念ではあったんですけれども、御本人の御意向を尊重して、年末で退任をされたということでございます。

○赤石清美君 やっぱり私は日本の政府の組織が対応できていないんだと思いますよ。私は、今のままであったら、また同じことが起きますよ。これだと日本の本当に優れた技術者はみんな流出してしまいますよ。
 もうちょっと組織の運営をしっかり考える必要があると思いますけれども、大臣、もう一遍答弁お願いします。

○国務大臣(古川元久君) だからこそ、今私の下で国家戦略室が中心になって医療イノベーション推進室と連携も取って、各省分断ではなくて、しっかりこれは国家戦略会議も、場も使って、今、医療イノベーション五か年戦略というものを五月をめどに取りまとめるように全力を挙げておりますので、これは政治主導でしっかりやってまいりたいというふうに考えております。

○赤石清美君 実は私、昨日、官僚の人たちからレクチャーを受けました。話を聞いたら、その国家戦略何とかというところは調整の場だ、お金も持っていない、予算は各省庁が持っていると。そんなので誰がリーダーシップを取れますか。会社でいえば経営戦略室というのがあって、そこに予算を付けるんですよ。そこがリードして物事を進めるんです。予算の付かない組織がそんなイノベーションなんかできないと思いますよ。もう一回考えてください。
 大臣、お願いします。

○国務大臣(古川元久君) しっかりやってまいりますが、予算があるなし、それは会社でも企画部門って、別に予算がそれだけあるわけですし、実際に事業をやるところはそれぞれの事業部門でしょうから、予算はそこに付けますが、どういうところに付けるかということは、しっかりその企画調整部門、そこでやっていくということであります。

○赤石清美君 いずれにしても、そういう問題意識では駄目だと思うんですよ。もう少し前に進めるためにはどうしたらいいかということを真剣に考えて、国家のためですから、しっかりと対応していただきたいというふうに思います。
 次に、死刑の問題についてお伺いをしたいと思います。
 三月二十九日の新聞報道によりますと、一年八か月ぶりに三人の死刑が執行されたとのことであります。福岡と東京と広島の拘置所だそうであります。
 この一年八か月間死刑が執行されなかった理由について、法務大臣にお伺いします。

○国務大臣(小川敏夫君) 一年八か月の間、大臣でいいますと四名の大臣が在任しておったわけでございますが、それぞれの御判断のことだと思いますので私が申し述べる立場ではないなというふうに思いますので、私からは差し控えさせていただきたいと思います。

○赤石清美君 それでは、死刑が実際に確定して執行されるまでの最短期間と、死刑が確定して執行されるまでの最長期間はどのぐらいになっていますか。

○国務大臣(小川敏夫君) 死刑を執行した者の氏名を公表するという取扱いを始めたのが平成十九年十二月でございますので、それ以降の執行に限らせていただきますと、判決の確定から執行までの期間が最も長いものは十五年二か月、最も短いものは一年十か月でございます。

○赤石清美君 その長短の理由はどういうことですか。

○国務大臣(小川敏夫君) 今、死刑囚の心情安定というような観点から執行の時期等を死刑囚には事前には告知しておらないわけでございますが、この執行の言わば順番といいますか、時期等の一つ一つの基準といいますか、要件といいますか、こういうものを具体的に明らかにいたしますと言わば予測が付いてしまうわけでございまして、そうしますと、順番がとか、自分がとか、そういうことが死刑囚にも予測が付いてしまうというようなことも考えられますので、そうした具体的な基準とか、そうした要件とか、そういったものについては公表しておらないというところが実情でございますので、その点について答弁を差し控えさせていただきたいということで御理解いただきたいと思います。

○赤石清美君 いや、私はそれでは国民はなかなか納得しないと思うんですね。やっぱり、片っ方では十五年刑が確定してずっと拘置所で拘置される、拘置所ですからね、刑務所じゃないですから、で、片っ方は一年拘置で執行されてしまう。どう見たって国民から分かりにくいですよ。その基準が明らかにできないという。何かもっと国民に分かりやすい基準を示す必要があるんじゃないでしょうか。どうでしょう、大臣。

○国務大臣(小川敏夫君) やはり、個々の法務大臣が死刑を執行する際の、その命令をする際の判断基準ということにもなりますが、やはりそこのところは様々な観点から差し控えさせていただきたいというふうに思っています。
 一般論といたしましては、やはり個々の事案につきまして記録等精査し、十分様々な状況等を勘案した上で命令を出すものというふうに考えております。

○赤石清美君 私は、日本は法治国家ですので、きちっと刑が決まったら粛々とある手続に基づいてやっぱり進めるべきであって、それが十五年と一年という差があるということは、国民から見たらどうしても分かりにくい。これは家族からとっても非常にやっぱり苦痛だと思うんです。被害者もそうだし、その刑を確定している両方ともそうだと思うんですね。やっぱり、もう一回ちょっと法務大臣の決意を述べていただきたいと思います。

○国務大臣(小川敏夫君) 見直すということを決めるわけではございませんが、この死刑については様々な意見がございます。それで、死刑の存廃、死刑制度の存続、あるいはこれを廃止するかということにつきましては、法務省の中でこれまで勉強会を重ねてきたところでございます。そして、廃止の方、存続の方、それぞれが強い御意見の中で、これを一本化して結論を得られるということができないので両論併記ということで勉強会終わったわけでございますが、さらに引き続きまして、今度は死刑の執行の在り方あるいは情報の公開の在り方等、これをどのように扱うかということにつきましては、やはりこれも議論した方がいいのではないかというふうに国民の間からも声がありますし、私自身もそういうふうに考えております。
 ですから、この死刑の執行の在り方、そうした情報の公開の在り方、あるいは死刑の告知の在り方等について、法務省内に、法務省の中につくるかどうかは別にしまして、この検討をするという方向で今取り組んでおるところでございます。

○赤石清美君 それなりに考えているということですけれども、私は、どうも最近見ていると、政治家の意識によってそれが、刑が滞ったり滞らなかったりするというのはやっぱり問題だと思うんですね。この点については、法務大臣、いかがですか。

○国務大臣(小川敏夫君) 今死刑の確定して未執行が百三十二名でございますか、これは突然百三十二名になったんではなくて、ずっと言わば戦後の死刑制度の積み重ねの中で徐々に徐々に増えてきて、今、今日に至っておるわけでございますが、これまでの法務大臣はそれぞれの観点で御判断されたんでありましょうけれども、私について述べさせていただければ、決して気分次第ということではなくて、しっかりと精査した上で三名を特定して命令したものでございます。

○赤石清美君 まだよく分かりませんけれども、今盛んに検察の可視化の問題が起こっていますけれども、もう少し私は、可視化を求めるぐらいなんですから、この制度についてももうちょっと国民に分かりやすくやはり提案をすべきだろうと思いますので、粛々とやはり実施していくというのが基本だと思いますので、是非そういうことでやっていただきたいと思っています。
 最後に、自殺の問題についてお伺いしたいと思います。
 資料の二番目に自殺対策白書のデータがありますけれども、自殺の要因は様々あると思います。やはり家族の問題、コミュニティーの問題、景気の問題、様々あると思いますけれども、この十四年間、三万人を超えているというのはやはり異常な事態というふうに考えるべきだと思いますが、担当大臣、いかがですか。

