三重県第2区 衆議院議員 中川正春 / 選挙区(鈴鹿市・亀山市・伊賀市・名張市・四日市市南部)

中川正春 NAKAGAWA MASAHARU

立憲民主党

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衆議院 災害対策特別委員会? 並捻朧儖÷、楠田委員、望月委員、谷委員、坂本委員)

平成24年7月25日(水)

○馬淵委員長 これより会議を開きます。

 議事に入るに先立ちまして、委員会を代表して一言申し上げます。

 このたびの平成二十四年梅雨期の大雨による被害でお亡くなりになられた方々とその御遺族に対しまして、深く哀悼の意を表します。

 また、現在行方不明となっている方々が一刻も早く救出されますようお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に心からお見舞いを申し上げます。

 これより、お亡くなりになられた方々の御冥福をお祈りし、黙祷をささげたいと存じます。

 委員会内の全員の御起立をお願い申し上げます。――黙祷。

    〔総員起立、黙祷〕

○馬淵委員長 黙祷を終わります。御着席をお願いします。

     ――――◇―――――

○馬淵委員長 この際、理事辞任の件についてお諮りいたします。

 理事石原洋三郎君から、理事辞任の申し出があります。これを許可するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬淵委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

 引き続き、理事補欠選任の件についてお諮りいたします。

 ただいまの理事辞任に伴う補欠選任につきましては、先例により、委員長において指名するに御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬淵委員長 御異議なしと認めます。

 それでは、理事に金子健一君を指名いたします。

     ――――◇―――――

○馬淵委員長 災害対策に関する件について調査を進めます。

 この際、去る十八日、平成二十四年梅雨前線による大雨の被害状況等調査のため、第一班熊本県、第二班福岡県及び大分県に委員派遣を行いましたので、派遣委員からそれぞれ報告を聴取いたします。

 まず、第一班の派遣委員を代表して、私から御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの大西孝典君、自由民主党・無所属の会の古川禎久君、金子恭之君、坂本哲志君、国民の生活が第一・きづなの石原洋三郎君、公明党の江田康幸君、日本共産党の高橋千鶴子君、みんなの党の柿澤未途君、そして私、馬淵澄夫の九名であります。

 また、国民の生活が第一・きづなの福嶋健一郎君、社会民主党・市民連合の中島隆利君が現地参加されました。

 まず、平成二十四年七月九州北部豪雨と命名された七月十一日からの大雨及び被害の概要についてでありますが、七月十一日から十四日にかけて、本州付近に停滞した梅雨前線に向かって南から非常に湿った空気が流れ込み、九州北部を中心に大雨となりました。

 この大雨により、熊本県において、河川の氾濫や土砂災害等が発生し、七月十八日現在、二十三名の方が亡くなられ、二名の方が行方不明となるとともに、住宅、河川、道路や鉄道等の公共インフラ、農地や農業用施設などに多大な被害が発生し、住民の方々の生活や地域の経済、産業に甚大な影響を及ぼしております。

 この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に対し衷心よりお見舞い申し上げます。

 それでは、調査の概要について御報告いたします。

 まず、熊本県庁において、被害状況や県の対応について説明を受けた後、蒲島県知事、馬場県議会議長等と懇談し、白川の治水治山対策の現状、今般の大雨災害時における警戒避難体制、広域災害の発生時における国土交通省地方整備局などの国の出先機関が果たす役割等について意見交換を行いました。

 また、蒲島県知事からは、災害復旧、中小企業等への支援を効果的に行うための激甚災害の早期指定、激甚災害対策特別緊急事業等の速やかな採択、財源措置への特段の配慮及び災害援護資金、農林漁業セーフティーネット資金の融資枠の確保、貸付限度額の引き上げについて要望を受けました。

 次に、熊本市内において、白川の氾濫により、住宅に取り残された住民がヘリコプターにより救出された北区龍田陳内地区の浸水現場を視察するとともに、幸山熊本市長から、熊本市内の被害状況等について説明を受け、農業被害への対応状況、白川における危険箇所の優先的な改修の必要性等について意見交換を行いました。

 続いて、阿蘇地方においては、まず、南阿蘇村の長野村長から被害や復旧の状況について説明を受けた後、立野新所地区の土砂崩れ現場を視察し、当日の避難の状況などについても意見交換をしました。

 次に、阿蘇市役所において、被害状況の説明を受けた後、佐藤市長と懇談し、市長からは早期の激甚災害指定による国の支援や阿蘇を計画停電から除外することなどの要望があり、また、被災者支援、道路等の迅速な復旧の必要性、間伐等森林整備の促進などについて意見交換を行いました。最後に、阿蘇市一の宮町三野地区及び坂梨地区の土砂崩れ現場を視察いたしました。坂梨地区では、五百メートルにわたる土石流が発生したとのことであり、一帯は山から流出した土砂で埋もれ、あたり一面に流木が散乱しており、災害の激しさを物語っておりました。

 以上が調査の概要でありますが、私は今回の調査を通じて、土砂災害の危険性、豪雨時あるいは夜間の避難の難しさを改めて痛切に感じた次第であります。当委員会としても、近年、豪雨の発生が増加していることから、水害や土砂災害を未然に防止するために、治山治水を進め、警戒避難体制の整備を図るなど、ハード及びソフトの両面にわたり、減災のための備えを一層強化する必要があると痛感した次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力いただきました皆様に心から御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

 次に、第二班市村浩一郎君。

○市村委員 第二班の福岡県及び大分県の派遣委員を代表いたしまして、御報告申し上げます。

 派遣委員は、民主党・無所属クラブの打越あかし君、山本剛正君、自由民主党・無所属の会の長島忠美君、国民の生活が第一・きづなの石田三示君、古賀敬章君、社会民主党・市民連合の重野安正君、そして私、市村浩一郎の七名であります。

 また、衛藤征士郎副議長、民主党・無所属クラブの川越孝洋君、楠田大蔵君、公明党の遠山清彦君、日本共産党の赤嶺政賢君が現地参加されました。

 まず、今般の大雨及び被害の概要についてでありますが、西日本に梅雨前線が停滞し、九州付近で活動が活発となり、七月三日から九州北部で大雨となりました。また、七月十一日からの九州北部豪雨でも、再び九州北部が大雨となりました。この大雨により、河川の氾濫や土砂災害等が発生し、七月十八日現在、福岡県では四名の方が亡くなられ、一名の方が行方不明となり、大分県では三名の方が亡くなられ、一名の方が行方不明となりました。また、それぞれの県におきまして、住宅、河川、道路や鉄道等の公共インフラ、農地や農業用施設などに多大な被害が発生し、住民の方々の生活や地域の経済、産業に甚大な影響を及ぼしております。

 この災害により、とうとい生命を失われた方々の御冥福を心からお祈り申し上げますとともに、被災者の皆様に衷心よりお見舞いを申し上げます。

 それでは、調査の概要につきまして御報告いたします。

 福岡県では、まず、朝倉市役所杷木支所におきまして、小川福岡県知事及び森田朝倉市長から、被害状況の説明を受けるとともに、激甚災害の早期指定の要望があり、また、災害に関する長期的な課題等につきまして意見交換を行いました。その後、白木谷川の被災現場を視察しました。現場では、住民の方がふだんから利用している橋が流されてなくなっており、今回の災害の爪跡が生々しく残っておりました。

 大分県では、まず、日田市役所におきまして、二日市大分県副知事及び原田日田市長初め関係者から、被害状況の説明を受けるとともに、激甚災害の早期指定の要望があり、また、河川治水対策等について意見交換を行いました。その後、日田市内におきまして、堤防が決壊するなどの被害を受けた花月川の被災現場を視察いたしました。

 次に、中津市耶馬溪町におきましては、新貝中津市長から被害状況の説明を受けるとともに、被災した小学校や住家等を視察し、ここでは、ボランティア活動の高校生が力を合わせて復旧に努力をされておりました。また、山国川にかかる第二山国川鉄橋のほぼ半分が流失しており、ここでも今回の被害の大きさを目の当たりにいたしました。最後に、中津市耶馬溪交流プラザ施設やばの駅を視察いたしましたが、山国川の濁流が流れ込み、施設内はことごとく浸水による被害を受けておりました。

 以上が調査の概要でありますが、福岡県及び大分県におきましては、二度の大雨による災害に見舞われ被害が甚大であり、また、今後も大雨や台風の襲来などが懸念されることから、早急な対策の実施が必要であると強く認識いたしました。当委員会としても、災害に対する警戒や避難のあり方の検討、被災者に対する支援、土砂災害や河川の氾濫を防ぐための治山治水対策などの取り組みを積極的に推進、強化する必要があると痛感した次第であります。

 最後に、今回の調査に御協力をいただきました皆様に心からの御礼を申し上げまして、報告とさせていただきます。

○馬淵委員長 以上で派遣委員からの報告は終わりました。

 次に、平成二十四年梅雨期の大雨による被害状況及びその対応について政府から説明を聴取いたします。中川防災担当大臣。

○中川国務大臣 平成二十四年の梅雨期に発生した大雨による被害状況及びその対応につきまして御報告申し上げます。

 まず、この災害により亡くなられた方々の御冥福をお祈り申し上げるとともに、御遺族に対し、深く哀悼の意を表します。また、被災された方々に対し、心よりお見舞いを申し上げます。

 本年は、沖縄地方が四月二十八日ごろにまず梅雨入りをしまして、六月四日ごろには九州南部が、六月九日ごろまでには九州北部から東北地方南部までが、さらに、六月十六日ごろに東北地方北部が梅雨入りいたしました。そのような中、台風第四号や梅雨前線の影響により、全国的に大雨となりました。

 特に、七月十一日から十四日にかけては、本州付近で停滞した梅雨前線に向かって南から湿った空気が流れ込み、西日本から東日本にかけての広い範囲で大雨となり、とりわけ、熊本県と大分県を中心に、これまで経験したことのないような大雨となりました。

 本年の梅雨期における大雨により、七月二十四日までに把握しているところでは、死者三十二名、行方不明者四名、重傷者十四名、軽傷者九十八名の人的被害が生じております。また、全壊百九十五棟、半壊二百七十八棟、一部破損三百十二棟、床上浸水四千七百三十五棟、床下浸水一万八百八十八棟の住家被害のほか、農業用施設の損壊、農作物の冠水、文教施設の被害などが生じているところであります。

 次に、この災害に対する政府の対応を御説明申し上げます。

 まず、台風四号による大雨に対しては、六月十九日に私が出席のもとに関係省庁連絡会議を開催しまして、被害状況及び各府省庁の対応について情報共有を行うとともに、具体的な対応を協議しました。

 また、七月三日からの梅雨前線による大雨に対しては、福岡県及び大分県で甚大な浸水被害等が生じたことから、後藤内閣府副大臣を現地に派遣しまして、被害の状況や対応について調査を行いました。

 さらに、七月十一日からの梅雨前線による大雨に対しては、十二日に関係省庁連絡会議を開催するとともに、十三日から十四日にかけて、私を団長とする政府調査団が大分県及び熊本県に赴き、熊本県知事を初めとする地方公共団体の関係者から被害状況や対応状況を聴取するなど調査を行いました。帰京後、直ちに開催した関係省庁連絡会議では、私より各省庁に対し、各種手続の迅速化と弾力的な制度の適用等を求めたところであります。

 また、七月二十日には、野田内閣総理大臣が熊本県、大分県及び福岡県の現地視察を行い、被災状況をつぶさに把握するとともに、各県知事から政府への要望をいただいたところであります。

 さらに、七月二十一日から二十二日にかけて、私を団長とする政府調査団が再び大分県、福岡県及び鹿児島県に赴き、被害状況の調査を行ったところであります。

 具体的な国の支援としては、大分県、熊本県及び福岡県の各知事からの災害派遣要請に基づき、延べ約五千二百八十名の自衛隊員が、行方不明者の捜索活動や孤立者の救助活動などに従事をしました。また、熊本県警察からの要請に基づき、福岡県、佐賀県及び宮崎県警察から派遣された四十六名の広域緊急援助隊が捜索活動に従事しました。さらに、熊本県及び福岡県からの応援の求めに基づき、長崎県や福岡市等より消防ヘリ八機が派遣され、救助活動に従事しました。また、国土交通省のTEC―FORCEは、河川及び道路の復旧に係る技術指導や排水作業支援等を実施しました。

 財政的な支援としては、甚大な被害を受けた地方公共団体に対し、普通交付税の繰り上げ交付を行ったところであります。また、激甚災害の指定に向けて鋭意準備をしているところであります。

 これまでの国、地方公共団体及び関係機関の活動により、被災箇所の応急復旧やライフラインの復旧が進んでいるところでありますが、現在も行方不明となっている方がおられ、また、多くの方が不便な生活を強いられています。

 これらの大雨による被害からの復旧復興に対しては、野田内閣総理大臣からも迅速かつ柔軟な対応を指示されているところであります。引き続き、被害状況を速やかに把握し、被災地の方々が一日も早く安心した生活を送ることができるよう、地方公共団体と緊密に連携しながら、政府一丸となって対応に万全を期してまいります。

