自立と共生!    たくましい日本!      No.195号

民主党 中川正春   永田町かわら版 2003年7月8日
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○イラクへの自衛隊派遣の本質は何か?

 「中川さん、本会議場では、もうちょっと肩の力をぬいて、いつものソフトムードの方がええよ。」先日、東京出張で立寄ってくれた地元の皆さんからいただいたアドバイスです。本人は、自民党からのヤジに負けてはならじと、つい勢い込んでしまう事が多いのですが、テレビでは、その臨場感が伝わらないまま、私だけが興奮しているように見えてしまうのかもしれません。

 イラクへの自衛隊派遣は、委員会議論を重ねるほど、小泉さんの本音が見えてきました。イラクへの支援より以上にアメリカのブッシュ大統領に対して、「日本の小泉は、これだけのことをして、あんたを助けているよ。」と実績を作りたい。ブッシュ大統領に「小泉は、大事なブッシュのパートナーだ。」と言ってもらう事で小泉人気も上がるという計算です。

 歴代、自民党のリーダーは、政権維持のために、アメリカのカードを頼りにしてきました。アメリカから、「小泉政権は、頼りになるから支持をする。」と言われることが、次の総裁選挙と総選挙には一番大事だと言う訳です。逆に、小泉さんがブッシュ大統領から見放されれば、それは、情報操作問題や経済政策の失敗、北朝鮮政策への影響など、手元にあるさまざまなカードを使ってブッシュによって権力の座から引き摺り下ろされると考えている。田中角栄元首相の運命がそれを物語っています。与党の議員や政策の中心を担っている官僚達は、だから、まずアメリカにお伺いを立てるのです。

 私たち、野党の政権への挑戦は、この日米関係の政治的トラウマに対する挑戦であるとも言えます。

 現在のブッシュ政権はネオコンと言われる先制攻撃も辞さない軍事派、強権派が、「強いアメリカ一国主義」を支えています。この秩序を容認して、日本がアメリカの序列の中に入り込んでしまう。これが、小泉外交の真髄です。

 イラクへの自衛隊派遣も、7月4日の衆議院本会議で可決されてしまいました。イラクの占領統治と復興は、本来、国連の枠組みで近隣アラブ諸国や、ヨーロッパも巻き込んでやるべきです。国連のもとで国家建設をすれば、イラクの国民の反発は、現在の侵略者

アメリカに対するものとは、違ってきます。私は、日本が、アメリカでなく国連による統治を強く主張すべきだと思うのです。その上で、自衛隊が協力すれば、現在のような中途半端な状況は、解消できるのです。日本の主体性が問われています。

○国会審議は、魑魅魍魎?

 国会の運営とは、実に複雑にできています。イラク特措法特別委員会の45人の委員から各党の代表が理事として選任されて運営にあたります。その中から与党理事の代表として高知出身の自民党の中谷元さん。民主党から野党の代表として私が筆頭理事を務めて、交渉にあたりました。 中谷さんとの話は容赦なく丁々発矢で進みました。しかし、一方、敵陣営の大将でありながら、なんとなく友情みたいなものが生まれてきます。ご本人が自衛官出身ということもあってか裏表のない、まっすぐで真面目な人です。

 今回の交渉では、この中谷さんの後ろに、主に3つの勢力が読み取れました。まず、小泉ライン。小泉総理、山崎拓幹事長と、川崎二郎さんを通じて、中谷さんへ。「できれば民主党と法案の修正協議をして、合意を得た上で、アフガニスタンのテロ特措法と同時に衆議院を通過させるべし。」そう言っていたように思います。

もう一方で、国対筋をまとめる委員長の中川秀直さんとその周辺の橋本派のライン。「そんなに、せっぱ詰まって慌てる事はない。多少混乱しても、所詮小泉さんが困るだけで、私たちにとってはどっちでもいい。」という雰囲気。        

さらに、最後の方になって公明党の冬柴幹事長が与党の幹事長会談を通じて、山崎さんに影響力を発揮して、「テロ特措法と、イラク特措法を同時に採決すべし。」と、強くプッシュしていました。

一方で民主党は、どうであったか。正直に言えば、「ただひたすら議論して、それをまとめるのに精一杯。」こんなところでしょうか。しかし、国会での委員会論議が進むほどに、中途半端な政府答弁が私たちの疑念を大きくして、一挙に自衛隊派遣はダメだという方向に押しやったのも事実です。