○国務大臣(中川正春君) 御指摘のように、十四年連続で三万人を超えている。私も、これについてはもっと危機感を持たなければいけないというふうに思っております。
 ただ、二十一年から二十二年、二十三年にかけては若干減少してきておりまして、二十三年では三万六百五十一人。三万一千人を下回るのは十四年ぶりということであります。
 その中で、一つは、しっかりその原因といいますか、その根本的な要因というのを分析をしていって対策をつくるということだと思っています。実は、去年から警察の協力を得まして、生データをそのままこちらに向けて上げていただく。これまでは警察で丸めて、その結果をこちらへ持ってきていただいていたんですが、それを生データを上げていただいて、それで分析を今始めております。そういうことを取っかかりにしまして、しっかりとした対策をこれからつくっていくということであります。
 実態把握と、それから一層有効な対策の推進についてこれからもしっかり取り組んでいきたいというふうに思っております。

○赤石清美君 とにかく原因を究明しないことにはなかなか対策が取れないわけでありまして、その原因の究明をもっと幅広く、今警察と言いましたけれども、警察だけではなくて、学校とかいろんなところであると思うんです。
 私が心配しているのは、若年層が増えているんですね。この若年層と四十五から五十五歳という層があって、こちらはどちらかというと、社会問題、企業の経済状況によって左右されていると思うんですけれども、それはある程度原因が分かると思うんです。この若年層が増えているというのは少し問題だなと思っているんですけれども、大臣、いかがな認識ですか。
○国務大臣(中川正春君) 御指摘のとおりでありまして、そこについても、前回の答弁のところで文科大臣の方から、学校での様々な要因についてしっかり分析をし、対応していきたいという話もありますし、周辺の、何といいますか、組織あるいは仕組み、これについても改めて再検証をしていきたいというふうに思っております。

○赤石清美君 これも国民の非常に大きな関心事のことでありますので、若者に対する自殺の対策、そして働き盛りの中高年の自殺対策、しっかりとやっていただきたいと思っております。
 いずれにしても、今日の議論を通じて、やはりもっともっと社会全体で命の大切さということをしっかりと考える必要があるし、将来設計もみんなでしっかり考える必要があるということを痛感しました。命を守る政権としてしっかりと対応していただきたいということをお願いしまして、私の質問を終わります。
 ありがとうございました。

○委員長(石井一君) 以上で赤石清美君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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○委員長(石井一君) 次に、山本博司君の質疑を行います。山本君。

○山本博司君 公明党の山本博司でございます。
 本日は、子育て支援策につきましてお伺いをいたしたいと思います。
 今回の社会保障と税の一体改革では、消費税収の使い道をこれまでの年金、医療、介護から子育てを加えた四本柱に改めるとして、高齢者だけでなく子育て世代への支援をうたっております。政府の説明によれば、消費税率五%増税分の使途につきましては、四%、十・八兆円程度につきましては社会保障の安定化として既存の制度の維持に使われ、残りの一%、二・七兆円程度のみが新規の社会保障の充実に充てられるとのことでございます。そのうち七千億円程度が子育て支援対策ということであり、これで様々な課題が本当に解決できるのか、疑問な点が多くございます。特に、今回の目玉と言っている三月三十日に閣議決定されました子ども・子育て新システム関連三法案につきましては多くの疑問点があると、こう指摘されております。今日は、基本的な考え方をここで確認をしたいと思います。
 まず、この新システムの趣旨、目的につきまして簡潔に答弁をいただきたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) これからいよいよ御議論をいただくということになってまいりました。よろしくお願いをしたいと思います。
 近年の家族構成、あるいは地域のつながりの希薄化、あるいは雇用、将来、非常に不安定な形の中で子供を育てていくということでありますから、それに対して社会全体でこれを支えていくということ、これに基づいたチルドレンファーストという理念によっております。
 一つは質を向上させるということで、教育とそれから保育、これを一体化して質を上げるということ、それからもう一つは量を大きく広げていく、そしていろんな類型の選択肢を安定をさせていく、保育の選択肢を安定をさせていくということ、これを目指したものであります。

○山本博司君 これまでも様々な形で議論されておりますけれども、ここで改めて、子供の育ち、子育て家庭を社会全体で支えると、こうございますけれども、この考え方はどういう意味を持っているんでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 様々な議論でありますように、まずは、子育てというものは家庭が第一義的な形で構成されるものだということ、これは基本だと思います。しかし、それが社会の非常にさっき申し上げたような不安定さ、あるいは家庭そのものがそれこそ壊れるというケースも出てきておる。そういうときであっても子供はやっぱり育つんだということ、そのためには社会全体でそれをしっかりと支えていくようなシステムを構築をしていくということ、これが大事であろうということで、両方が両立をしていくような、両立というより、こちらがベースをつくっていって、家庭を中心にした子供の安定した成長というのが見守っていけるような、そういうことを考えて社会全体でということであります。

○山本博司君 もう少し。教育基本法の第十条、「父母その他の保護者は、子の教育について第一義的責任を有する」と、この教育基本法がございますけれども、今回、児童手当法の改正におきましても、基本的な認識、親の責任、これ、確認をしてございます。幼稚園は幼児教育ということで教育基本法の下で想定をされているわけですけれども、今回の法案、社会全体で支えるということと、今言いました親の責任、この整合性、どのように取られているんでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 子ども・子育て支援法案によりましても、二条で「子ども・子育て支援は、父母その他の保護者が子育てについての第一義的責任を有するという基本的認識の下に、家庭、学校、地域、職域その他の社会のあらゆる分野における全ての構成員が、各々の役割を果たすとともに、相互に協力して行われなければならない。」というふうに規定をしております。そういう意味で、第一義的に責任が親にあるということ、これはこれまでの教育のサイドでの考え方と軌を一にしながら進めているということでございます。

○山本博司君 ありがとうございます。
 この子供の育ち、子育て家庭を社会全体で支えるという考え方、進めていくんであれば、働く人の仕事と子育ての両立を支援するワーク・ライフ・バランス、この実現に向けた取組、大変推進する必要がございます。しかし、今回の新システム拝見をいたしますと、このワーク・ライフ・バランス、別途検討するというふうにしておりまして、具体的な検討は先送りされた状態になっております。
   〔委員長退席、理事川上義博君着席〕
 こうした柔軟な働き方を支援するということと、多様な保育サービスの充実、この両輪がやはり大事でございますけれども、今後、こうしたワーク・ライフ・バランスの実現、どのようにまず厚労大臣は取り組まれるのか、お聞きをしたいと思います。

○国務大臣(小宮山洋子君) 子ども・子育て支援法案では、ワーク・ライフ・バランスの実現に向けまして、市町村子ども・子育て支援事業計画等で仕事と家庭の両立に係る施策との連携を規定することを市町村等の努力義務とするとともに、事業主自らのワーク・ライフ・バランスへの取組ですとか、国や地方の施策への協力を事業主の責務として規定を法律の中にしています。
 今現在でも、厚生労働省としては、短時間勤務制度の義務化ですとか、男性の育児休業取得促進のための制度、こうしたことを盛り込んだ改正育児・介護休業法の周知徹底、また、期間雇用者の育児休業の取得ですとか、育児のための短時間勤務制度等の利用促進、そして、仕事と子育ての両立を図るための雇用環境の整備などを進める次世代法に基づく一般事業主行動計画の策定、認定の一層の促進、またファミリー・フレンドリー企業の表彰など、いろいろ取り組んでますが、おっしゃいますように、今回、子供の居場所をつくること、あるいは経済的支援をすることの政策の進み方に比べますと、ワーク・ライフ・バランスのところが実質的にまだ効果的な形で働いていないという御指摘はそのとおりだと思いますので、一層力を入れていきたいと思っています。