 以上であります。

○馬淵委員長 以上で説明は終わりました。

    ―――――――――――――

○馬淵委員長 この際、お諮りいたします。

 本件調査のため、本日、政府参考人として総務省大臣官房審議官米田耕一郎君、総務省自治財政局長椎川忍君、消防庁次長長谷川彰一君、消防庁国民保護・防災部長大庭誠司君、文部科学省大臣官房審議官関靖直君、厚生労働省大臣官房審議官篠田幸昌君、厚生労働省大臣官房審議官西藤公司君、農林水産省生産局長今井敏君、農林水産省農村振興局長實重重実君、水産庁長官佐藤正典君、国土交通省水管理・国土保全局長関克己君、国土交通省水管理・国土保全局次長山崎篤男君、国土交通省道路局長菊川滋君、国土交通省道路局次長荒川光弘君、国土交通省鉄道局長久保成人君、観光庁次長又野己知君、気象庁長官羽鳥光彦君、気象庁予報部長西出則武君及び環境省大臣官房長谷津龍太郎君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。

    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕

○馬淵委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。

    ―――――――――――――

○馬淵委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。打越あかし君。

○打越委員 おはようございます。きょうの冒頭の質問のチャンスを与えていただきました関係者の皆様に感謝を申し上げて、早速質問に入らせていただきたいと思います。

 今、大臣の御報告にもありましたように、中川防災担当大臣は、先週あるいは先々週、週末を利用して、現地、被災四県を調査、現地視察に赴いていただきました。鹿児島県にまで足を運んでいただき、本当にありがとうございました。

 この被災四県の現地に立たれた、今回の災害の実感をまずお聞かせいただきたいと思います。

○中川国務大臣 これまで経験したことのないという表現が使われておりますが、とんでもない大雨で被災をされたということ、これを改めて実感いたしました。

 早期復旧、これがまずもとよりでありますが、被災された方々への万全な支援というものをしっかり考えていくということが必要だというふうに思っております。

 特に、災害時は平時と異なるという認識のもとに、激甚災害指定であるとか、あるいは、道路や河川などの公共土木及び農業施設に係る災害復旧事業の早期の採択、あるいは、手続を簡略化しながら、査定に入る前に写真を撮って残しておいたら、もうその時点で復旧に入っていただいて結構だというふうな情報も含めて、トータルで迅速化と弾力的なということの適用が必要だということで、そのように各省庁にも指示をしております。

 それから、今回の被災地というのは、過疎化それから高齢化が進んでいる地域が多いということで自治体に十分なマンパワーがないことから、ボランティアの活用も含めて、各分野で息の長い支援が必要なんだろうというふうに思っています。

 さらに、死傷者が出たのは、山崩れを起こしたところというのがほとんどであったわけでありますが、ここに対する事前の避難の情報伝達と、それから一緒に避難を高齢者の皆さんに促していくような対応というのが改めて必要なのかなと。夜中の出来事であったわけですが、そこのところに問題を残したというふうな受けとめ方をいたしました。

 それから逆に、中津市で、豪雨によって防災無線が聞こえないという中であったんですが、速やかに住民が避難できたのは、まさに日ごろからの地域全体の訓練というものが行き渡っていたということでありまして、継続的な訓練の実施というのがこういうときに生きるんだということ、このことも実感をいたしまして、これからの総合的な対策にしっかり組み込んでいきたいというふうに思っております。

○打越委員 広範にわたる対応について、これからもしっかりとお願いをしたいと思います。

 気象庁長官にお聞きをしたいと思うんですが、ここ二、三年ぐらいの間に、九州各地では記録的短時間大雨情報が非常に頻発しているというふうに感じております。例えば、今回は九州だけでも十二回の大雨情報が出ておりますし、昨年は鹿児島県だけでも七回、一昨年は四回、このときには奄美の集中豪雨被害があったわけですけれども、地域によっては十年か二十年に一度と言われるような記録的な大雨情報がたびたび出ている。

 しかも、地域の古老の方々のお話を聞くと、生まれて初めて経験するようなという感想がどの地域でも出ているわけでありますが、こういったことが相次いでいる背景をどんなふうに分析しているのか。

 あるいはまた、このようなことがこれからも頻発をしていくのかということを踏まえますと、何らかの応急的な対策が必要ではないかと思うんですが、その場合にはどういったことを準備していけばいいんだろうか。長官にお伺いしたいと思います。

○羽鳥政府参考人 お答えします。

 記録的短時間大雨情報の発表に結びつきますような短時間の強雨の発生頻度につきまして、九州地方のアメダス観測所百六十二カ所全体で観測された一九七六年以降の三十六年間の変化で見ますと、例えば一時間降水量八十ミリ以上の年間観測回数でございます、これは年々の変動が大きく、現時点では統計的に有意な増加傾向は見られません。しかしながら、一時間降水量五十ミリ以上の年間回数で見ますと、増加傾向が明瞭にあらわれてございます。

 このような増加傾向について見ますと、観測データが三十年余りということで、地球温暖化のような長期的な気候問題との関連を論じるには統計的にまだデータが少ないということで、現時点においては、地球温暖化の影響によるものかどうかというのは明らかにはできません。

 なお、国際的な気候変動に関する政府間パネル、IPCCというのがございますが、二〇一一年に極端現象及び災害のリスク管理に関する報告書というのを取りまとめております。その中で、将来において温暖化が進行しますと、世界的に極端な大雨の発生頻度が長期的には増加していくという予測が出てございます。

 なお、気象庁のこのような状況に対する対応状況についてお答えしますと、気象庁では、台風や大雨等の予報の一層の精度向上を図るということから、気象衛星やレーダー等の観測網の充実強化、さらには予測技術の高度化に努めているところです。

 また、平成二十四年度の出水期より、経験のないような大雨といった表現で情報を発信し、大雨洪水警報や土砂災害警戒情報で警戒を呼びかけている中で、雨の降り方が尋常でないということをお伝えするというような情報の改善を行ったところでございます。

 今後も、引き続き監視、予測精度の向上に努めるとともに、地方自治体等防災関係機関との連携を深め、適切な防災気象情報の発表に努めていきたいと思います。

 以上でございます。

○打越委員 今回の災害では、これまでに経験のないようなという表現を使って、非常に多くの方々が関心と警戒を強めたというふうには思います。今後、できる限り、予想のできない地域で予想のできないような雨量が降るというケースについては、減災をするために、できるだけ早い避難、警戒、住民の関心というのが非常に大事だと思いますので、御努力をお願いしたいと思います。

 今回、私も第二班の現場視察の一員として参加をさせていただきましたが、地域の行政関係、議会関係の方々の最大の関心は、やはり激甚災害指定を急いでほしいと。しかも、今回の場合には、非常に長期にわたって、数次にいろいろなところで災害が起きていったというような特徴が見られますので、段階的に指定していくという可能性もあるのかな、現地の方々はそういうふうに受けとめておりましたけれども、一括してできるだけ早く指定してほしいという意見が強かったと思います。

 今回の激甚指定は、どのような考え方に基づいて指定をしていくことになるのか。総理は、二十日に入って、農業関係の被害についてはほぼめどが立ったといったようなお話もしておりますし、できるだけ手続を急ぐようにという指示もあったと伺っていますけれども、今回の指定の考え方あるいは今後のスケジュール感についてお示しをいただきたいと思います。

○郡大臣政務官 お答えをいたします。

 今般の激甚災害の指定については、梅雨期を通じた一連のものとして指定することというのを想定しておりまして、被害額等の早期把握にこれまでも努めてきたところでございます。

 御指摘のあったように、農地等につきましては、災害復旧事業費に係る査定見込み額が全国を対象とする指定基準に、そしてまた、熊本県の阿蘇市においては、中小企業関係の被害額が特別の助成に係る指定基準に達する見込みとなりました。

 指定時期についてですけれども、全国の梅雨明けを確認した上でということになります。まだ東北地方が梅雨明けしておりませんものですから、七月の下旬から八月の上旬ごろになるものではないかというふうに考えています。

 また、公共土木施設等につきましては、引き続き被害額の把握に努めまして、基準に達すれば速やかに対応してまいりたいというふうに思っております。

 以上です。

○打越委員 では、今回、個別の事案に対するというよりも、梅雨全体に対して、全国枠の中で激甚指定をしていく方向だということでありますね。

 現地では、農業部門あるいは公共土木部門、部門別を考えているのでなくて、総合的にとにかく手を打ちたいということでありますので、できるだけ早く、広域、広範に激甚指定がかなうように努力を続けていただきたいと思います。

 今回は、七月の十一日、後半戦の降雨だけでも二十七万人近い方々への避難指示が行われたというふうに伺っています。避難勧告二十七万五千人余りを加えると、相当数の数の方々に対して避難の指示、勧告が行われたということであります。

 しかも、今、大臣の報告がありましたように、指示が出る時間帯というのが深夜であるというケースもあるし、あるいは、既に避難指示が出て逃げようとしたけれども、道路等はもう水が出て、逆に避難するのが危ないといって自宅に残らなければならないといったようなケースもかなり相次いだというふうに現地でもお話を伺っています。

 そこで、今回は特に、災害弱者と言われるような方々がたくさん住んでおられるような過疎地、山間地での降雨が多かったわけですが、避難のための誘導あるいは手助け、こういったものはきちんと行われたのか、混乱、トラブルはなかったのか、あるいは、その地域地域に、そういったことをちゃんと支えてくれるような自主防災組織がきちんと整備をされて機能していたのか、そういったことについてお伺いしたいと思います。

○長谷川政府参考人 お答えをいたします。

 ただいまお話がございましたが、今般の梅雨期の大雨によりまして、熊本、福岡、大分の三県では死者が三十一名に上っておるわけでございますが、この中で、六十五歳以上の高齢者の方々が六割ぐらいあるということで、高齢者の方が多く亡くなっている傾向が見てとれるということでございます。

 そういった中で、避難誘導とか避難、そのあたりの活動がどうであったかということですけれども、災害時要援護者の避難の関係につきまして事例的に申し上げますと、例えば、一応、福祉避難所が開設されて、そこに要援護者の方が入られた事例とか、あるいは、孤立していた福祉施設がございますけれども、何とかけが人もなく対応がなされたというような事例も見受けられる一方で、例えば、災害時要援護者が孤立をしてしまって、結果として防災ヘリで救出されることになってしまった事例とか、先ほど中川大臣の方からも御答弁の中で少しございましたが、大雨で避難勧告の防災行政無線が聞き取りにくかった事例、あるいは、避難指示を電話で連絡したんだけれどもなかなかうまくつながらなかった事例などのいろいろな事例を聞き及んでいるところでございます。

 また、自主防災組織の関係につきましても事例的に申し上げますと、例えば住民と消防団が協力をして救助活動を行った事例とか、あるいは自治会として被災直後から避難所運営を行った事例など、幾つかの活動事例などもお聞きしているところでございます。

○打越委員 少なくとも、人の被害を減らすためには、ふだんのトレーニング、あるいは災害弱者との連携や確認といったこと、ふだんの準備がやはり非常に大事だと思います。これについては、特に地元市町村とよく連携をとって進めていってほしいと思います。

 時間がありませんので、最後、要望にしておきたいと思いますが、今、現地の被災民の方々の心配は、決壊をした河川堤とか、あるいは相当軟弱になった山腹の地盤、そういったものを目の当たりにして、これから来る台風のシーズンに対して、大丈夫なんだろうか、そういう心配をされている被災民が非常に多いというふうに伺っています。

 ぜひひとつ、応急の復旧をしっかりとやっていくということはもちろんでありますけれども、地元の自治体とよく連携をして、特に、現在わかっている危険箇所等々の点検とか、それに応急が必要であれば応急の対策をとっておいてほしいということ。

 それからもう一つは、今回、被災地で耶馬溪とか阿蘇とか、非常に観光地も含まれています。そういったところ、特に、規模の小さい個人で営むお土産屋さんとか飲食店とか観光施設、個人商店について、相当大きな被災を受けて、しかも今後、この夏場の書き入れどきというか稼ぎどきに、観光客が、恐らく入り込みが相当減ってしまうというような、あるいは地域の消費マインドが落ち込んでしまうということで、店を閉じてしまう心配があります。一度閉じてしまいますと、事業再開というのはなかなかかなわないというふうに思いますので、これは総合的にやはり手だてを講じていただいて、地域にいろいろな火が消えていかないように、ぜひしっかりと取り組んでいただきたいということを要望して、質問を終わらせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

○馬淵委員長 次に、楠田大蔵君。

○楠田委員 おはようございます。このたびは、差しかえという形で質疑の機会を与えていただきまして、ありがとうございます。

 改めまして、このたびの一連の豪雨災害で犠牲になられた方々に謹んで哀悼の誠をささげます。

 我が地元でも、古くからお世話になった後援会の方が犠牲となりました。朝食中、突如裏山が崩れ落ちて生き埋めになられてのものでありました。そうした無念さも胸に、ここに立たせていただきたいと思います。