○山本博司君 やはり、当初の子育てビジョンの中ではワーク・ライフ・バランスの内容はかなり細かく規定はされたわけですけれども、今回の内容ではかなり先送りされている状況でございますので、しっかりその点は取り組んでいただきたいと思います。
 次に、具体的な内容に関しましてお聞きをしたいと思います。
 今回の新システムでは、施設の一体化と給付システムの一体化を進めることで幼保一体化を推進し、二重行政の解消を図ると、こうしているわけでございます。
 幼保一体型の総合こども園、二〇一五年をめどに創設することになっておりまして、保育園の大半はこの三年程度で総合こども園に移行することになっております。しかし、幼稚園には移行期間を設けない、こうなっておりますので、現行の幼稚園のまま存続をする形がございます。また、こども園給付の創設で、施設への給付、これは一体化されると、こう思っておりましたけれども、幼稚園の私学助成、これは残されることになっております。
 これでは本当に一体化になっているのかどうかという多くの疑念がございます。この点、どうお考えになるんでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 御指摘のとおり、給付の一体化それから施設の一体化、この両方を進めていくということです。それで、この総合こども園という類型をつくることによって、そういう意味では、給付と施設、これは一体化してくるわけですが、御指摘のように、幼稚園については残るということになります。
 これ、様々な、いわゆるステークホルダーというか、関係者が一年以上ここのところを議論をしてきたんですけれども、一つは、市町村の地域によって保育の事情あるいは教育ということに対する期待、特に農村部についてはここの部分の様々な議論がございまして、でき得れば、その市町村が地域の実情に応じて幼稚園を含めた多様な施設を計画的に整備するということが仕組みとして類型化していくことも、今の時点では必要なんじゃないかという議論になりました。その上で、最終的には政策誘導をしていきたいと思うんです。幼稚園から総合こども園へ向けて政策誘導をしていくというこの前提の中で今、幼稚園のシステムがしばらくは残るという、そういう考え方でございます。

○山本博司君 これは幼保一体化でなくて幼保五体化とか幼保多元化だとか、様々な形でやっぱり複雑になってしまいました。
 やはり、一番これが、皆さん困られるのは保護者だというふうに言われております。よく言われておりますのは、この新制度で一番困るのは保護者ではないかと。複雑な仕組みを理解しなければいけない、保護者の情報力、精神力などで子供の育ちの場が決まってしまうというので大変危惧をされているということも言われております。そういう意味で、非常に、このこども園制度、当初かなり一体化という意味で期待をされたわけですけれども、複雑になってしまっているということが言われております。
 そこで、今回の新システム、私学助成が残されました。また、社会福祉法人にも支援の範囲を広げるということで、これは当初の目的、給付の一体化とは違ってきているわけですけれども、この私学助成を残した意味、文科大臣、これはどうなんでしょうか。

○国務大臣(平野博文君) 議員の御質問でございますが、過渡的措置、究極の方向性というのは、先ほど来、中川大臣を含めて御答弁されております。
 今、現行の部分で私学助成との関係について御質問でございます。
 まず、私立幼稚園に対する機関補助という現行の私学助成につきましては、幼稚園の運営に関する経常的経費の補助の一般補助と、こういう考え方、また各園それぞれ特徴ある、預かり保育でありますとか子育て支援でありますとか、多様なニーズに対応していただくための特別補助と、こういう制度設計で今、現行なっておるわけであります。
 今回の新しい新システムにおきましては、現行の私学助成のうちの一般補助という観点におきましては、原則こども園給付に統合をさせていただこうと考えております。また、特別補助のうち、預かり保育や子育て支援に対する補助については、私学助成という考え方ではなく、新しいシステムにおける子ども・子育て支援事業として改めてそこに再構築をすると、こういうことでございます。
 一方、特別補助のうち、特別支援教育など多様なニーズに対応する特色ある取組につきましては、幼児期の学校教育を振興すると、こういう奨励的な観点から、引き続き私学助成によって支援をさせていただくと、こういう考え方で残しているということでございます。その際には、学校法人に加え、社会福祉法人が設置されている総合子ども園についても助成の対象とさせていただいているところでございます。
 なお、例外的には子ども園の指定を受けない幼稚園が今委員御指摘のように残ると、こういうところでございますが、新システムの枠外で例外的に私学助成の対象を継続すると、こういうことで対応したいと思っております。

○山本博司君 今ありましたように、子ども園の枠外で残る幼稚園、これは別の形、私学助成が残るということで、完全的な一体給付ではないというのが現状だと思います。
 もう一つ大きな問題というのは、この新システム、当初、二重行政の解消を目指しておりました。ところが、最終案では、所轄官庁が厚労省、文科省だけでなく、内閣府も含まれることになりますから、三重行政というふうに言える状況になっていると思います。今回のシステムの目的、一体何だったのかと、この一体化の意味というのが大変問われているわけでございます。
 民主党は、かねてから、この二重行政を解消するために、子ども家庭省の設置、このことを目指しておりましたけれども、いつまでにどのように進めるか、この部分が明らかではありません。民主党マニフェストでもこれを掲げておりましたけれども、この看板に偽りがあると言われても致し方がないと、こういうふうにも言われている形でございます。
 この子ども家庭省の設置に伴う検討はどうなっているのか、また、子ども家庭省設置までの間は内閣府の中に統括的な部局を設けるよということでございますけれども、文科省、厚労省の一部の部局をいつの段階から移管させるつもりなのか、この点をお聞きしたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 内閣府に一本化をしていきます。それで、具体的には、先ほどお話のあったように、新システムの本格施行時に、内閣府に子ども・子育て本部、これを設置をするということにしております。それに続いて、子ども家庭省、これの創設を、それぞれ組織全体を見直していく中で議論しながら再編時に実現をするという日程で進んでいきたいというふうに思っております。

○山本博司君 この民主党のマニフェストの中でも子ども家庭省ということを大々的に掲げて子ども手当と両方やっておりましたけれども、海外で一体化が成功した中で、この省という、家庭省という形で省にやったケースはあるんでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 北欧の国など、名前はいろいろございますけれども、子供とかそれから家庭のことを一緒にやる省を持っているところはあります。
 それで、今、政府としましても、すぐにはつくれませんけれども、マニフェストに掲げた子ども家庭省をつくっていくということはちゃんと掲げたままそれはやっておりますので、今回は一括的に内閣府に統括をする部分を設けて、先ほどおっしゃった、当初は残る保育園と幼稚園のところも、そこに兼務を掛けていきますので、必ずそこは一体化をいたします。

○山本博司君 部局ということと省とは全く全然次元の違う部分でございます。海外では一体化の成功した形で新しい省庁をつくった例はありません。それほどやはり大変な部分だと思いますけれども、現実的には、今回の新システムの中には、この子ども家庭省に関しての創設が先送りされたという、そういう部分は間違いない部分でございますので、こういう点に関しましても、しっかり、マニフェストに対しての違反だと私は思う次第でございます。
 次に、待機児童への対応についてお伺いをしたいと思います。
 全国の待機児童数、二万五千人に上がっておりまして、潜在需要は八十万人いるとも言われております。今回の新システムは、待機児童解消につなげること、これを目指しておりますけれども、その効果は懐疑的な見方がございます。待機児童につきましては、都市部を中心に、現状の今の待機児童を減らしても、今言いました潜在的な需要がございますから、イタチごっこでなかなか解消しないというのが現実です。
 この待機児童の解消に向けてどのように対応を求めていくのか、お聞きしたいと思います。

○国務大臣(中川正春君) 全国の状況を見ると、地域によって全く逆の傾向が出ているということもあり得るということでありますので、これは保育需要に見合った形でまず計画を策定させるということから始めていきたいと思うんです。
 一つは、市町村新システム事業計画、これを策定をして、保育の提供体制の計画的な整備をそれぞれ市町村あるいは県単位の中で考えていくということ、それからもう一つは、指定制度の導入ということでありまして、これまでは認可ということでありましたが、それを指定ということで変えるということで、それぞれ市町村の財政事情等々、これによって認可というのがいわゆる限られてきたというような事情も、この指定という形によって、もう条件を満たせればそれが実現をしていくというような、そういう圧力といいますか、そういう力に変えていくような制度を導入をしていく。それからもう一つは、多様な保育事業、これを推進していくということで、小規模保育事業、これは六人から十九人の定員や、それから家庭的保育、いわゆる保育ママを地域型保育事業として類型化をして公的な財政支援の対象に追加をしていくということ、こういう広がりを持たせて制度をつくっていきたいというふうに思っております。

○山本博司君 余りぴんとこない施策に感じるんですけれども、今大きな問題、幼稚園の問題、園児が減少し廃園に追い込まれていることがございます。この幼稚園が減少している理由、文部科学大臣はどのように分析、認識していますでしょうか。

○国務大臣(平野博文君) 委員御指摘のように、確かに幼稚園の施設数は減少傾向にございます。ピーク時は昭和六十年に大体一万五千二百園、平成十年には一万四千六百園、平成二十二年には一万三千四百園と減少傾向にございます。
 これは、やっぱり少子化という、こういうことで総体として子供の数が減っているというふうに一つは思っております。二つ目は、やっぱり共働きの世帯の増加により保育園に通う子供さんが増えてきたと、こういうことで、結果的には幼稚園に通う子供さんが減ってきていると、こういうことでございます。
 過去のトレンドを見ますと、その分岐点になっておりますのが大体平成の十一年ぐらいがこのターニングポイントで、保育園児が増えていっていると、こういう傾向だと思っております。

○山本博司君 こうした幼稚園の大変な状況の中で、総合こども園に移行しようというこのインセンティブが本当に動くのかというのは大変大きな疑問がございます。
 といいますのは、特にこの待機児童の八割が零歳から二歳児の保育でございますけれども、それを総合こども園に義務付けをいたしませんでした。ですから、この部分の施設数が増えないのではないかという、こういう指摘が強くございます。
 当然、幼稚園でこのためには施設にお金を、改修しないといけません。保育士も確保しないといけません。調理とか様々な形も、この施設の整備をしないといけません。そういったことが本当にできるのかどうかと、こういう面では多くの幼稚園の経営者の方々は懸念されておりますけれども、この待機児童解消のための幼稚園施策の活用策、大臣はどのように考えていらっしゃいますか。

○国務大臣(平野博文君) 委員御指摘のように、待機児童の解消と幼稚園の施設をもっと活用したらどうだと、こういう観点からの御質問だと思っております。
   〔理事川上義博君退席、委員長着席〕
 当然、これは既存の幼稚園を活用して保育の量的拡大を図るには有効な方法であると、こういう認識をしております。このためにも、子ども・子育て新システムにおきましては、新たに幼児期の学校教育と保育を一体的に提供する総合こども園をつくっていこうと、幼稚園が総合こども園に移行することにより、保育を必要とする子供も受け入れ、待機児童の解消に資すると、こういうことでございます。
 したがいまして、そういうインセンティブと、こういう考え方でありますが、保育単価によるインセンティブ、あるいは調理室とか施設の支援をすることによって幼稚園の総合こども園化への移行を促進をしたいと、かように思っております。

○山本博司君 幼稚園協会の役員の方々、今回のこの新システム、大変反対をされていらっしゃいます。この二年間近い形で議論をされて、様々な幼稚園に対する支援をされているにもかかわらず反対を表明されている。なお、都心部の方々、実際この幼稚園に移行する際に、じゃ、補助金がどのくらい出るのか、実際移行をするためにメリットとデメリットを考えたときには、実は三千万円ぐらい掛かるというような方々もいらっしゃいますし、そういう部分で不明確なわけですね。見えないわけです。ですから、こういった部分で、総合こども園に移行しようと、こう思いがありますけれども、現実できないというのが私は今の幼稚園協会の方々、幼稚園の経営者の方々ではないかという、この危惧をいたしております。
 もう一つ、保育園の立場から今度はお聞きをしたいと思います。
 この待機児童対策が叫ばれる中で、保育士の処遇の悪さがこれが指摘をされております。年功序列型の賃金体系の公立保育所とは違いまして、民間の保育所に勤務する保育士の給与、大変これは低いのが実態でございます。また、非正規の方々も多い。先日、高知県で保育士の方とお話をしました。十二万円というお話でございました。現実的には、そこではもう二十代、三十代の方も親から自立ができない、このようにもおっしゃっていらっしゃいます。こういう待遇改善ということが大変必要でございます。新システムで保育サービスの量、これを増やしたとしても、保育士の処遇が改善されなければ持続的な質の高い保育環境は築けません。厚労大臣、いかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) それはおっしゃるとおりだと思います。保育士の給与は全産業平均の給与に比べた場合かなり低くて、学校を出ても保育士にならない方がある。そういう方たちになっていただかないと、受皿を多くしたいとしているのに、そこに質のいい労働力がないというのは御指摘のとおりで、今も保育所の運営費では保育士の平均勤続年数に応じた給与改善費の加算などを行っていますが、今法案を提出した子ども・子育て新システムでは、職員のキャリアアップとか処遇改善を含めた保育の質の更なる向上を図るために必要な事項について恒久的な財源を確保することにしておりますし、また、総合こども園の中では保育士などの配置基準を上げたいと、そのようにも考えているところです。
 一言だけ。先ほど、幼稚園協会が反対されているということでしたが、内閣府につくった、一年半私もかかわったので一言だけ申し上げますと、そこには幼稚園の代表も、幼稚園の養護教諭の代表も入っていただいた中で合意をして案を作り上げております。

○山本博司君 先ほどの件を含めて、一任等の問題ということで、幼稚園協会の役員の方は大変憤慨をされたということは事実としてお伝えを申し上げたいと思います。
 次に、認定こども園の扱いということでお伺いをしたいと思います。
 二〇〇六年から導入されましたこれまでの認定こども園、認定を得るための一定の基準をクリアして子育て支援に取り組んでこられました。特に、地方裁量型の認定こども園、これは認可外の保育施設でございますけれども、幼稚園、保育園の補助等を受けないで大変御苦労される中で、私も何度か全国の園長会の皆様と、内閣、また内閣府とか厚労省に参りました。そうしたこの認定こども園だった施設が今回総合こども園に移行する際にどのような扱いを受けるのか、そうした御苦労が報われるような制度かどうか、中川大臣、お願いします。