 また、消防団、自衛隊、警察を初め多くの方々に昼夜を問わない活躍をしていただきました。敬意と感謝を申し上げたいと思います。

 委員会の皆様、また政府の方々にも、何度も視察に訪れていただき、ありがとうございました。特に、中川大臣には急遽、極めてタイトなスケジュールの中、私の地元朝倉市にもお入りをいただきました。本当にありがとうございました。

 しかしその一方で、これだけお越しいただいておりますので、結果も当然伴うだろうという期待値も高まっております。ぜひ、そうした観点で前向きな答弁をお願いしたいと思います。

 そこでまず、改めてお聞きをしますが、先ほど打越委員からもお話がありました激甚災害の指定であります。既に、農地等については本激指定を出していただいたところでありますけれども、公共土木施設関係は今なお指定が出ていないという状況であります。

 先ほど来お話がありますが、特に、我が地元においては六月から、やはり梅雨前線の停滞に伴って雨が続いていた。そういう中で保水力がだんだん失われていった。そうした中で、七月三日、四日にかけて最初の豪雨がございました。先ほど申し上げた犠牲者も、この段階で既に出ていたというわけであります。その後、いわゆる九州北部豪雨と名づけられた十一日から十四日の豪雨があった。こうした長期的な影響、また県や自治体の切れ目にとらわれないような長期的な広範囲の被害となっているということであります。

 こうした特殊性を考慮して激甚災害を迅速に考えるべきと考えておりますので、改めて大臣の御見解を伺いたいと思います。

○中川国務大臣 本当に、地元もお伺いをしましたけれども、甚大な被害が出ているということで、その対応に万全を期していただいておること、感謝を申し上げたいというふうに思います。

 激甚の指定は、御存じのように、ある程度一定の被害額の積み上げ、累積が基準を超えた時点で激甚指定ということになるわけであります。

 今回も、でき得る限りその範囲を大きくとっていく、長くとっていくということが累積の金額を大きくしていくということでありますので、六月の六日から梅雨期で、災害が起こったという発災時を六月の八日にとりまして、それから、現在も実は、この梅雨期が続いている地域もあるので、そこで被害が起こったときにはそれも取り込んでいくというふうな思いを持って、全体を今見ているわけです。ですから、正式に手続をとっていくというのは、その辺の見きわめ、いわゆる梅雨期としての決着がついたところでやっていきたいというふうに思っております。

 さはさりながら、地方自治体としては、どうなんだろう、思い切った復旧の段取りといいますか具体的な行動に移っていくのに、その見通しが欲しいということでありますので、今回、農業の分野に関しては既にその基準を達している、あるいはそれを超えているということで想定ができますので、早目に、ここは大丈夫だという情報を見切って出させていただいたということであります。局甚で阿蘇の地域について、中小企業への被害ということについても、これも大丈夫だろうということで情報を伝達させていただきました。

 あと、さっきのお話のように、土木があるんですが、これがまだ積み上げが十分でないということなんですが、一つの原因は、救援活動にそれぞれ地方自治体の職員が今全てをかけておるということもありまして、被害状況を具体的につぶさにまとめられないということもあるんだと思うんです。その辺の状況も見ながら、でき得る限り取り込んでいきたいというふうに思っております。

○楠田委員 ありがとうございます。

 特殊性を考慮してしっかりと取り組んでいただくということで、よろしくお願い申し上げます。

 また、今なお、杷木志波地区の塚原区や道目木区などは、土砂災害や土砂ダム崩壊のおそれで避難勧告が継続をされているというところもございます。避難所の居住生活や生活に対する支援をやはりここは十分に行うべきと考えておりますが、この点も大臣からお聞かせいただきたいと思います。

○中川国務大臣 避難所での安心感といいますか、支援、生活環境面の改善を図っていくということが、次に頑張っていく活力のもとになってくるというふうに思っておりまして、大変重要な課題だと思っています。

 福岡県の朝倉市については、七月三日に災害救助法が適用されまして、必要な救助が実施されているというふうに承知をしています。

 国としては、七月二十三日に、同市に厚生労働省の職員を派遣いたしまして、被災地の状況を確認するとともに、災害救助法に基づく避難所の生活環境の整備等について説明を行ってきたところであります。

 その際には、避難所における冷房機器の設置による暑さ対策であるとか、あるいは高齢者等に対しては、生活環境の整った公的宿泊施設を活用した福祉避難所の設置等についてきめ細かく助言をしてきたというところでありまして、それぞれ、地方自治体と連携をしながらでき得る限りのことをしていきたいというふうに思っております。

○楠田委員 いろいろ調べていきますと、被災者生活再建支援法の適用がなされるかどうかの要件、また合併特例も、平成十七年の合併でありますから、ちょうど昨年末で切れているという中で、合併によって非常に面積が広くなっている、そうした中で特例がぎりぎり合致しないということ、そうした制度のはざまとなるケースが多々今回見られております。

 そうした中で、長期間にわたり、自治体の切れ目に関係のない広範囲の被害となっておりますので、前例にとらわれずに、柔軟に対処をしていっていただきたいということを改めて要望させていただきたいと思います。

 さらに、個別に掘り下げてまいりたいと思います。

 地元をくまなく見回る中で、あらゆる道路、橋、川、農地、農業施設、山、こうしたものが大きく傷ついているのを目の当たりにいたしました。週末、私もボランティアにも参加をいたしてまいりましたが、きのうのニュースでも、朝倉三十五・一度ということで、真夏の猛暑の中での復興作業は大変苛烈をきわめております。

 そうした中で、迅速な復旧、先ほどお答えがありましたように、簡素化を図っていく、迅速かつ柔軟に対処していくというお答えもございました。ここを強く要望させていただきたいと思います。

 もう一つ、そうした復旧作業にかかわりながら、赤谷川、白木谷川、大山川など川が数々ありますが、ここに土砂が堆積をして、次の大雨でもすぐに、水かさがなかなか下がらずにまた氾濫してしまう、そうした中で、夜も眠れないという状況が続いております。

 こうしたしゅんせつへの措置というのはどのようになっているか。この点もお聞かせいただきたいと思います。

○津川大臣政務官 お答えいたします。

 河道が土砂あるいは流木等により著しく埋塞したことで、堤防や護岸等が決壊をし、甚大な被害が生じた場合には、その閉塞した土砂等の撤去に係る費用を災害復旧事業の対象というふうにしているところでございますが、今、先生から御指摘がありましたとおり、これ以降の出水でそのような被災が発生をするおそれが大きい場合、こういった場合も、そういった閉塞した土砂等の撤去に係る費用を災害復旧事業の対象とさせていただいているところでございます。

○楠田委員 時間が限られておりますので、短くやっていきます。

 また、地元の桂川というところが筑後川との境でありまして、高低差があって逆流防止の堤防ができて、これによって被害がある程度抑えられるところでもありますけれども、逆に、それを閉めることによって、もともと流れてくる流れがあふれてしまうという慢性的な状況もございます。

 これは羽田大臣にもあえて上空から御視察をいただいたと伺っておりますけれども、この内水排除施設の設置がかねてより要望されております。この点、どのように考えておられるか。

 もう一つ、あわせて、国交省ですが、博多の奥座敷と言われる原鶴温泉地域というのがございまして、筑後川と分水路に囲まれた中州地域になっておりまして、ここも慢性的な浸水が起こり得るところであります。この浸水対策もどのように考えておられるか、この点もお答えをお願いします。

○津川大臣政務官 今御指摘をいただきましたとおり、先日、羽田国土交通大臣も、現地、筑後川と桂川の合流地点を上空からヘリで調査させていただいたところでございます。

 御指摘いただきましたとおり、筑後川の片ノ瀬水位観測所におきましてのピーク水位が十・〇七メートル、観測史上第一位と、大変水かさが高くなったところでございます。

 現在、その地域、合流地点におきまして内水被害が発生をしたということにつきまして、雨量、水位データ等、被害の発生要因をまずしっかりと調査させていただきたいというふうに考えております。その上で、桂川の管理者であります県と連携をし、対応方針を検討してまいりたいというふうに考えております。

 また、原鶴地区における浸水被害でございますが、原鶴温泉街で温泉ホテルが一軒床上浸水をしたところでございますが、原鶴分水路排水ポンプにつきましては、朝倉市において設置、管理をされている施設でございます。地元の要望につきまして、施設管理者であります市から十分お話を伺いまして、国交省としても、技術的助言等、可能な支援をしっかりと行ってまいりたいと考えているところでございます。

○楠田委員 国土交通省の管理の川、また分水路に囲まれた中州地域でもありますので、特に重点的に取り組んでいただければと思います。

 また、きょうは、農水省岩本副大臣にもお越しいただいております。

 先日は、大変暑い中、初めて隣の東峰村までお入りをいただきまして、一緒にくまなく回らせていただきまして、本当にありがとうございました。

 そうした中で、例えば久喜宮地区などでは、これからの収穫期に向けて農業施設の復旧が急務であります。これからに向けての迅速な措置をしていただきたいという点がございます。

 また、共済保険の対象外の作物被害の補償なども救済のはざまとなっている。こうした被害を想定せずに共済に入っていないという方がほとんどでありますので、こうした作物被害への救済ということも対応が重要だと考えております。あわせてお答えをいただければと思います。

○岩本副大臣 お答えいたします。

 農作物の被害につきまして、農業共済に加入していない農業者も含めまして、農林漁業セーフティーネット資金や農林漁業施設資金等の長期また低利の融資等により被災農業者を支援していく考えであります。

 このため、例えば、最低金利〇・五%の農林漁業セーフティーネット資金等が十分に活用されるように、被災農業者に対する窓口における親身な対応、また適時適切な貸し付けの徹底について関係金融機関に要請したところであります。引き続き、被害状況を迅速的確に把握しつつ、農作物被害に対する救済に最善を尽くす所存であります。

 また、セーフティーネット資金枠の確保でございますけれども、株式会社日本政策金融公庫の災害関連資金につきましては、セーフティーネット資金に関して、過去五年間の当初予算ベースでは最大の三百十三億円を用意するなど、近年の融資実績も踏まえて十分な融資枠を確保いたしております。

○楠田委員 時間が参りましたので、最後に要望だけ。

 こうしたさまざまな制度があるにせよ、地元負担は必ず高まらざるを得ないという状況であります。先ほど申した、制度のはざまの問題、またこれから、特別交付税などの財源措置も非常に重要だと思っておりますので、こうしたことを最大限講じていただくことをお願いいたしまして、質問を終わらせていただきます。

 ありがとうございます。

○馬淵委員長 次に、望月義夫君。

○望月委員 今回の大雨によって被害を受けられた皆さんに、心からお見舞いを申し上げたいと思いますし、一日も早い復興を祈念したいと思います。

 実は、今回の九州北部豪雨の被害は甚大でありまして、自民党の谷垣総裁を初め、我々も一緒に同行させていただきまして、現地を訪ねて、そしてまた現場を視察し、説明をさまざま聞かせていただきましたが、視察をさせていただき、そしてまたお話を聞くにつけて、本当にひどい災害だったんだなというようなことをつくづく感じさせていただき、これは一日も早い激甚災害の指定とそしてまた復興をしていかなきゃいけない、我々自身もそういう決意をした次第でございます。

 その中で、全てのことを聞くわけにいきませんので、私は、竹田水害緊急治水ダム建設事業、俗に言う稲葉ダム、玉来ダムの現場について、象徴的な場所であるということで若干質問をさせていただきたい、このように思います。

 我々が話を聞きますと、この地域では十年か二十年に一度は水害に見舞われていると。そういうようなことで、ひもといてみると、江戸時代から、十年、二十年には必ずそういうような災害がある。

 そういうようなことで、このことについてはやはり特段の災害対策をしていかなきゃいけない、こういうような形で進んできたわけでありますけれども、特に昭和五十七年の集中豪雨によって多大な、とうとい命が奪われる、それから河川の氾濫、大水害、そういうようなことがございました。この水害を契機として、ダム建設の調査などが進められたわけでございます。

 そして、八年後の平成二年、昭和五十七年の水害を上回るかつてない豊肥大水害が再び竹田地方を襲ったわけでございます。そういうような形の中で、さまざまなことが検討されてまいりました。

 そこで、この大水害を契機に、平成三年に、竹田市街地上流に稲葉ダム、玉来ダムを建設する竹田水害緊急治水ダム建設事業が事業採択されました。ここで河川改修とダムの組み合わせによる複合的な治水対策が行われるということにやっとなったわけであります。

 そこでお聞きしたいんですけれども、稲葉川については河川改修を平成十一年に完了し、また、平成二十二年に稲葉ダムも完成をしております。治水事業はほぼ完了したんですけれども、玉来川については、河川改修は平成九年にはほぼ完成した状況にありますが、玉来ダムの整備がまだできていない状況にある。