○国務大臣(中川正春君) 先ほど申し上げたように、認可から指定という枠組みに変わっていきますので、その指定条件をクリアをしていただくというところ、それからまた、それにまだ満たしていない課題があるとすれば、それを私たちも含めてどのように克服していくかというところ、そんなところをしっかりきめ細かに政策としてつくり上げていきたいというふうに思っております。

○山本博司君 もう是非ともその流れは含めてお願いしたいと思います。
 そして、問題は財源でございます。今回、消費税分七千億円程度が充当されるということでございますけれども、給付に必要な年間予算、量的整備に係る財源四千億円、質的整備に係る経費六千億円、約一兆円でございます。これで十分足りるのか、また残りの三千億円は一体どういう財源の確保策を検討しているのか、この財源に関してはいかがでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) そこのところが一つ大事な点だというふうに思います。財務大臣もおっていただきますので、一つ確認をしていきたいと思うんですが、さっきのお話のように、〇・七兆円程度というのが消費税の財源ということで前提にしておりまして、あとはそのやりくりの中で、いわゆるこれからの全体的な予算の見直しの中でやりくりをしていくということが前提になっております。
 ただ、それぞれ関係大臣が話し合った上で、平成二十四年度以降の子どものための手当等についてということで大臣合意というのができておりまして、ここでは、子ども・子育て新システムについては、社会保障・税一体改革成案、これにおいて税制抜本改革以外の財源を含めて一兆円超程度の措置を今後検討することとされており、財源確保のために最大限努力を行うということで合意をした上でこれを進めていくということになっております。
 そうした意味で、全体のどうぞ議論、税と社会保障の一体改革を含めてよろしくお願いを申し上げたいと思います。

○山本博司君 この財源は消費税ということでございますけれども、二十七年度の十月から一〇%ということですが、それまでこの待ったなしの、こういう待機児童も含めてでございます、その間の対策はどういう形で対応するんでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) その間の対策というのは、先ほど申し上げたように、それぞれ関係大臣が合意をしたいわゆる認識の中で財源を組み替えて、しっかり確保をしていくということになります。

○山本博司君 非常に消費税頼みといいますか、大変そういう問題が大きいということでございます。
 中川大臣、この新システムの法案に関しましては修正もあり得るというふうな見解を出されておりますけれども、これは原案には固執しないということでよろしいんでしょうか。

○国務大臣(中川正春君) 担当大臣、あるいはこれを法案として提出をさせていただく立場としては、できる限り野党の皆さんにもこの形を御理解をいただきたい、その努力をして説明をしていきたいと思うんですが、一般的に言いまして、この状況の中ではやっぱり与党と野党がしっかり話合いをしていく、その理解の中で議論を進めていくということが大事だということを申し上げたということでございます。

○山本博司君 じゃ、修正の可能性もあるということでよろしいですか。あるということでよろしいんですね。

○国務大臣(中川正春君) まず御理解をいただくということで、よろしくお願いします。

○山本博司君 修正があるということを受け止めさせていただきました。今、やはり大事な子供の問題でございますから、しっかり様々な声を聞いていただいて進展をしていただきたいと思う次第でございます。
 次に、この新システムとも関連をします社会的養護ということでお伺いをしたいと思います。
 いわゆるタイガーマスク現象から一年が経過をしまして、社会的養護の重要性や課題が明らかになってきております。政府では、昨年の七月に児童養護施設等の社会的養護の課題に関する検討委員会におきまして、社会的養護の課題と将来像について取りまとめが行われました。
 そこで、厚労大臣に、最近の要保護児童の推移、また児童虐待の実情ということを御報告いただきたいと思います。

○国務大臣(小宮山洋子君) 全国の児童相談所での児童虐待に関する相談対応件数は、平成十一年度の児童虐待防止法施行前の五倍に増えています。そして、児童養護施設では半数以上の子供が虐待を受けた経験があり、また、およそ四分の一の子供が発達障害ですとか知的障害など何らかの障害を持っていることから、共に専門的なケアが重要となっています。このため、社会的養護の質、量ともの充実が必要だというふうに認識をしています。

○山本博司君 今大臣から報告ございましたように、半数の児童が何らかの虐待を受け保護されているということでございますし、また、四分の一の児童が発達障害を含めた何らかの障害があるということでございまして、この児童の抱える問題が複雑化、多様化して、一人一人の児童に対するきめ細やかな対応が求められているわけでございます。
 私も、全国の児童養護施設、被災地の福島とか、ふるさとの愛媛、また四国も回らせていただきました。また、ファミリーホームとか自立援助ホーム、里親の方々からも様々な相談を受けてきておりますけれども、その中で大きな課題は、この児童養護施設であれば職員の人員不足という問題でございます。現在六対一で、二十四時間の交代勤務を行う際には一人で十八人の児童を見るということで、先ほどのような虐待を受けている方、発達障害の方々、これはもう大変ケアすることは難しい実態がございます。
 こうした声に対応して、この二十四年度予算から三十六年ぶりに人員配置が見直しされました。その点、御報告いただきたいと思います。

○国務大臣(小宮山洋子君) 今委員御指摘のように、大変重要な社会的養護ですけれども、いつも後回しになってきたものを、例のタイガーマスクの現象があったとき私は副大臣をしていたんですけれども、もっと行政で迅速にできることがあるはずだということで、現場の方に集まっていただいて検討会を立ち上げまして、その結果、昨年七月に課題と将来像を取りまとめました。この中で、今御指摘いただいた児童養護施設の人員配置について、現在の六対一から四対一に引き上げる、この目標を検討していくことにしています。
 平成二十四年度予算案では、本当は四対一に近づけたいんですが、厳しい財政状況の中で、人員配置について六対一から五・五対一に、これでも厚生労働省の児童養護施設の予算が三倍近くになったということで、三十六年ぶりに引き上げることができました。これによりまして、定員規模五十八名の施設では人員配置が一人増えることになりまして、ほんの僅かですけれども、子供のケアが充実する方向になったかと思っております。

○山本博司君 それは大変大事な部分だと思います。ただ、まだまだ現実四対一まで、これは是非この予算も含めて推進をお願いしたいと思います。
 検討委員会のまとめで、その中でも家庭的な養護という意味で里親の重要性ということも提言をされております。ただ、里親になるということは大変大きな決意がありますし、いろんなケアも必要でございます。
 この里親に対する支援策、厚労大臣、これはいかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 特に、虐待を受けた経験などを持って心に傷を持つ子供は育てにくいということもあり、里親支援の充実が必要だというふうに認識をしています。
 このため、現在、里親会、児童家庭支援センター、児童養護施設などを里親支援機関に指定することによりまして、里親の支援の充実を図っています。
 また、先月、里親委託ガイドラインなどを改正いたしまして、定期的な里親家庭への訪問、複数の相談窓口の設置、里親同士が交流する里親サロン、里親に対する研修、里親の休養のための一時預かりなどの里親支援の充実を図ることにしています。
 平成二十四年度予算案でも、里親支援の体制を整備するために、児童養護施設と乳児院に里親支援専門相談員を配置をいたしまして、児童相談所などと連携を図りながら支援を推進することにしています。

○山本博司君 是非とも、里親の方々に対するこの支援策ということでお願いしたいと思います。
 同じように、この里親の延長としてできたものがファミリーホームでございます。このファミリーホーム、今百二十六か所ということで、将来的に千か所を目指しているということでございますけれども、一部の自治体ではこれを施設の一部として扱うという形で大変、改修の工事であるとか莫大な書類の提出を求めるようなこともございました。こういったことは養育者にとりましては大変負担でございます。
 早急に改善をすべきと思いますし、家賃補助等を含めて、このファミリーホームの支援ということが必要だと思います。これはいかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) ファミリーホームにつきましては、平成二十一年の児童福祉法改正によりまして、里親のうち五人又は六人の子供を養育する者を小規模住宅型児童養育事業として制度化をしたものです。
 実施後三年が経過をいたしまして、御指摘のように、新たに開始をしたファミリーホームの中には、里親から移行したもののほかに、施設分園型グループホームとの違いが曖昧なものもございまして、関係者から理念を明確にしてほしいという意見が出されています。このため、先月、里親及びファミリーホーム養育指針を定めまして、児童福祉法施行規則を改正をし、ファミリーホームは児童を養育者の家庭に迎え入れて養育を行う家庭養護であるという理念を明確にいたしました。この周知を図っていきたいと思っています。
 ファミリーホームは里親が大きくなったもので施設が小さくなったものではないという、こういう位置付けですので、その理念に基づいてファミリーホームの推進を図り、いろいろな意味の支援をしていきたいというふうに考えています。

○山本博司君 是非とも、このファミリーホームの、家庭的な、こういう里親も含めまして養護が大事でございます。施設が今九で、こうした里親とか家庭的な養護が一というふうに言われておりまして、三分の一を目指すということでございますから、是非その点の支援をお願いしたいと思います。
 次に、虐待防止策ということで、実際、虐待を受けた子供たちが児童相談所の判断で乳児院とか児童養護に入所をします。そして、親とか家庭環境が改善されますと、今度は自宅に戻るということで、復帰した子供が二〇一〇年度では千八百六十三人と、二〇〇六年度と比べて三百人近く増えております。しかし、こういう中でも、再び虐待を受けるとか、大変な状況もございます。
 大阪府では二〇一二年度から、専門の相談員が定期的に復帰家庭を相談に乗るという、訪問して、支援事業を推進しておりますけれども、こうした効果的な事例はやっぱり全国で進めるべきと思いますけれども、いかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 虐待などによって施設に入った子供が家庭に復帰をする際には、児童相談所が家庭の状況の変化に即座に対応できるよう、一定期間、少なくとも六か月間は児童福祉司などによる指導を継続をしています。あわせて、児童相談所は、家庭復帰の前に、市町村や入所していた施設に対して、保護者が適切な援助を受けられ子供が安全に暮らせるよう、家庭の状況を把握し、児童相談所に連絡してもらうように依頼をしています。
 御指摘いただいた事業につきましては、平成二十四年度から大阪府が、安心こども基金を活用して、施設退所後の子供のいる家庭を訪問支援員が訪問する事業を行い、これによって効果的な訪問の在り方について明らかにして、ガイドラインを作成する予定と聞いています。
 厚労省といたしましては、このような取組をしっかりと評価をいたしまして、有効性があると認められれば、好事例として全国にお知らせをし、紹介をしていきたいと思っています。

○山本博司君 是非とも、この辺の推進もお願いしたいと思います。
 そして、最後に、この子育て支援策、様々な支援の拡充が望まれておりますけれども、やはり一番推進で大事なのは財源でございます。社会保障と税の一体改革の大綱では、子育て支援一兆円ということで、予算の確保が必要としてございますけれども、この今言いました社会的養護に関しましては、措置の部分ということで、現行制度でやってくださいという内容でございます。ですから、現状がなかなか先に進まないというのが現状でございます。
 予算規模、今約八百億円でございますから、やはり十年後を考えますと、数百億円程度でこれは実現できる規模だと思いますけれども、この社会保障の充実を議論するんであれば、こうしたセーフティーネットの充実、大変大事でございます。
 最後に、この点に関していかがでしょうか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 私も新システムの議論にずっとかかわってまいりましたけど、この社会的養護についても盛り込んでございます。ただ、その中でどれだけの財源を確保できるかというところがまだ定かでないということかとも思いますので、先ほど申し上げたように、これは、今の虐待の状況、あるいは障害をお持ちのお子さんが多いことなどから、しっかり支援をしていかなければいけないので、配置基準も財源の関係でほんの一歩前進でございますので、更に何歩も前進できるようにしっかり財源も確保をしてやっていきたいと思っています。

○山本博司君 この社会的養護に関しては、新システムに関して僅か一行のみでございます。そういう意味では、しっかり取り組んでいただきたいということをお願い申し上げまして、質問を終わりたいと思います。

○委員長(石井一君) 以上で山本博司君の質疑は終了いたしました。(拍手)

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○委員長(石井一君) 次に、吉田忠智君の質疑を行います。吉田君。

○吉田忠智君 社会民主党・護憲連合の吉田忠智でございます。
 社会保障と税の一体改革は、まず社会保障の全体像を示した上で、税金や保険料等でどれだけ国民に負担していただくのか、その際に逆進性対策などどのような対策が必要かといった丁寧な議論が必要であります。そこでまず、懸案となっている課題について何点か質問させていただきます。
 まず、障害者自立支援法の廃止問題であります。
 自立支援法を廃止し、総合福祉法を制定することは、マニフェストでも、さらには裁判所の和解に向けた違憲訴訟原告団との基本合意でも確認されております。しかし、政府の障害者総合支援法案は、自立支援法の廃止ではなく、改正であります。また、内容的にも、多くの障害当事者が参加した総合福祉部会が昨年八月に出した骨格提言で打ち出した利用者負担の原則無償が入れられないなど、骨格提言を尊重するものになっておりません。
 総合支援法案は一旦撤回をして、自立支援法を廃止し、骨格提言に最大限沿った新たな総合福祉法案を出し直すべきではないかと考えますが、いかがですか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 平成二十二年十二月の障害者自立支援法等の一部改正によりまして、自立支援法廃止の最大の理由でありました利用者負担が応益負担から応能負担に改正されるなど、抜本的な改正が行われています。
 今回の新法では、障害者基本法に基づいた基本理念を盛り込んであります。法律の根幹となる名称ですとか目的規定を改正することにしているので、これは障害者自立支援法の廃止になるというふうに考えています。
 また、御指摘の総合福祉部会の骨格提言につきましては、これは障害当事者の皆さんの思いが込められたもので、ちょうだいをしたときから、これは段階的、計画的に実現をしていくと申し上げています。直ちに対応可能なものは今回の新法で盛り込みましたし、障害福祉サービスの在り方ですとか障害程度区分の認定を含む支給決定の在り方など検討に時間を要するものにつきましては、施行後三年をめどに、当事者の皆さんなどの意見も伺いながら見直しの検討を行うことにしています。
 こうした法律による対応に加えまして、報酬、予算、運用等、引き続きあらゆる政策手段を組み合わせて障害施策の充実に取り組んでいきたいと考えています。