 今回の九州北部豪雨において、稲葉川流域と玉来川流域でどのくらいの被害の違いがあるのか、それについてちょっと御質問したいと思います。細かくなくていいですよ、大体のことで。

○関(克)政府参考人 お答えを申し上げます。

 今回の豪雨によりまして、大野川水系支川の玉来川、それから稲葉川についても出水があったところでございます。

 こういう中で、概略でございますが、玉来川におきましては大体百四十戸以上の床上浸水が発生しており、稲葉川の流域についても多少の被害は出ておりますが、このような規模の被害は発生していないというふうに聞いているところでございます。

○望月委員 今、被害が出たところと、ほぼ出ていないというような形のものがありました。

 中川大臣が調査団としてこの十四日に被災地の竹田市を視察した際は、玉来ダムについては、被害を検証して、緊急性があるとわかれば、いつものペースではなく迅速に対応する、こういう発言をしたということが報道されております。

 いち早くここに出向いて、そしてこういうような発言をしていただいたということは非常に私は評価したいな、このように思ってはおりますが、地元にしてみますと、さまざまな地元の新聞を我々も見ているんですけれども、市長や住民が怒りの声を上げている。

 これは人災だ、そういうようなことを言っている方たちが非常に多くて、こういうような記事を見るにつけ、地元にしてみれば、逆に、何をのんきなことを言っているんだ、すぐにでも取りかからなければしようがないじゃないか、こういう甚大な被害が出てからでは遅い、何をしていたんだというようなことが非常に、我々も行ってみて、各首長さんからそういう話を聞きました。

 そして、我々自民党が主張するように、未然防止ということ、事前防止といいますか、そういうことがいかに大切かということを我々ももう一度確認し、認識してきたわけでありますけれども、玉来ダムさえ完成していれば、今回のようなこんな大きな被害は出なかったと考えている地元の皆さんに対して、大臣は、この玉来ダムの必要性について、視察も踏まえてどのように思われたのか、率直なお話を聞かせていただきたい、気持ちを聞かせていただきたいと思います。

 稲葉ダムに比べて玉来ダムの建設がなかなか進まなかった理由というのを把握しているかどうか、それについてお聞きしたいと思います。

○中川国務大臣 私も現地に入りまして、この二つの河川、稲葉川と玉来川の状況というのをそれぞれ担当機関から聴取いたしました。

 御指摘のとおり、ダムとそれから治水が完成している稲葉川についてはほとんど被害が出ていないという状況、それに対して、玉来川については今回甚大な被害が出てきているということ、この違いというのを改めて、事前防災という考え方からいけば、しっかりと踏まえて、やはり必要なところにはしっかりとした投資をしていかなきゃいけないということ、これは大事なことだということを再確認いたしました。

 その上で、この玉来川のダムについては、平成二年七月の豊肥大水害などを受けて計画されたということを聞いておりますが、平成二十三年度時点で進捗率が一三%ということなんですね。

 確かに、我々政権交代してから、途中でそれぞれのダムについて見直しをやった期間というのがありました。そこの部分で事業のおくれはあったんだろうと思うんですが、ダムというのは非常に長い期間かけて完成をさせていかざるを得ないというところがありまして、そこのところが、考えていくと、このダムについても改めて見直しをした結果、やるということで国交省の方も結論を出しておりまして、それに向けての準備を今進めております。

 そういう意味で、今回の災害も含めてしっかりそれを受けとめて、できるだけ早い時期に、ダムだけではなくて、それぞれ河川の治水、それからもう一つは、ソフト事業として、どういうところを想定しながら、避難ということについても、あるいは災害を未然に、特に人災ということに対して防いでいくかというふうな工夫も含めて、総合的に考えていくということだと思っております。

 そういう意味で、今回の災害をしっかり受けとめて、これからの政策の基本にしていきたいというふうに思います。

○望月委員 非常に真摯な気持ちで、今、大臣の気持ちを聞いていて、我々もう少しきつくやろうかなと思ったんですけれども、そういう気持ちでこの災害については当たっていただきたい、こんなふうに実は思います。

 しかし、民主党は、平成二十一年に政権交代以来、できるだけダムに頼らない政治へ政策転換するといって、ダムの検証を行うこととしたわけですけれども、個別ダム事業の検証がスタートしてから二年もたっているわけですね。それから、政権交代以後三年もダムの事業が進んでいないという状況にあるんです、こういう検証をしているところについては。

 これは玉来ダムについて私は聞いているわけで、この後、全体的なダムについて聞きたいんですが、もちろん八ツ場ダムについてもそうでありますけれども、この状況について、ようやく昨年十月に対応方針が決定されて、継続ということで事業が進められる、こういう形になった。

 今回、特にこの災害を見て、こういう形になったんですけれども、では、この二年、この三年は一体何だったんだ、そういうふうに実は我々は思わざるを得ないし、地域の、災害が毎年といいますか、十年に一度、二十年に一度大災害で町を潰されてきた皆さんにとってみれば、命を失ったり、そうした人たちにとってみたら、この検証とは一体何だったんだと。

 よく、高速道路もそうですけれども、とりあえず実験をするというようなことを言う。要するに、さまざま実験をしてみたいというようなことですけれども、政権をとる前にそういう実験だとか検証をするべきであって、そうして、政権をとったら実際にやらなきゃならない。

 実験をするなんというのは、よく言われる科学の言葉で言えば、我々人間はモルモットじゃないんだ、冗談じゃない、そういうようなことを言う人たちが非常に多いし、そのとおりだと私は思っております。

 そういうようなことを考えると、この二年間は、あるいはこの三年間は一体何だったんだ、そういう責任を大臣は、政府の防災担当の代表として、このことについて一体どういうふうに考えているのか、これについてお聞きしたいと思います。

 そしてまた、早期に完成することが重要であって、このことについて大臣は、現地でさまざまなそういう発言をしているわけではございますけれども、これは今後、おくれた二年を特段にスピードを進めてやっていくつもりなのか、やっとここで検証が終わったから、これからぼちぼちということになるのか、その辺についての決意をお伺いしたいと思います。

○中川国務大臣 ダムについて、あるいは河川そのもののトータルな河川改修ということについては、今回のそれこそ経験もしたことのないような大雨という想定を超えた被害について、本当に、隣の川と比べるとやはりこれだけの災害が出たんだなという、結果が出たんだと思うんです。

 ところが、検証自体は、その中で必要のあるダムとそうでないダムと、あるいはダムという手法でなくとも、また違った形でさらに効果のある治水事業というのがあるということ、こんなことを総合的に検証することによって、それでやめたダムもその中にあって、それがまた財源として違った必要なところへ向いて転換ができるというような、そういう一連の予算の組み替えができたんだというふうに思っております。そういう意味で、検証というのはやはり大事なプロセスだったというふうに思っております。

 その上で、確かに必要なところについては、これから集中的にぜひ予算を向けていくというふうな、めり張りのきいた予算措置ということを心がけていきたいというふうに思っております。

○望月委員 今、検証は大事だ、それはもう当たり前なんですけれども、この検証によって、事業を進めているものをとめているんですよ。それで災害が起きるんですよね。

 では、事業を進めているのを検証したというのは、これは……(発言する者あり)今どこかから犯罪だと言いますけれども、それは、事業を進めているものをとめて、検証したらもう一度必要だった、そしてその間にこういうような大水害が起きた。

 私は、決して、玉来ダムが今回の水害までにできていたかどうか、その前の我々の政権のときから間に合ったかどうかというのは、これはさまざまございます。しかし、この二年、三年の検証という間に事業がとまったんです、ストップしていたんです。では、完成が二年、三年おくれた、この間に必要だったものはもう一回検証させてもらいたい、政権がかわったから検証させてもらいたいと。事業は継続、そのまま進めなくてはいけないのをそこでとめているんですよ。そこで災害が起こって、いや、それは検証するというのも大事だったからとめたんですよと。それで人が亡くなった、うちが流された。どうするんですか、これ。

 そして、稲葉川の方はほとんどそういう災害がなかったんですよ。それから、玉来ダムは検証するもしないも関係ない、今回の災害でこれだけの被害が出ているんですよ。そうしたら、これは誰が責任を持つんですか。政府が責任を持つ。それをとめた政府が責任を持つのは当たり前じゃないですか、そんなこと。それを認識できないということが、私はこういうことについての甘さがある。これは、本当にそういう意味では、玉来ダムについては、地元に行って本当はおわびしなきゃいけないと思うんですよ、見てくるだけじゃなくて。

 そして、これは、私はここまで言うつもりはなかったけれども、大臣を評価している、よくここへ飛び込んでいった。多分、相当苦情を言われたと思う。だけれども、総理はその後、被害が大きかったところを回っているはずなんですよ。なぜ総理はここを避けたんですか。冗談じゃないよ、本当に。

 こういうようなところへ総理は絶対行くべきだ、謝るべきだ、防災担当大臣がそういうことをしなきゃいけないのに、こういうようなところを避けさせたのか避けたのか我々はわからないけれども、それでは、こういうような総理の日程をつくったのは一体誰なんですか。こういう報告を、総理が行く前にちゃんとしているんですかどうですか。それを聞きたい。

○中川国務大臣 あのとき、市町村長さんあるいは県のサイドの皆さんともいろいろ話し合いを私たちも持ったんですけれども、三年おくれたから、それが原因で今回の被害が出たというふうな認識というのは私も持つことはできなかったというか、そうじゃないんだというふうに思うんですね。

 もうわかった上で発言をしていただいておるんだと思うんですが、もともとの計画からいって、それは、自民党時代からの計画の中で、ダムをつくるというのは、そう短兵急に完成を見込めるということではなくて、ある程度の時間的な経過というのを見ながら精いっぱいの予算づけをしていくということでありまして、仮にそのまま続いていったとしてもダムの完成まではいかなかったというような前提の中での話でありますので、そういうことだと思うんです。

 しかし、ダムが必要だということについては、改めて検証した結果、政府としても、それは完成をさせていくということで地元に説明をさせていただいて取り組んでいるということであります。

○望月委員 今、さまざま大臣がおっしゃったように、そのときまでにダムができていたかどうかということは、これは間に合わなかったのかもしれないということは先ほどから私も話をしています。しかしながら、では、この二年、三年の間、検証した部分だけ、その間ずれた分だけで今度は災害が起きたら、そうしたらどういうことなんですか。これは気持ちとしては同じことなんですよ。

 ですから、そういうことを踏まえて事に当たらないと、これはそのときまでに間に合ったか間に合わないかという問題ではなくて、基本的な考え方がやはり違う、そういうことでこういうような状況が非常にさまざま起こっている、そういうことを私は言いたいのであって、そういう気持ちでないと、今後もこのような、実は皆さんの大きな題目の中にコンクリートより人へというような形で、要するに、ダムにできるだけ頼らない治水対策をやると言っているんですよ。河川改修はしてあるんですよ。しかし、ダムはできていないんですよ。では、これからどうするんですか。

 さまざまなところで検証して、私の地元でもやはりダムは中止になった。我々は地元の皆さんに謝りましたよ、本当に申しわけないと。ダムを検証した結果、そういうような形になったのかもしれないけれども、でも、地元の皆さんは、我々はもう何年もここに住んでいるけれども、こういうような水が出たとき、こういうような大豪雨が来たときに、さまざまつらい思いをして大変な思いをしている。

 何としてもやってもらいたい。検証というものが一体どうなのか。川の流れる水量だとか台風が来たときの雨量とか、そういう単なる計算だけで本当にできるかどうか、そういうさまざまなことを勘案して、やるということになったのではないのかね。ところが、それをやめてしまった。それを何年もとめてしまって、我々はそういうつもりで命を守りたいというようなことを政府にお願いしているのに、なぜやめてしまうんだ、なぜ延ばしてしまうんだと。

 だから、そういうようなことを、これはコンクリートより人だなんというような形が、それは当たり前なんですよ、コンクリートより人というのは。自動車よりも金よりも何よりも人でしょう。こんなのは言葉のロジックですよ。こういうことによって、さまざまなものがおくれてしまったということ。特に防災というもの。

 最近は、非常に局地的な大雨が降ったりする。特に、日本の場合には年間雨量が非常に少なくなっているんですよ。少なくなっているけれども、実際には被害が多くなっている。それは局地的な気候変動とかいろいろなことがありますから、そういうことでこういう災害対策をますますしていかなきゃならないときに、こういうような検証をやらなきゃならないとかなんとかというような形の中でおくれてしまうということになると、これはコンクリートより人だ、ダムにできるだけ頼らない治水、こういうようなものについての政策転換を図る。今回の災害、さまざまな災害について、この政権は一回反省をしなきゃいけない。

 これはもう一回見直します、看板をおろします、そういうことでよろしいんですか、大臣。

○中川国務大臣 こういう防災計画というのは、不断の見直しをしていくということが大事だと思うんですね。

 ダムということについて検証を一旦行ったわけでありまして、これについて、やはり必要なダムもあるんだという結論をそれぞれ個別には出しております。ですから、今回出した想定の中で必要な投資はしていくということであります。