○吉田忠智君 多くの当事者の皆さんが抗議しているわけですよ。事実上、実質上の廃止というのは廃止ではありません。改正です。障害程度区分に代わる新たな協議調整モデルの導入が財政負担につながるとする、政府側が原則無償に反対したのではありませんか。
 行政府が司法上約束したことを覆すというのはあってはならないことだと思いますが、その点はいかがですか。

○国務大臣(小宮山洋子君) 今申し上げたように、覆してはおりません。それで、障害当事者の方も、多くの方の御納得はいただいている。一部に異論があることは承知をしていますが、それは時間を掛けて、当事者の方、関係者の方の御意見も伺いながら三年後をめどにやると。段階的にしっかりと計画的に取り組んでいくつもりでございます。

○吉田忠智君 再検討を強く求めます。
 次に、子ども・子育て新システムについてでございます。
 全世代型の社会保障を打ち出す一体改革の目玉政策がこの子ども・子育て新システムであります。しかし、今日も議論がありましたように、認定こども園の低い基準が、創設される総合こども園の基準とされたり、企業参入により給食の材料費や保育労働者の人件費もカットされ、今以上に保育の質の大幅な低下につながるのではないか、また、幼稚園に対して総合こども園への移行が義務付けられなかったことから、待機児童対策とはならないのではないかとの懸念が出されております。
 さらに、就学前の施設は、総合こども園、それから三歳以上の子供のみを受け入れる総合こども園、それからゼロから二歳の保育所、それから現行の幼稚園。所管も、厚労省、文科省、内閣府。一元化、一体化どころか、三元化、四元化じゃありませんか。
 新システムについて、子供にとって必要な保育、幼児教育とは何かという観点から再考して出直すべきだと考えますが、その点はいかがですか。

○国務大臣(中川正春君) 今回のポイントは、幼稚園の持っている教育という機能、それからこれまでの保育園の保育機能、これを一体化をしていって、そして質を高めていくと、これが目標であります。そういう意味で、給付の一体化ということで、こども園給付というのをそうした形で統合をしていくということが一つ。
 それから、もう一つは施設の一体化でありますが、そこに総合、これもこども園という類型をつくって、これまでの認定こども園を更に発展させながら総合こども園に収束をしていくということであります。施行後三年を目途に、保育園については総合こども園に統合して変えていくということ、それから幼稚園についても移行を政策的に誘導をしていくということにしております。
 それからもう一つ、組織についてですが、これは内閣府が担当していくということでありまして、内閣府の特命担当大臣、私を長とする子ども・子育て本部、これを設けて、将来はこれを子ども家庭省ということで発展をさせていくという方向性を持って臨んでいきたいというふうに思っております。

○吉田忠智君 日本の保育はやっぱりOECDでも最低レベルですよ。やっぱり子供の最善の利益、保育士などのケースワーカーの待遇をどう確保するかという視点で考えるべきだと思いますが、その点についての見解を求めます。

○国務大臣(小宮山洋子君) 先ほども答弁をさせていただいたように、新システムの中では、今回、消費税を御負担いただく一%分の充実の一つの柱がこちらでございますので、質を上げるためにしっかりとその配置基準を上げたり処遇も上げたりしたいと考えています。
 就学前の全ての子供に質の高い学校教育と保育をここで用意をするということですので、当然、保育の質が低下しないように国が定める基準でいろいろな基準を、職員の資格、それから人数、それから面積ですとか、いろいろな形でこれは国が定めまして、その基準を踏まえて指定権限を有する市町村が条例で定めるということですので、質を上げようと思っておりますので、下げるということはございません。

○吉田忠智君 是非これもまた再検討いただきたいと思います。
 現役世代に対するもう一つの柱、支援策の柱が非正規労働者への社会保険の適用でございます。当初、政府・民主党は適用拡大を週二十時間以上の三百七十万人全てを最終目標とすると言われておりましたが、結果的には週二十時間以上、従業員五百一人以上の企業に勤める年収九十四万円以上の対象者が四十五万人ということで狭められました。聞くところによれば、民主党の経産部門会議が企業利益を代弁して押し切ったと、そのような話も聞きました。
 国民は本当に失望しております。非正規労働者の皆さんも失望しております。今後の適用拡大についてどのように取り組むのか、伺います。

○国務大臣(小宮山洋子君) 短時間労働者への社会保険の適用拡大というのは、格差の是正という意味からも、多様な働き方を支える意味からも、今回の改革の中の一つの柱でございます。
 私どもは先ほどおっしゃったようなことを提示いたしましたけれども、これは適用範囲をできる限り広くすべきだという労働側からの意見と、それから足下厳しい経済情勢の中で企業経営への影響を憂慮する意見というのがございまして、その結果、これは党の中で四十五万人対象からスタートをすると決めました。そして、施行後三年以内に対象を拡大することを、これは法律に明記をするという案を取りまとめておりますので、これはいろいろなことが一歩ずつ進んでいかなければいけないので、最終的には三百七十万人を目指しながら、現実的なところからスタートをしたということでございます。

○吉田忠智君 これについては、是非、非正規労働者の皆さんが希望が持てるように、適用拡大に向けて特段の努力をしていただきたいと思います。
 次に、歳入庁の設置についてでございます。
 私は、消費税増税を議論する前提として、例えば逆進性対策あるいは価格転嫁の適正化、租税と社会保険料の徴収面の実効性を高める歳入庁の創設、これは必要不可欠だと思います。法律案にもそのことはうたわれているわけでありますが、政府としてどのような方向性で歳入庁の設置を検討していかれるのか、伺います。

○国務大臣(岡田克也君) 歳入庁につきましては、現在、私の下に作業チームをつくりまして検討を行っているところでございます。検討の観点は三点、国民の年金に対する信頼回復の視点、行政効率化の視点、新制度への対応の視点、以上三点に基づきまして、今月中にも中間報告を私に対していただく予定でございます。

○吉田忠智君 いつごろまでに大体具体案が出ることを考えておられますか。

○国務大臣(岡田克也君) 四月中に私に中間報告をいただくということでございます。

○吉田忠智君 これは確かに省益が絡む大変難しい問題でありまして、ある意味では政治主導が問われていると私は思います。その点を特に申し上げて、もうこれ以上今日は議論しません。
 次に、価格転嫁対策について質問します。
 消費税率が五%にアップされた九七年の日本商工会議所などの調査によれば、中小企業者の六割が価格転嫁できなかったと回答しています。今回の消費増税で税率は二倍になるわけですから、中小企業へのしわ寄せを防ぐ観点で、これまでの対策以上の重点的な価格転嫁対策が必要だと考えます。もちろん、今のようなデフレの状況で消費税が上げられるかということは当然の前提としてありますけれども、価格転嫁対策について、基本的な課題として伺います。