 さらに申し上げれば、集中的な豪雨といいますか、さっき気象庁の方からもお話があったように、やはり五十ミリ以上の集中的な豪雨という現象については、非常に全国的にもふえてきているというふうなこともありまして、私の立場としても、そうした想定の中で治水をどう考えていくかというのはやはり、もう一回も二回もまた想定を見直していきながら、全体の防災計画というものを立てていくということが大事だというふうに思っておりまして、一回やったからそれで全てということではなくて、さらにそうしたプロセスを繰り返して、真に安心のできる防災計画にしていきたいというふうに思っております。

○望月委員 ここはしっかりやっていただきたいんですけれども、実際に、この検証によって十二のダムが今ストップしているわけですね。これについて、やはりいたずらに時間を費やしてしまっている場合がございます。

 それで、もちろん、もう一回やるということになった、それをやるはやるでいいんですけれども、結局、時間を費やしてしまった。それから、では、やらないというような形がどういうような形なのか我々もわかりませんけれども、やめてしまったダムをもう一回検証し直すのかどうなのか。こういうような、気象とか雨量とか、世の中が若干変わってきている状況の中で、では、やめたというようなものももう一回検証をし直すのかどうなのか。

 これについて、時間と、さまざまなことが変わればそういう形になるのかということをお聞きしたいと思います。

 それから、必要なダムまで完成をおくらせてしまったというようなことで、これに対する被害は非常に甚大だ。

 我々は今回、今後の自由民主党の公約の中に国土強靱化と。要するに、事後防災ではなく、事後防災だと十倍の費用がかかる。事後防災というのは当たり前ですよ、災害が起きたんですから。事前防災としてその十分の一でも二十分の一でもかければ、その被害がほとんどなくなるというようなことを考えると、これは絶対的にやるべきことはやらなきゃいけないというような形の中で、もちろん、では財源はどうかといったら、建設国債六十年、あるいは、百年に一度の災害だったら、百億かかるものだったら、百年で分担すれば一年間に一億という形になるんです。

 もちろん、これはある意味では景気対策、そういうことにもなりますけれども、こういう形の中で、総合的に、トータル的に、では、やめたところももう一度見直す、そういうつもりなのかどうなのか。

 そういうことについて認識しておりますけれども、検証についておくれたダムについても、今後早急な完成が望まれると思いますけれども、今の一連の話の中で、それについてどのようにお考えなのか、最終的にお聞きしたいと思います。

○奥田副大臣 まず、九州北部の豪雨で命をなくされた皆さんの御冥福をお祈りするとともに、また、多くの被害に遭われた方にお見舞いを申し上げたいと思います。

 今、玉来ダムの例をもとに、ダム検証のあり方ということについてさまざまな御意見をいただいておりますけれども、今、三十二ダムの検証が終わったところであります。その中で約三分の一のダムが中止、あるいは、別の治水の方法あるいは利水の方法によってその機能を代替するという結論を出させていただいているところであります。

 ダムの機能の大きさあるいは防災の必要性、そのことは十分に承知いたしておりますけれども、また、大きな事業費のかかるダム事業というものがどういう治水の機能あるいは利水の機能、環境保全の機能に置きかえることができるかということを私どもは真剣に検討させていただいているつもりでもあります。

 今、中止を判断したものをまた再検討するかというお話がありましたけれども、今、私どもが全力を挙げてやっておることは、事業主体、検討主体がみずから持ってきた結果を省内にため込まない、すぐに省内としての判断をしっかりとお返しできるようにということにまず第一の全力を挙げさせていただいているところでもあります。

 今、再度この事業を実施したいという申し入れがあるわけではありませんけれども、そういう背景があれば、そのことはまた真摯に受けとめることであろうかというふうに考えます。

○望月委員 時間がございませんので、最後に一言言わせていただきたいんですが、私も、自民党が政権時代、副大臣をしていましたので、皆さんからさまざまな質問を受けて、今思えば、BバイC、費用対効果とかさまざま何回も質問されました。

 しかし、こういうことを考えると、十年に一度、二十年に一度の災害、こういうものに対して、単にBバイCとかそういったことで割り切れるものではない、やはりそういうものを本当に幅広く、時間、空間的なものを含めて考えていかなくてはいけないということを、私自身、野党になって初めて、今度は、ただ政権を攻めればいいだけではなくて、もう一度、そういうことに立ってやっていかなきゃいけないなということをつくづく感じました。

 そこで、私たちの国はやはり、風光明媚ですばらしいといって眺めているだけではだめな国なんだ。地震は多い。もちろん、世界の面積の〇・二五%ぐらいしかなくて、マグニチュード四以上は、地球上の一割は毎年来る、マグニチュード六以上は二割来る。それから、台風の通り道だ。災害が非常に多い国である。だからこそ、手を抜いてしまえば一気に荒れ果てていく。そういう国なんだということを、私、今回の台風によってますます確信を持ったわけでございます。

 そういう宿命があり、少しでも住みやすく、災害から人や命を守る、町を守るために自然に手を入れてきた環境というもの、今あるこの環境は、我々のずっと前の人たちが、食べるものも食べないで手を入れてきた、そして先祖からもらったものだ、そういう認識をやはり強くしていかなくちゃいけない。

 私たちはまた、これをよりよい形にしていかなきゃならない。ちゅうちょしている間がない。そして、公共事業というような名のもとに、こういったものを否定するような形の中で手を抜いてきた、そういうことが決してあってはいけない。私たちの子孫に、私たちの時代が苦労して、どんなに苦労しても、これをまた次の世代につなげていかなくてはならない、そういう使命がある。

 特に防災担当大臣は、ほかの国の大臣、防災担当よりもより責任の重い大臣だ、私はこのように思っております。ですから、公共事業なんというようなことで、名を変えてこれを否定するようなことが決してあってはならない、私はこのように思います。

 それでなければ、先ほどちょっとやじが飛んだわけでありますけれども、人の命までも奪ってしまう、これは犯罪でないのか、歴史的にそういうようなものが残ってしまう。そういうことにならないように、やはり民主党政権、せっかく国民から支持されてここまで来たんですから、最後までしっかりとその気持ちを持って、最初掲げたものは失敗したんだ、それだったら、しっかりとその看板をおろして、しっかりとこの国土を守るんだ、そういう気持ちをぜひひとつ持っていただきたいなと思いますけれども、大臣、最後に一言、大臣の御感想を聞かせていただきたいと思います。

○馬淵委員長 簡潔に答弁をお願いします。

○中川国務大臣 見直すということはどういうことかというと、必要なものにはしっかり金をかけていく、必要でないものについてはやめる、そうしためり張りのきいた見直しをしていくということだと思っております。

 その上で、防災ということから考えれば、何が今必要なのかということをしっかり整理していくということだと思いますので、これからもぜひよろしくお願いをしたいと思います。

○馬淵委員長 次に、谷公一君。

○谷委員 自由民主党の谷公一でございます。

 きょうは三十分の時間を与えられました。それぞれ簡潔に答弁をお願いしたいと思います。

 今回の九州の豪雨、多くの方が亡くなられました。また負傷されました。心よりお悔やみを申し上げたいと思います。

 私は、先週の月曜日に谷垣総裁と、その一週間前も党の災害対策委員長として現地に入り、二回、政府にも申し入れをさせていただきました。今お手元に申し入れの文書がございますけれども、最初は中川防災担当大臣に、そして先週の金曜日には藤村官房長官に、茂木政調会長ともども、あるいは坂本先生を初め地元の先生方と申し入れをさせていただいたところであります。

 その申し入れの趣旨をしっかり踏まえて、政府におきましても、スピード感を持ってやっていただきたいと思います。

 そういう中で、先ほど望月委員とのやりとりを私聞いておりまして、大変残念に思いました。災害に、今回も大臣が二日間行かれた。やはり現地を見るということは大変大事なことで、そういう速やかに現地に行かれたというのは私は評価をさせていただきます。しかし、さまざまな要望を聞いて、早く激甚指定にするとか、あるいは被災者生活支援法の柔軟な運用とか復旧復興工事の速やかな執行、これは当然であります。それに加えて大事なことは、今まで自分たちがやってきたことでどこか問題があったのではないか、何が問題だったのかな、そういう問題意識。自分たちの施策を検証するといいますか、そういう姿勢がなければ何も学ばないと思うんです。何も学ばない。そういう姿勢がやや欠けているのではないかと私は思いました、今の望月委員とのやりとりの中で。

 ダムのあれでさまざまなやりとりがありましたので、では、直接ダムではなくて、事業仕分けの話をさせていただきたいと思います。

 行政刷新会議、事業仕分けというのが、華々しく、政権交代してやられました。各省庁の役人を呼びつけて、テレビの見ている前でさまざまに追及して、そして、問題点はこうだ、これはこのように直すべきだとメディアでも何度も報じられ、また新聞でも報じられたところであります。

 さて、では、ダムを含む治水事業をどう評価していたか。改めて二年前の行政刷新会議の事業仕分けを見ると、地方との二重行政による無駄の排除、国と地方の役割分担の明確化、地方との連携などによる地方管理の拡大の検討、選択と集中をさらに行うべき、膨張への歯どめをルール化、優先順位の見直し、先送りなどにより事業費の縮減を行うべき。結果的に、ワーキンググループの評価結果は、もう治水事業は予算要求を一〇%から二〇%縮減すべき、これが結論なんです。

 では、この事業仕分けのそういうワーキンググループの、ワーキンググループといいますか蓮舫さんの報告というか、それを受けてどうなったか、結論的にどういう予算を組んだか。一〇%の縮減です。河川とか砂防とか、そういう予算がしっかり一〇%切られた。これが、この政権交代以降の、今日まで続く治水事業、河川事業への姿勢なんです。

 こういう姿勢というのは、大臣、間違っていませんでしたか。お尋ねします。

○中川国務大臣 一つ一つの事業を、それが本当に効果あらしめるものなのかどうかということを改めて検証していくというプロセス、これは必要であったというふうに思っております。

 その中で、先ほども議論が出たように、必要なものはやはり投資を続けていく、あるいは、さらに見直しの中で、これから地震対策や津波対策、南海トラフあるいは首都直下、あるんですが、私の立場としては、恐らく、それに対してどのような形の整備をしていくかという議論、これは改めて持ち出さなきゃいけないんだろうというふうに思います。

 そういう中で、ハードだけではなくてソフト事業も含めて、あるいは民間から資金を引っ張り込む、その中で全体の防災ということに対しての備えをつくっていくという、そんないろいろな知恵がこれから必要になってくるんだというふうに思いまして、そういう意味で、検証するというプロセスというのは必要なことだというふうに思っております。

○谷委員 大臣、答えていませんよ。事業仕分けで、ダムを含む治水事業は一〇%から二〇%抑えるべきだと。要は、無駄があると判断しているんです。判断して、政府はどういう対応をしたかというと、一〇%予算を削減したでしょう。そういうことが今の時点で正しいかどうかを聞いているわけです。一つ一つ云々なんということじゃないんです。治水事業全体を事業仕分けしたんですよ。こういう粗っぽいやり方がいいかどうかは別問題として、現に平成二十二年にやっていますよ。公表されています。私はそれを見て言っている。

 明治七年から延々と続いてきた治水事業を、このように、私に言わせれば、現場も知らない方たちが粗っぽく、表面だけで、いわば唯我独尊的に評価した結果がこれなんです。こういう評価なんです。そして、それは予算にしっかりと、まあ、財務省も喜んだと思いますよ、減らせと言うんですから。はい、わかりました、そのとおり減らしますと、見事なぐらいに一〇%削減しています。

 こういう予算の組み方がよかったか悪かったか、どう思われますかということを大臣に聞いているんです。端的に答えてください。

○中川国務大臣 事業仕分けを受けて、国交省の中では個別に改めて見直していったということだと思います。その中で、今必要とされるもの、そうでないもの、これを具体的に個別に仕分けをしながら予算づけをしているということでありまして、それは国交省なりの根拠を持ちながらそうした対応をしたということだと思っております。

○谷委員 よくわかりません。よくわからない答弁でありました。

 きょうは、国土交通省から関水管理・国土保全局長が来られています。別に政治的な発言を求めているわけではなくて、今のように毎年一〇%削減して、日本の治水対策、安全性は守れますか。局長のお考えをお尋ねします。

○関(克)政府参考人 お答えを申し上げます。

 先ほどから御議論いただきましたように、今回の九州豪雨災害においても、各地において大きな被害が出ているところでございます。こういった被害を減らし、治水安全度を上げていくということは大事な施策であるというふうに私ども考えているところでございます。

 そういう中で、特に、優先地域の危険度、状況、そういったものを踏まえ、極めて限られた厳しい予算ではございますが、集中と選択、重点的に対応することによって少しでも治水安全度を上げていくことが求められているというふうに考えているところでございます。

○谷委員 これ以上言うと関局長に御迷惑をかけますので言いません。非常に優秀な答弁だったと思います。満足は全くしておりませんけれども。

 大臣、政治家としての大臣にお尋ねします。

 私は、先ほどのお話を聞いていて、自分たちの政権のやったことを間違っていたということをこういう公の場で言うということはなかなか難しいかもわかりませんけれども、しかし、完全でなかったかもわからない、やや考察が足りなかったかもわからない、それぐらいの答弁ぐらいいただけるのかなと思っていたんですけれども、そういうこともございませんか。

○中川国務大臣 私も政権の中に入っている立場でこの事業仕分けというのを受けた、受けてきた、こういうことなんですが、事業仕分けで、さっきお話があったように、その中にいる人たちにとっては緊急性があったり、あるいはそれなりの理論の上でこの予算が必要だ、こういうことを積み上げて、それで予算化してきているわけですが、やはり国民の目線からいくと、その論理が必ずしも正しいものではない、あるいは全く理屈のための理屈でつけているんだというような、そういう予算の組み立てもあるということの中で、全く違った分野から事業仕分けのメンバーが予算を切る、あるいは無駄を指摘するというプロセスがありました。

 それを実は、政権の中に入っている、三役を中心にした我々の立場からもう一度再検証をして、そういう切り方が正しいのかどうかということを精査しながら、その中でやはり無駄なものは省いていく、その中で出た予算を、確実に必要なところへ向いて集中的に予算配分をしていく、そういうプロセスを重ねてきました。

 そういう意味では、効果的にこの事業仕分けというのを使えば、それなりの無駄の排除と、それから、これまで何とか村、それぞれの分野で生きてきた人たちが、ある意味で自分たちの都合のいい理論構築をしてきたような部分についてはそれなりの排除ができてきているというふうに思っておりまして、そういう形でこの事業仕分けを見ていくものだというふうに思っております。

○谷委員 もう一つよくわかりませんでした。済みません、理解力が悪くて。

 いずれにしても、大臣、それぞれの現場をよく見ていただいて、プロの意見もよく聞いてください。それは官僚のシナリオに乗っているとかそういうことではなくて、彼らはプロですから、国土交通省の立派な、そういう技術者がいっぱいいるんじゃないですか。その財産をうまく使っていない、私はそう思います。昨年の三・一一の復旧復興の過程でも活用できていない。それが今回の復旧のおくれの一つの原因だと私自身は見ておりますので、十分そういうプロの意見を聞くようにしていただきたいと思います。

 もう一度お手元の資料を見ていただきたいと思います。

 七月十一日に中川大臣に申し入れさせていただいた七項目、それから先週の金曜日に官房長官に申し入れをしました九項目。三枚目が、先ほど来議論のありました、望月委員がいろいろ言われました、稲葉川と玉来川の違いであります。

 右上の竹田市役所、竹田の市街地を取り囲むようにして、北の稲葉川、南の玉来川が流れ、稲葉川はおととしダムが完成し、そして玉来川は事業見直しによって二年間凍結された。そして昨年の秋、やっと再開ということが政府の方で言われた。

 上の稲葉川はほとんど氾濫しておりません。玉来川、このピンクのエリアが氾濫区域、浸水区域でありますけれども、みんな玉来川の流域だということであります。

 さて大臣、これから国土を強く、しなやかにするために、具体的にどう取り組んでいかれますか。予算は相変わらず、それでも一〇%削減で治水事業はやっていくんですか。要求省庁としての考え方、防災担当大臣としての考え方をお尋ねします。

○中川国務大臣 防災は、国家の基本的かつ極めて重要な任務であるというふうに考えておりまして、特に、東日本の大震災というものを受けて、これを徹底的に検証していくということによってこれからの日本の基本をつくっていくということをしっかりわきまえていきたいというふうに思っております。

 自民党の強靱化社会、この提案にもありますように、事前防災というものについては、これは非常に大事な考え方だというふうにも思っておりまして、インフラ整備を、被害の最小化を主眼とする減災という考え方に立ってしっかりとやっていきたいというふうに思っております。

 これは、ハザードマップを作成する、治水ということであれば、それぞれ、恐らくこれまでの想定の見直しもしていかなければいけないということになっていくと思いますが、特に地震や津波ということになると、ハードだけでそれを防いでいくということについて、御党の議論もまさにそういうことでありますが、なかなか限界がある。それだけに、ソフトと一体となった組み立て、それから都市計画の中でそういうものをしっかり組んでいくためにも、民間の資金も合わせた資金調達の工夫等々、さまざまな考え方を組み込みながら計画を立てていくということだと思います。

 さらに、御党からも御指摘いただいておるように、予防的な修繕あるいは計画的な更新ということについても、災害が起きてからの復旧復興と比べると、それに耐えていくような、そういう予算の使い方をしっかりしていくということ、こんなことも大切なことだということを考えておりまして、具体的に今もう既に取りかかっております。あるいはまた、自民党時代からそういう計画がなされておりますが、そうしたものを改めてしっかり組み合わせながら対応していくということだと思っています。

○谷委員 もう少し明確な決意をお尋ねしたかったんですけれども。今までと違ってしっかり上向きに予算が確保できるように防災担当大臣として全力で取り組みたいとか、そういう決意を。何も中川大臣が予算を査定するわけじゃないんですから。少なくとも要求時点は、もう今のままではだめですよ。このままの、こういう予算を毎年組んでいては、人が災害によって亡くなって、財産も失って、地域が疲弊するだけです。しっかり取り組んでいただくよう要望をいたします。

 さて、具体的に何点か、残りの時間でお尋ねしたいと思います。

 激甚災害の指定の話が民主党の議員の方からございました。恐らく指定はされると思います。けれども、今、総理が現地に行かれて明らかにされているのは、農地関係について激甚指定のめどが立ったと。しかし、御存じのように、地元にしてみれば、別に農地は大した話じゃないんです。公共土木なんです。

 ただ、今の仕組みがいいかどうかというのは、私はちょっと疑問に思います。要は、大きな災害を受けた、公共土木等という概念があります、それで、その被害が、それぞれの自治体の財政規模によって、一定額以上であれば激甚になります、農地は農地であります、また、ほかのあれも、いわば縦にばらばらにあります、こういうやり方、縦であるということ。また、公共土木施設の中に庁舎は入っていないでしょう。公民館も入っていないですよ。では、これは実態に合っているのかな。例えば、大分の竹田、川のそばにある文化会館がやられました。相当やられています。あんなのも、あれだけ被害を受けても、公共土木施設等の中には入りません。

 大臣の所見といいますか、見直す必要があるのではないか、まあ、私もまだ具体論を持っているわけではございませんけれども、それについての所見をお尋ねします。

○中川国務大臣 この激甚というのは、災害を前提にした、第一弾の、災害に対する補助金のかさ上げが一つあって、それにもう一つ、激甚という形で、二段構えの適用ということになります。

 先ほどのお話のように、それぞれ個別の項目、公共土木あるいは公共的なインフラ、それから農業あるいは中小企業というような形であるわけですが、確かに、遅い、もっと早くそれを表明すべきではないかという議論に対しては、基本的に、災害が起きて、その災害の積み上げによって基準を決めているということがありまして、その災害の査定あるいは災害自体の積み上げが終わらないと結論が出せないというところに時間的な経緯の問題があるんだというふうに思うんですね。

 しかし、では、それ以外の基準をどういうふうに考えられるか。例えば、一つの台風が来て、その台風の大きさとかあるいはその台風自体の勢力とかというもので、それが来たときには、それから被害を受けたところには例えば激甚を適用しますよというような、そんな基準が決められるのであれば、相当早くそうした意味での対応はできるんだと思うんですが、今の前提というのはそうじゃなくて、それが来てから、被害が起きて、その被害がどれだけ積み上がるかということなものですから、どうしても時間がかかるということが一つのネックなんだと思うんです。

 それで、できるだけ工夫をしたいと思っていますのは、一つは、見込みでやれと。今回も農業は見込みなんですが、大体積み上がってくる中で、正式に手続を経ずとも、これはいけるだろうというところは、いけるという形で我々が情報を出して、それに対して市町村長さんを中心に元気よく復旧対策をやっていくというふうな環境をつくっていきたいということで、今の制度の中で最大限の工夫をしている、それが一つ。

 それからもう一つは、一つの災害の期間というのがありまして、集中豪雨がぽんと一回来て、一日、二日の集中豪雨だけをとって激甚という積み上げをするのか、梅雨時期で、前線が行ったり来たりしているあの一連のものをトータルでもって積み上げるのか、ここも大きな違いが出てくると思うんです。

 ここも今の制度で工夫ができるとすれば、でき得る限り、前線が行ったり来たりして、梅雨期であるということを、トータルな一つの災害期間として激甚災害をとっていくという形で積み上げていくという工夫をしています。

 それを超えて、さっきお話のあったような形でトータルで見直していくとすれば、恐らく、この激甚の考え方自体、根幹になっているものも含めて考え直していかなきゃいけないプロセスになるというふうに思います。

 そこについてもまたお知恵をいただいて、では、見直すとすれば、どういうふうにこれを使い勝手のいい、そして市町村長としては、これでもって元気の出る形になっていくのかということ、ぜひまた御提言もいただいて、一緒に次のステージに持っていければというふうに思っておりますので、そのことも含めて、検討はしっかりしていきたいというふうに思います。

○谷委員 今、災害対策法制全般を見直しているわけであります。これについても大きく見直す必要があるのではないかと私自身も思っていますので、またいろいろお互いにこの問題についても協力しながら進めさせていただきたいと思います。

 時間ももうなくなってしまいましたが、最後に気象庁の羽鳥長官にお尋ねします。

 今回の九州の後半の豪雨を九州北部豪雨と名づけられました。自民党の方も災害対策本部を設けていろいろ御説明を伺ったんですが、そのときに気象庁の説明では、九州は北部と南部しかない、南部というのは鹿児島、宮崎だけなんだ、それ以外は北部なんだ、そういう、機械的に決めているんだという説明でありました。

 しかし、この後、坂本議員の方からも質問があるかもわかりませんが、九州の方にしてみれば、熊本、大分が北部なのか、熊本は長いですわね、五木の方も北部なのかと。感覚が何か相当ずれている、これは名称を考えるべきではないか。先週金曜日に藤村官房長官にもその旨を申し入れさせていただいたんですが、再度、その点について、見直しの方向があるのかないのか、お尋ねします。

○羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 気象庁では、顕著な災害、例えば浸水一万棟ですとかそういった災害が発生したときに、顕著な災害ということで命名をしてきてございます。

 今回の大雨につきましては、熊本県、大分県、福岡県を中心として大きな被害ということ、あるいはさらには顕著な雨ということで、平成二十四年七月九州北部豪雨と命名したわけでございます。

 この九州北部という地域名につきましては、気象庁の天気予報等の通常の発表で、福岡県、佐賀県、大分県、熊本県、長崎県、さらに山口県を含むという形で、山口県はちょっと特異でございますので、いつも九州北部(山口県を含む)という形で一般の方に公表させていただいているところでございます。

 今回の命名に当たりましても、これまで使ってきた従前の方式で地域名を考えまして、九州北部豪雨と命名したところでございます。

 このような天気予報等で用いている名称につきましては、広く一般に周知する必要がございますので、当然これまでも何度か見直しをしておりまして、地域名も含めて、関係機関やインターネットのホームページを通じて意見を伺って定めてきてございます。

 最新のものは、平成十九年三月ということで定めて、それを今まで使ってきてございますが、ただいまの先生の御指摘のように、情報で用いる用語といいますのはさまざまな受けとめ方があるということもございますので、引き続き、関係機関等の御意見を踏まえながら、適切な用語を用いた情報の発表に努めてまいりたいと思います。

 以上でございます。

○谷委員 ぜひ、今まで以上に地元の方によく聞いていただいて、また検討を進めていただくように御要望を申し上げまして、質問を終えさせていただきたいと思います。

 ありがとうございました。

○馬淵委員長 次に、坂本哲志君。

○坂本委員 自由民主党の坂本哲志でございます。

 今回、当特別委員会で質問の時間を与えていただきました。心から感謝を申し上げたいと思います。

 今回の九州の豪雨、阿蘇地方、それから菊池地方、さらには熊本市の一部となっております植木地方、全部私の選挙区でございます。責任の重さを痛感しているところでもありますが、なぜ私のこの選挙区だけがこういった被害を受けたかといいますと、やはりそれは、阿蘇に源流を発して、そして政令指定都市になりました七十二万の熊本市を貫通する一級河川白川があるということ、それから、阿蘇あるいは鞍岳という山がありますけれども、その地方に源流を発して、そして山鹿、玉名市を通って有明海に注ぐという菊池川、これも一級河川でございますけれども、この二つの一級河川があるということがやはり大きなその要因でございます。改めて、治山治水の重要性を、私たちも含めて再認識したところであります。