○国務大臣(枝野幸男君) 消費税の転嫁対策については、弱い立場の事業者が不利益を被ることのないよう、事業者の実態を十分に把握し、関係府省が一丸となって対策を講じてまいりたいと考えております。
 具体的には、今回、段階的な引上げになることも踏まえ、一つに、消費税の転嫁、表示等に関するガイドラインの策定及びその周知徹底、二つに、中小事業者向けの相談窓口の設置や講習会の開催、三つ目に、取引上の優越的な地位を利用した不公正な取引の取締り、監視の強化、四つ目に、便乗値上げ防止のための調査監督及び指導といった取組を始め、徹底した対策を講じていきたいと考えております。
 各府省の緊密な連携を確保し、総合的に対策を推進するための本部を内閣に早急に設置することといたしております。
 また、転嫁対策と関連して、中小事業者のために必要な財政上、税制上、その他の支援措置を検討することとしており、この方針に沿って適切な支援措置をしっかりと検討してまいります。

○吉田忠智君 今、中小企業対策の観点から、中身がないんです、確かに。それで、制度上の問題として、例えば抜本的な透明化策あるいはインボイス方式の導入、この点についてはいかがですか。これは財務大臣。

○国務大臣(安住淳君) さっきの前段の話ですけれども、やはり下請法とか中小企業関連法とか、公取の取締りを強化して、やっぱり中間で優越的地位から泣くような人がないようにしようということについては、かなり強い、言わば政府としての働きかけは強めていこうということを私ども思っておりますので、そういう観点から先ほど枝野大臣から御答弁いただいたと思います。
 それから、インボイス制度は、残念ながら、今回は単一税率を守るということで見送りをさせていただきました。様々な社民党の御提言をいただくと、上げた場合はインボイスという声もあるわけですけれども、請求書等保存方式で今回はいかせていただきたいと思っております。

○吉田忠智君 いずれにしても、具体策というのがなかなかありません。中小企業者の皆さんが安心できるような状況ではありませんし、前提として、今みたいなデフレ不況の下で上げられるはずもないということも、これは申し上げておきたいと思います。
 次に、逆進性対策についてですが、もうこれは改めて言うまでもありません。逆進性が強いということは政府も認めているところですが、どう対応されるんですか、逆進性対策。

○国務大臣(安住淳君) やっぱりこれまでも消費税を上げた段階で、給付金制度でこれは単発でやっているんですね。今回は、まず番号制度を設けたら、それをベースに給付付き税額控除をやります。ただ、それまでに時間が掛かりますので、その間は簡素な要するに給付制度を考えておるということでございます。

○吉田忠智君 簡素な給付措置、あるいはそれは一兆円必要だというような試算もありますね。それから、給付付き税額控除、今お話ありました。それから、総合合算制度というのも課題として出されています。これは二〇一五年から予定をされていると言われる番号制度の定着が前提です。制度の中身や導入時期も未定です。こんな状態で逆進性対策に取り組んでいるというふうに言えますか。

○国務大臣(安住淳君) ですから、負担がそれだけ所得の低い方には高くなるということで先生は逆進性のことをおっしゃっているんであれば、その負担分について何らかの現金給付によって補うというのは、十分私はそれは取り得る政策だと思います。

○吉田忠智君 全く理解ができません。
 今までるるお話ししましたように、部分ごとに制度設計がされている社会保障改革はがたがたです。消費税増税に伴う徴収の適正化、低所得者の逆進性対策も混乱していると思います。後期高齢者医療制度廃止も、これもできていません。被用者年金の一元化を含む年金制度の抜本改革も先送りです。
 このように、社会保障の全体像や増税に伴う対策、特に逆進性対策も曖昧なまま消費税増税だけを訴えて、国民の納得が得られると思いますか。

○国務大臣(岡田克也君) まず、被用者年金一元化、厚生年金と共済年金の一元化については四月上旬をめどに国会に法案を提出したいというふうに考えております。
 それから、何を前提に議論するかなんですけれども、消費税の引上げだけを議論するのか、それとも消費税を引き上げることによって、年金、医療、介護、あるいは子ども・子育て支援といった社会保障制度が持続可能になるのかという、そこまで含めて議論するのかということだと思います。
 どんどん借金を消費税を上げずに続けていけば、やはりどこかで行き詰まってしまって、ヨーロッパの諸外国の例を見ても大幅な年金の引下げ、削減とか、いろんな厳しい、特に所得の少ない方に厳しい措置に陥ってしまうと。そういったことを防ぐためにも、やはり借金してどんどんツケを先に延ばすということではなくて、やはり健全な増税によってある程度のその財源を担っていくということは私は必要だと思います。
 なお、今回の措置の中で保険料、医療、国民健康保険とか介護とかそういった保険料についての所得の少ない人に対する軽減措置というものも盛り込まれているところでございます。

○吉田忠智君 いずれにしても、この前、福島党首が申し上げましたように、政権発足時の三党合意にももとりますし、また、消費税を引き上げるためのやっぱり条件整備がとても整っていない、国民の皆さんに提示されていない、そのことを申し上げたいと思います。
 原発再稼働の問題、最後に触れさせていただきます。
 私が調べたところによれば、藤村官房長官が代表を務める民主党大阪府第七総支部は、〇九年八月、関西電力関連団体より政治献金を受けております。野田総理の千葉県第四区総支部も電力総連や東電関連から政治献金を受けています。また、枝野大臣も東電関連企業十数社から、パーティー券の購入をしていたというふうに報じられております。このことは事実ですか。

○国務大臣(藤村修君) 政治献金あるいは政治資金パーティーの対価収入については、具体的な内容は収支報告書に記載しているとおりであります。これらの収入は法令の規定に従っていずれも適切に処理されております。
 私の場合は調べていただいたと思いますが、平成二十一年に多分二回に分けてだったかと思います。それがあったと私も記憶しています。

○国務大臣(枝野幸男君) 東電関連企業からのパーティー券という話については、多分一月の朝日新聞の報道だと思いますが、これについては参議院本会議で水野議員から御質問を受けて明確にお答えをしておりますが、私自身そもそもパーティー券、パーティーそもそもほとんどやっていません。過去十年間遡って調べましたが、平成二十二年の三月と十二月に朝食会を開いたというのがございます。そして、その際に、東京電力それから関西電力それぞれ、政治資金規正法の公開基準以下の少額のパーティー券をそれぞれ買っていただいているということはありますが、これを多額ということをどう評価を受けるのかどうかは、それはそれぞれの御判断だと思います。

○吉田忠智君 細野大臣は企業・団体献金を受けられていないということを答弁で聞きましたが、いま一度確認します。

○国務大臣(細野豪志君) 企業・団体献金は受けておりません。それと、パーティーも私はやりませんので、受けたということはないということでございます。

○吉田忠智君 今日、この後、総理含めて四大臣による原発再稼働に関する関係閣僚会議が行われるということでございます。政治判断するといいましても、利害関係者ですよね、政治献金を受けた。李下に冠を正さず。関係団体から寄附を受けている以上、政治判断の資格はないと思いますが、改めてお二人にコメント、見解を求めます。

○国務大臣(藤村修君) 収入は、法令の規定に従っていずれも適切に処理をしています。そういう意味で、原発の再稼働の判断に何か影響があるようなことを言われたのかもしれませんが、それは全くございません。原発の再稼働に対する判断というのは、その手順に従って適切に進めてまいりたいと考えております。

○国務大臣(枝野幸男君) 今の官房長官と全く同じ認識でございます。

○吉田忠智君 極めて疑問が残る、そのことを申し上げまして、質問を終わります。
 ありがとうございました。

○委員長(石井一君) 以上で吉田忠智君、社会民主党・護憲連合の質疑は終了いたしました。(拍手)
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