 当特別委員会でも早速視察をいただきました。中川大臣にも視察をいただきました。また、自民党におきましてもいち早く災害対策本部を設けていただきまして、谷垣総裁も来ていただきましたし、あるいは総理も来ていただきました。各地からお見舞いもいただいております。心から感謝をいたしたいと思います。

 また、昨日は台湾の方から、熊本県の東京事務所、それから大分県の東京事務所に多額のお見舞金をいただきました。これは日本と台湾がいろいろな形で親交を結んでいる、そのあかしでありますし、昨年の東日本大震災に続いて、こういう地方の災害につきましても台湾の方からいろいろと心配をしていただく、心から敬意とそして感謝を申し上げたいと思っております。

 そういう中で、まず第一点として、今回の豪雨のパターンといいますか、これを考えてみますと、九州におきましては大体通常のパターンであるわけです。梅雨に入りまして、しとしととずっと長雨が続きます。そして、梅雨明けから大体一週間から二週間前に一気に豪雨が訪れるというのが通常のパターンでございます。そのときにどのくらいの豪雨になるのか、そしてどのくらいの土石流が発生するのか、あるいはどのくらいの河川の増水になるのかということで、被害が甚大になったりあるいは最小限度に済んだりというようなことになります。

 今回の場合も、七月の二十三日に九州地方梅雨明けということになりました。ですから、いつものパターンで考えてみますと、それから一週間前あるいは二週間前、七月の初めからが一番危険な時期であるということは、結果的に、梅雨明けから計算してみますとそういうパターンになるわけです。

 今、語り継がれております、昭和二十八年、熊本で四百二十二人の死者を出しました六・二六水害、これも六月二十六日で梅雨明けの一週間ほど前でございました。その後の平成二年の七・二水害というのがありました。これも今回の阿蘇地域と同じように土石流によって十数人の死者が出たところでございますが、これも七月の二日でございました。

 ですから、大体六月の下旬から七月の十日前後、この辺が一番危険な期間であるということで、この期間に何らかの国民への周知を徹底すること、特に九州地方においてはこれがやはり大事かと思います。

 そこで、気象庁長官にお尋ねいたします。

 大体、いつも同じような形、期間を繰り返しているわけですので、この期間に、梅雨期の末期に対して、もっと細かな情報あるいは注意を促す工夫、こういったものが必要ではないかと思いますけれども、いかがでしょうか。

○羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 九州では梅雨末期において梅雨前線が活発化し、集中豪雨が発生しやすい環境にあります。特に梅雨末期の場合は、前線が九州の北部あるいは日本海の南部ということで、湿った暖気が入りやすいということで集中豪雨が発生しております。大規模な被害が繰り返し発生するということでございますので、引き続き気象庁としても、梅雨末期における大雨について注意を喚起するとともに、情報の的確な発表に努めていきたいと思います。

 以上でございます。

○坂本委員 いつも同じことを繰り返しているわけでありますので、私たち、地元に、九州地方に住んでいる者としては、そろそろ大雨が降るころだなというような警戒はするわけですけれども、それに対してさらなる工夫をぜひお願いしたいと思っております。

 そして、次の質問に移りますけれども、気象庁の予報の方法あるいは雨量の伝達の表現方法についてでございます。

 昨年の紀伊半島の大水害で、五十ミリの雨が降っている、あるいは六十ミリの雨が降っているということが非常に、実感としてわからない、わかりにくいということで、表現方法が変えられました。かつて経験したことのない大雨が降っているというような、より一般の方々に、市民にわかるような形での表現方法となりました。

 しかし、問題は、その表現がどれだけ、どういう意味を持っていたか、何の目的でその表現方法が変えられ、その目的を達していたかどうかというのが一番のポイントであるというふうに思います。

 かつて経験したことのない雨ということであるならば、それを自治体が受けとめて、かなりの警戒をしなければならない。そして、自治体がそれを受けて各住民の方々に、危険な地域の方々に避難勧告を出す、あるいは避難指示に引き上げる、そういうことをしなければいけない。そして、それを受けとめた住民の方々がいち早く避難をする、あるいは警戒態勢に入る。また、消防団が警戒する。こういう、気象庁の発表、予報と、自治体の受けとめと、そして現場の住民の方々の行動移行、これが結びついていなければ、どんなに表現方法を変えても、これは気象庁だけの自己満足になってしまうというふうに思うわけです。

 そこで、私の方でつくりました資料を用意してみました。気象予報それから避難勧告、指示、さらに、土砂崩れが起きた地域、さらには死者、行方不明、これを時系列的に並べてみました。

 雨は七月の十一日から降り始めましたので、十一日の十六時五分に大雨洪水・浸水注意報というのが出ております。そして、非常に雨が強くなった七月の十二日午前零時三十分に大雨洪水・浸水警報というのが出されております。この警報は二時間置きにそれぞれ出されております。零時三十分には、同時に、土砂警報というのもそのときに出されております。そして、これまでに経験したことのない大雨になっているという警戒を呼びかけたのが十二日の六時四十一分、明け方でございます。

 一番雨が降っていた時期はどの時間か、どの時刻かといいますと、この右下を見ていただきたいと思いますが、阿蘇の乙姫地区というのがあります、ここにアメダスの降雨計がございますので、そこではかられた雨量でございますが、七月の十二日の三時の時点で、時間百六・〇ミリの雨が降っております。四時の時点で八十七ミリが降っております。さらに、五時の時点で九十五・五ミリ、六時の時点で九十六・〇ミリ。この四時間の間で四百ミリあるいは五百ミリ近い雨が一気に降っているわけですね。

 そして、かつて、これまで経験したことのない大雨になっていると警戒を呼びかけたのは、この雨がやや小雨、やや小さくなった六時四十一分ということになっております。

 では、それに対して、あらゆる警報やこういった表現方法に対して自治体がどういう措置をとったかといいますと、阿蘇市の場合には、七月の十二日午前四時、市内全域に避難勧告あるいは避難指示というのを出しております。それから、阿蘇市に隣接いたします南阿蘇村、これは立野地区というのが被害を受けたわけですけれども、ここには、十二日の七時十一分、避難指示が出されました。多分これは、かつて経験したことのない大雨になっているという六時四十一分の気象庁の予報を受けてのことであろうというふうに思います。

 そして、土砂崩れはいつ、何時に起きているかといいますと、阿蘇市の坂梨地区が六時三十分と七時、両方に起きております。これは住民からの連絡でありますので、起き始めた時間はこれよりも早いということになります。三野地区で四時五十五分、そして六時、あるいは六時五十二分と、相次いで土砂崩れ、土石流が発生をいたしております。三久保地区では六時、そして南阿蘇では五時に土砂崩れの連絡があっております。

 そして、それぞれに、一番右の方に書いてありますように、七人の死者、四人の死者に一人行方不明、五人の死者、三人の死亡、二人の死亡というふうになっております。

 つまり、警報を出すというのは、気象庁の警報でしょうけれども、それを自治体がどう受けとめるかということが一番大事であります。かつて経験したことのない大雨になっているというこの表現方法で予報を出していたときは、既に全てのところで土砂崩れが起きていた。また、地元の自治体については、避難勧告をしていた、あるいは指示をしていた、しかしそれが十分ではなかったということであります。

 予報、あるいは表現方法、そしてそれをいかに自治体にしっかりと根づかせるか、あるいは自治体との間でそこの相互理解をどういうふうにやっているかというのは一番大事なことでありますし、そして自治体から避難指示あるいは避難勧告をどういうふうなタイミングで出すかというのも大事なことである。

 本当を言うならば、七月十二日になる前に、これは明け方でありますので、熟睡期の一番深夜でございますので、かつて経験したことのないような大雨になる可能性があるということで、十二日の前の十一日の日に避難を呼びかけている、そういう連携が気象庁と自治体と住民の間でとれていたならば、この二十三人の中の何人かの命は救えたのではないかというふうに私は思います。

 その発表方法、表現、そして自治体との相互理解、さらに、それをどこまで住民の方々に理解していただけるか。そのことについて、今回の反省があるならばどういう反省をされるのか、そして、これから改善するということであればどういう改善をされるのか、お伺いをいたしたいと思います。

○羽鳥政府参考人 お答えいたします。

 先生御指摘のように、気象庁はさまざまな情報を発表しておりまして、これに伴って、自治体あるいは住民の行動をどう結びつきを高めていくかというものは重々、気象庁としての大きな課題ということで、地方自治体等との連携を深めることとしてございます。

 先ほど御紹介ありましたこれまでに経験したことのないような大雨という表現でございますが、これについては、基本的に、実況から、雨の降り方に基づいて、尋常ではない状況にあるとの気象台の持つ危機感を伝えるということでございますが、この前の、前提としまして、大雨洪水警報あるいは土砂災害警戒情報というものを通常発表してございますので、その前提の上でさらに危機感を一層伝えるということで今回新たに発表したものでございます。

 先ほど先生御指摘いただきましたように、昨年の台風第十二号のときに雨量という形で発表してございますが、雨量では一般の方あるいは自治体の方もわかりづらいということで、今回このような、経験のないというような表現を用いた次第でございます。

 また、自治体等における避難指示等の判断を支援する情報といたしましては、先ほど申しましたように、この新たな情報の発表の前に大雨警報あるいは土砂災害警戒情報を発表しておりまして、従前からこれについて避難等の判断に利用していただきたいという形で整理はしてきてございます。

 この六月に新たに開始した、経験したことのないような大雨の状況について伝える情報でございますが、これにつきましては、さらなる行動ということで、避難等の安全確保行動をさらに促す、あるいは大規模災害に備えて迅速的確な応急対応に資するといったことでスタートしたものでございますが、先生御指摘のような予報という観点ではまだまだ不十分でございますので、今後予報技術を高めて、さらに、前もって情報を発表できるような努力というものが必要かと思いますが、技術的にはかなり困難なところがございます。

 いずれにしましても、今回の情報につきましても、地方自治体等に事前には説明しておりますが、やはり不十分な点はあったということは反省すべきだと思いますので、今後、大雨警報あるいは土砂災害警戒情報も含めてトータルとして、自治体等の十分な御理解を得て、連携を深め、具体的な行動に結びつけるように努力してまいりたいと思います。

 以上でございます。

○坂本委員 結果として、やはり、自治体あるいは住民と気象庁、県も含めてでしょうけれども、連携がとれない、その結果、こういうふうになったと思います。

 それで、今言われましたけれども、注意報ではもう余り誰も驚かなくなりましたね。警報も、やはり昔の警報ほどではない、これだけ局地的な災害が多いと。そうすると、また新たにもう一ランク引き上げた形の、警報の上に存在するもの、こういったものも必要ではないか、もっときめ細かに、幾つかに段階的に分けて発表する、そういった予報の仕組み、工夫も必要ではないかと思いますけれども、長官、いかがですか。

○羽鳥政府参考人 気象庁の発表する情報は極めて多岐にわたり、複雑になってきているというのは先生御指摘のようでございまして、現在、気象庁としましては、やはり情報体系をそろそろ全体的に見直して、さらに改善する必要があるということで考えてございます。

 したがいまして、先生の御指摘も踏まえまして、今後検討を進めてまいりたいと思っております。

 以上でございます。

○坂本委員 今回は梅雨でありましたけれども、やがて夏が過ぎますと台風もやってまいります。それまでには何らかの改善をしておく必要があるというふうに私は思っておりますので、どうかよろしくお願いを申し上げたいと思います。

 それから、最後の、避難行動についてでありますけれども、これは、時間的にも、ちょうど夜中の二時、三時、四時、五時であったということ。そして、かつて経験したことのないような、時間百ミリ前後の激しい雨音がするということ。そして、当時は雷も鳴っておりました。雷鳴もとどろいておりました。避難というところまでなかなかいきません。

 各市町村では、それぞれ防災無線を流して避難勧告をしたということでありますが、防災無線というのは、こういうときは全く役に立ちません。家は閉まっておりますので、聞こえるはずがありません。

 最終的には、これは、危険を冒して地域の消防団の方が出動して、それぞれの戸をたたいて、あるいはポンプ車で避難を呼びかけるというアナログ的な方法しかありませんでした。あとは、地域の方々が心配をされて、四トントラックやワンボックスカーにお年寄りを乗せて、そして避難所に午前四時に向かわれた、あるいは午前五時に向かわれた。そこで、残った人、あるいはワンボックスカーに乗った人、これで生死の分かれ目になったというようなケースが今回の場合には多数ありました。

 ですから、避難のためのシステムをどうしていくかというようなことは一番難しい問題です。しかも、こういう土石流が起きる地域は、やはり中山間地域、山間地域であります。急峻な勾配があって、集落が四戸、五戸ある、あるいは十戸、二十戸あるというところであります。こういうところにいち早く避難指示をして、そして避難を行動に移すということ、これは総務省の仕事である。そこは、各市町村、自治体あるいは集落と十分に連携をとっておかなくてはなりません。そして、防災無線も役に立たないということになると、あとはどういう方法があるのかということになってまいります。

 今、地域コミュニティー無線施設というのがありまして、これは防災無線で流したものがそのまま無線で各家に届くというものであります。ただ、これは設置するのに三万円から五万円かかります。ですから、各集落が、それぞれ宝くじの益金の割り当てがありますので、これを目指して今要望が殺到しているというような状況であると私は聞きました。

 今後、それぞれ末端に至るまで、きめ細かな、避難に対する、あるいはその他の災害に対する状況を説明する、そしてそれを行動に移させる、避難という行動に移させる、そのためにどういうことを総務省はこれからさらに進めていったらいいというふうに考えますか、お答えをお願いいたしたいと思います。

○稲見大臣政務官 七月六日に総務大臣政務官を拝命いたしました稲見哲男です。皆様の格段の御指導をよろしくお願いいたします。

 坂本委員にお答えをいたします。

 緊急時の住民への情報伝達につきましては、市町村の防災行政無線等により、その実情に応じてさまざまな手法をとっているということでありますが、今委員の御指摘などもあるわけでございます。

 したがいまして、総務省では、この防災行政無線に限らず、メール等の多様な手法で住民への災害情報の伝達を行うことが重要であるというふうに認識をいたしておりまして、昨年の第三次補正でいただきました予算で、住民への災害情報伝達手段の多様化の実証実験というのを六団体で今行っているところでございます。その有効性の検証をこれからしていこうというふうに考えております。

 さらに、ことしの五月の茨城県等におきます竜巻被害等を踏まえまして、地方公共団体における災害情報等の伝達のあり方等に係る検討会、こういうものを開催いたしておりまして、住民への情報伝達について全体像を明らかにしていきたい、その結果を踏まえて、Jアラートや市町村防災行政無線を初めとする住民への多様な災害情報伝達手段の整備促進に取り組んでまいりたい、こういうふうに考えているところでございます。

○坂本委員 防災無線が機能しないということをやはり重く受けとめていただきたいと思うんです。

 そして、先ほど言いました地域コミュニティー無線施設というのは、防災無線がそのまま各戸の、各家のスピーカーにつながります。そのスピーカーが無線でつながるわけですけれども、大体三万円するそうです。それから、メールというのは、お年寄りにはわかりませんし、それから台風時には停電もありますので、メールそのものが見えないというようなさまざまな課題があると思います。

 今、そのコミュニティー無線にセットして備えつけられているのが、グリップシステムといって、ばっとお年寄りの方が握れば、今からどこかに避難したいんだけれども助けてくださいというようなことが自動的に消防本部あるいは市町村役場の方に流れるというようなシステムがあるようでありますので、今、多様なシステムを今後研究する、検討するということでありましたけれども、一番大事な部分はこの部分、転ばぬ先のつえ対策、これをぜひ早急にやっていただいて、平成二十五年度の予算等にやはり盛り込むこと、私は、これは本当に大切なことであるというふうに思いますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。

 先ほど谷委員の方からもありましたけれども、この命名の問題です。

 九州北部豪雨、私たちには全く北部という認識はありません。大分と熊本は九州の中部であります。

 中九州地域高規格道路、中九州横断道路というのが今建設中であります。以前は、甲子園の出場は各県ではなくて中九州大会というのがあっておりまして、熊本はいつも大分に負けて、大分の津久見高校とか大分商業がいつも甲子園に行って、多分、連続大分になったこともあると思います。中九州駅伝大会というのもやっておりました。

 ですから、これは気象庁の方で北部、南部ということに分けること自体に無理があるのではないだろうか。やはり、自然現象というのは、山間部あるいは海岸部。そして、例えば福岡県の中でも福岡北部、福岡南部、今度豪雨がありました八女とかあるいは久留米以南は、私たちは普通は福岡南部というふうに言っておりますし、少なくとも九州の北部ではない。今度災害がありました球磨郡の相良村などは、これは当然、南部には属するけれども北部ではないというふうに思います。

 ですから、この命名というのは、簡単につけていただくと困るし、やはりこれは大事なんです。最初、大震災のときも、神戸大震災とか阪神大震災とか言っておりました。しかし、やはり被害がいろいろなところに広がっているということで、最終的には阪神・淡路大震災ということになりました。昨年も、これは政府の方だったと思いますが、当初、東北大震災というふうに呼んでおりました。しかし、これは長野もある、あるいは千葉もある、そして茨城もある、さまざまなところに被害があるというようなことで、やはり住民の方々にとりましては、この命名というのは、救済策の範疇に入るかどうかというのは非常に重要な要素であります。

 この命名に対して、先ほど、今後の見直しも検討するやの答弁にも受けとめられましたけれども、この命名の問題、それから気象区分を改めて検討するという問題について、長官どう思われますか。

○羽鳥政府参考人 命名の問題の経緯につきましては先ほどお答えしたとおりでございますが、これまで予報の用語で使っていますものについては、関係機関、先ほど説明しましたように、一般からの意見も踏まえて改定はしてきてございますが、時代とともに、あるいは受け手によって受け取り方が違うということも重々承知してございますので、今後必要に応じて、的確な用語になるように見直しは進めていきたいと思っています。

○坂本委員 ぜひ見直し、そして改善をお願いいたしたいと思います。

 続きまして、激甚、激特事業の採択の問題であります。

 市町村の財政は非常に弱まっております。住民の方からも、これは激甚に指定していただかなければ到底、町村でやれるものではないという多くの声が出ております。そういうことで、ぜひ激甚への指定、あるいは激特事業の採択というものをお願いいたしたいと思います。

 ただ、先ほど長官が言われましたように、どの期間からの豪雨を激甚の期間とするかというような問題があると思います。私たちの感覚では、やはり七月二日から三日、大分県の耶馬溪を中心に大変な豪雨となりました。大分豪雨というふうなことを最初私たちは言っておりました。そして、その十日後に、今度は熊本、竹田、こういったところで豪雨大災害となりました。そして追い打ちをかけるように、八女地方、黒木地方、こういったいわゆる福岡の南部地方の豪雨ということになりました。

 今回の場合には、七月の初旬から七月の十四日にかけて三連発の大変な豪雨があった、時間当たり百ミリ前後の、百ミリに近い豪雨があったということでありますので、私は、この激甚を考える際の基準、これは七月の初めからということで計算をする、あるいは考慮すべきであるというふうに思います。そのことをまず第一点、お伺いいたします。

 それから、激甚の中に、激甚災害以外に、局地的に大きな被災をした場合の局地激甚災害というのがあります。いわゆる本激と局激というふうに分かれているものでありますけれども、この局激について、その基準が余りにもハードルが高過ぎるというふうに私は思います。

 自主的に入る各市町村の財政に対して査定レベルで五〇%以上の被害額がなければ局激に指定されない、それが基準であると。自主税収の五〇%以上というのは、これはもう壊滅的な状態であります。自治体の規模によって、それは二〇%になったり二五%になるというようなこともありますけれども、この局激に関してはやはり弾力的に運用すべきである。しかも、それぞれの今の自治体は非常に財政的に疲弊をしております。なかなか自主財源、あるいは県とともに復旧復興作業等をするというところまではいきません。

 ぜひ弾力的な運用と、そして改めて激甚への指定をお願いいたしたいと思いますけれども、これは防災担当大臣、そして激特事業につきましては国土交通省にお伺いをいたしたいと思います。

○中川国務大臣 今回の激甚災害指定については、先ほどの気象庁の北九州にこだわりません。全体、いわゆる本激については、梅雨期を通じた一連のものとして指定をしていくということにしております。

 具体的には、先ほどお話のありましたように、六月の八日から前線が出てきて、そこから被害が出てきておりますので、そこから始めて、梅雨明けが日本の国内で大体調っていくまでということでありますので、現在も被害が起きているところについては、それを入れ込んでいく、それで積み上げていくというような形で、でき得る限り幅広くとっていくということに努めていきたいというふうに思って、そのように指示をしております。

 それから、農地等についての災害復旧事業に係る査定見込み額、これが大体全国を対象とする指定基準に達してきておりますので、閣議決定なんかを含めた正式な手続を経ることなく、政治的にといいますか、私たちの思いの中でこれは大丈夫だということを発表させていただいております。この間、野田総理が現地に入られたときにそのような判断をさせていただいて、できるだけ早くその判断がそれぞれの地方自治体に伝わって、その前提で復旧事業をやれるということを考えていきたいと思います。

 それから、局激については、熊本県の阿蘇市で、中小企業関係の被害額が特別の助成に係る指定基準に達する見込みとなっておりますので、これについても大丈夫だろうということを発表させていただきました。

 さらに、残っておるのは公共土木施設関係なんですが、これがなかなか積み上げに達してきておりません、基準に達してきておりませんものですから、できるだけ弾力的に運用するように、迅速にその辺の対応をするようにということを指示しております。

○奥田副大臣 坂本先生の御地元の皆様にも心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。

 今、激特事業に関しての御質疑をいただきました。

 まずは、再度災害防止のための応急復旧ということで全力を挙げております。そして、白川、菊池川水系に関しましては、緊急対策、応急復旧というものは完了をさせていただきました。

 本格復旧について、またこれからの調査結果を踏まえ、必要な堤防整備、堤防強化の治水対策、そして河川激甚災害特別緊急事業、激特事業も含め、どのような事業手法であればより速やかに対応ができるのかということについて早急に検討し、対策を実施してまいりたいと思います。

 今現在におきましては、一般被害調査という形で水系に係る被害状況をまとめさせていただいているところでもあります。

 以上です。

○坂本委員 中川大臣におかれましては、本激への指定もぜひよろしくお願いを申し上げたいと思います。それから、激特事業の方も、河川改修がこれから本格復旧あるいは復興になるわけですので、よろしくお願いいたしたいと思います。

 そしてもう一つ、やはり今回は土石流が人命を奪いました。この阿蘇の場合の土石流というのはやはり非常に難しいものがあると思います。熊大の先生、あるいは熊本にあります崇城大学というところの地盤工学の先生、こういった方々によりますと、桜島とはまた違う、三千六百年前につくられた非常にかたい地盤層があって、その上に二メートルぐらいの黒ぼく土というやわらかい粗い土が乗っている、それが崩れるんだと。ですから、各地から証言があっておりますけれども、杉の木が立ったまま土石流として流れてきた、山腹が崩壊してきたというのがあちこちで聞かれました。

 ですから、今後、砂防対策、単なる砂防だけではなくて、スリットダムあるいは砂防のスリット化も含めて、各地域地域に応じていろいろな砂防対策が必要であると思います。

 ちょうど、九州大学を中心としました土壌あるいは土石流調査団というのが七人によって結成されまして、今入っております。そういった調査団、一年かけて調査するということでありますけれども、やはりもっとスピーディーに対応していただいて、そして国との連携を図って、それぞれの地域にマッチした土砂どめ対策、土石流対策、砂防対策というものをお願いいたしたいと思いますけれども、国土交通省の御意見をお伺いいたします。

○奥田副大臣 坂本委員御指摘のように、阿蘇の方に特質な地質というものがございますし、また、幾つかの激しい災害を経験してきた地域でもあります。砂防事業などを進めておりましたけれども、効果を発揮した砂防、そして、今お話しのように山腹崩壊という形でまた大きな犠牲を出したという、ある意味の教訓と反省というものもあります。

 今、熊本県の方と緊急砂防事業を調整しておりまして、阿蘇の緊急砂防事業の後に、また激特ということも継続して考えていかなければいけない状況かなというふうに思います。

 土石流対策、これは地域の安全確保のために全力で取り組んでまいりたいというふうに思います。

○坂本委員 災害関連緊急砂防事業というのがありますけれども、これが多分県の方から上がってくると思いますので、ぜひよろしくお願いいたしたいと思います。

 あと二問ありましたけれども、これにつきましては要望にかえさせていただいて、質問を終わりたいと思います。

 先ほども言いましたように、地域にとって一番頼りになるのは、それは国の組織でいえば自衛隊あるいは警察でありますが、地域の組織でいえばやはり消防団であります。避難一つにいたしましても、その後の復旧にしましても、捜索にいたしましてもそうであります。それと、さらにその後さまざまなお手伝いをするためのボランティアであります。この消防団の育成、さらにはボランティアの育成、これにぜひ力を入れていただきたいと思います。

 それから、もう一つは農業関連でございますが、民主党政権になりまして、土地改良事業とか、あるいはそのほかの共済事業とか、こういった目に見えないものに対しての予算が削られました。所得保障という形で、目に見える形でお金はばらまかれるんですけれども、生産基盤となる土地改良事業あるいは基盤整備事業、そして農業用水事業、さらには、今回のように災害に遭った場合の共済事業、こういったものが大幅に予算が削減されております。

 今後、やはり、それぞれ農業基盤がしっかりして、生産手段がしっかりしてこそ、将来にわたる農業生産や農業への意欲が湧くというものでありますので、その辺の予算措置も、これからこういった災害を機に十分考えていただきたいということを要望いたしまして、質問を終わります。

 ありがとうございました。

○馬淵委員長 次に、岩屋毅君。
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